大人の振りして
すました顔して
日常を泳ぐ深海魚

瞳は要らない 欲しくない
貴方が居ない 景色映す
セロファン越しの世界の中を


ヒトガタの形で
言葉連ねて
日常を泳ぐ深海魚

心は要らない 欲しくない
貴方の居ない 季節巡る
彩を失くした虚ろな中を




息を刻む世界から
「消えてしまえ」
と 言われたならば

「消して下さい」
と 答えるだろう


視えない傷が疎ましく
「視える傷を見せてみろ」
と 言われたならば

「切り裂いて見て下さい」
と 答えるだろう


視えるモノしか信じない
そんな言葉を遣うなら
「心が無いのね」
と 答えるだろう


どんな言葉に涙して
どんな言葉に笑顔する
それすら解らぬヒトの言葉が
躯を縛り 自由を奪う




…誰にも言わない…


そう言いながら秘かに
波紋のように拡がっていく


他人の囁きは甘美なヒメゴト
それは静かに密かに
染みの滲みのように
拡がっていく


…信じるな…

…語るな…

壊したくない確かなモノなら


心の内に そっと抱いて
守り抜かなければ
…塵と消える…