□アミノ酸とタンパク質
■アミノ酸の構造
①1分子中にアミノ基(-NH2)とカルボキシル基(-COOH)を同時にもっている
化合物をアミノ酸という。
②アミノ基とカルボキシル基が同じ炭素原子に結合したアミノ酸をα-アミノ酸という。
③タンパク質を構成しているアミノ酸は約20種あり,大半がα-アミノ酸である。
また,このうち体内では合成できないものを必須アミノ酸という。
④タンパク質の加水分解により生じるアミノ酸はすべて,α-アミノ酸。
⑤グリシンを除くすべてのα-アミノ酸は光学異性体をもつ。
⑥タンパク質を構成するα-アミノ酸では,通常,光学異性体の一方のみ(L体)。
■アミノ酸の性質
①無色の結晶。
②水に溶けやすく,有機溶媒には溶けにくい。
☆理由・・・双性イオンとなっているため。
③分子量の割りに融点が比較的高い。
☆理由・・・双性イオンとなっているため。
④酸・塩基のいずれとも中和反応する。
☆理由・・・両性化合物のため。
■アミノ酸の反応
①カルボキシル基とアミノ基から1分子の水がとれて,ペプチド結合をつくる。
②アミノ基を持つので,酸無水物と反応してアミド結合をつくる。
③カルボキシル基を持つので,アルコールと反応してエステル結合をつくる。
④検出反応・・・ニンヒドリン溶液を加えて温めると,赤紫~青紫色を呈する。
■双生イオン
・アミノ基はイオン化すると正に、カルボキシル基はイオン化すると負に帯電する。
正と負の両方を持つイオンを「双性イオン」という。
■両性化合物
・酸性のカルボキシル基と塩基性のアミノ基の両方をもつ化合物。
■単純タンパク質と複合タンパク質
・α-アミノ酸のみから構成されているタンパク質を「単純タンパク質]という。
・α-アミノ酸以外の物質も合むタンパク質を「複合タンパク質」という。
■複合タンパク質の例
①「糖タンパク質」;糖と結合したもの。
②「色素タンパク質];色素と結合したもの。
③「リポタンパク質」;脂質と結合したもの。
④「核タンパク質];核酸と結合したもの。
☆赤血球に存在するヘモグロビンは色素タンパク質
■タンパク質の構造
・タンパク質は複雑な立体構造を待つ。
□一次構造;多数のα-アミノ酸がペプチド結合した状態。まだタンパク質ではなく,
「ポリペプチド」という。
□二次構造;ポリペプチドは,ペプチド結合間に水素結合を形成し,α-らせん
構造(α-ヘリックス)や,β-構造(β-シート)などの立体構造を形成する。
これらを「二次構造」という。ここから「タンパク質」となる。
□三次構造;さらに遠い部分の問で水素結合やジスルフィド結合によって,
さらに複雑な立体構造を作っている。これを「三次構造」という。
□四次構造;さらに,三次構造で出来上がった構造(「サブユニット」という)が,
水素結合やファンデルワールスカなどによって集合した状態を「四次構造」という。
ヘモグロビンでは4個のサブユニットからなる四量体として存在している。
☆二次構造,三次構造,四大構造をまとめて「高次構造」という。
■毛髪のパーマネント
・還元剤を用いてケラチン分子のジスルフィド結合を切断し,セットした後,酸化して
再びジスルフィド結合を作り,形を固定する。
■タンパク質の重要用語
①アミノ酸同士縮合して生じたアミド結合をペプチド結合という。
②2分子のアミノ酸が縮合してできたペプチドをジペプチド,3分子のアミノ酸が
縮合したものをトリペプチドといい,10個以上のアミノ酸が縮合したものを通常
ポリペプチドという。
③分子量が約1万以上のポリペプチドをタンパク質という。ヒトは15~18%程度の
タンパク質で構築されていて,タンパク質の種類は約10万種あるといわれている。
④タンパク質の水溶液はコロイド溶液である。
⑤タンパク質を構造成分とし,生体内で触媒としてはたらくものを酵素という。
⑥熱,強酸,強塩基,重金属イオン(Cu2+,Pb2+,Hg2+,Ag+),有機溶媒(アルコール,
アセトンなどの極性溶媒),紫外線などにより凝固したり沈殿したりする現象を
タンパク質の変性という。
☆理由・・タンパク質分子の立体的な構造が変化するために起こる。分子間の
水素結合が切れることが原因。
■生命体を構成する主要元素
・人体を構成している元素は,質量の多い順に酸素(O),炭素(C),水素(H),
窒素(N)となる。
・人体では約7割が水。残りの約6割はタンパク質。
■微量元素
・主要な4つの元素の他の元素。
①カルシウム(Ca);イオンとして骨の成分,筋肉の収縮など。
②硫黄(S);アミノ酸(システイン,メチオニン)
③リン(P);ATP,DNA,RNA。
④ナトリウム(Na),カリウム(K);イオンとして浸透圧維持や神経の興奮伝達。
⑤鉄(Fe);2価のイオンとしてヘモグロビン(血中の酸素運搬に関与)を構成。
⑥マグネシウム(Mg);イオンとしてクロロフィル(緑色植物に含まれる)を構成。
※この他,亜鉛(Zn),銅(Cu),ヨウ素(I)なども微量ながら含まれている。
☆ヘモグロビンには鉄,クロロフィルはマグネシウム(Mg)が含まれる。
□糖類と油脂
■単糖類
・天然には炭素原子を5個含むペントースと,6個含むヘキソースが多く存在する。
■ペントース
・代表的なものは,リボースとデオキシボリボース。
■ヘキソース
・代表的なものはグルコース,フルクトース,ガラクトース。
■アルコール発酵
・グルコースは酵母に含まれる「チマーゼ]という酵素によって,エタノールと
二酸化炭素に変化する。これを「アルコール発酵」という。
■二糖類
・2分子の単糖類が脱水縮合したものを二糖類という。
・酸を加えて加熱したり,酵素を加えたりすると加水分解されて2分子の単糖類
になる。
■多糖類
①デンプン
・デンプンは植物にエネルギー源として貯蔵され,α-グルコース分子が1000個
程度縮合重合した分子で,分子量は数十万にもなる。
・枝分かれのない部分を「アミロース」,枝分かれを多く合む部分を「アミロペクチン]
という。
・ヨウ素溶液を加えるとアミロースは青色,アミロペクチンは赤色を呈し,デンプン
全体としては青紫色を呈する(ヨウ素デンプン反応)。
②グリコーゲン
・グリコーゲンはα-グルコース分子が多数縮合重合した分子。
・動物の肝臓や筋肉中に含まれる。デンプンよりも多くの枝分かれを持ち,ヨウ素
溶液を加えると赤褐色を呈する。
・分子量は数百万にもなる。
③セルロース
・セルロースは植物の細胞壁を構成する分子で,β-グルコース分子が縮合重合
した分子。
・枝分かれはなく,分子量は数十万以上。
■油脂
①油脂
・グリセリン1分子に高級脂肪酸3分子が結合したエステル。
・完全燃焼させた場合,デンプンとタンパク質は,1g当たり16kJの熱が発生する
のに対して,油脂は1g当たり37kJの熱が発生するので,エネルギーを貯蔵するの
に適している。
②リン脂質
・油脂のように,グリセリンと高級脂肪酸とのエステルからなる物質を総称して
「脂質」という。「リン脂質」は分子内にリン酸基を含み細胞膜を構成する。
・「レシチン]は卵黄に大量に含まれるリン脂質。
□核酸
■核酸の基本構造
・核酸とは「核に含まれる酸性物質]のことで,デオキシリボ核酸(DNA:Deoxyribo
Nucleic Acid)と,リボ核酸(RNA : Ribo Nucleic Acid)がある。
・リン酸と糖が交互にエステル結合によって多数結合しており,それぞれの糖
に塩基が1つずつグリコシド結合している。
☆核酸はリン酸,糖,塩基からなる。
■塩基と糖の構造
□糖の構造
・リボースはRNAを構成する糖で,分子式はC5H12O5。3位と5位のヒドロキシ基
にリン酸がエステル結合し,1位のヒドロキシ基には塩基がグリコシド結合する。
・デオキシリボースはDNAを構成する糖で,分子式はC5H10O4。リボースと同様
に3位と5位のヒドロキシ基にリン酸がエステル結合し,1位のヒドロキシ基には
塩基がグリコシド結合する。
□塩基の構造
・DNAではアデニン,グアニン,シトシン,チミン(略号でそれぞれA,G,C,Tと表す),
RNAではアデニン,グアニン,シトシン,ウラシル(略号でそれぞれA,G,C,Uと表す
)のそれぞれ4種類で構成されている。それぞれの構造を覚える必要はない。
□酵素とビタミン
■酵素
・触媒として作用するタンパク質を「酵素」という。
・生体内には数万種類もの酵素があり,さまざまな反応の触媒としてはたらい
ている。
・一般に酵素は37°C付近で最も活性が高い。
・ペプシンは酸性で,アミラーゼはほぼ中性,トリプシンは弱塩基性で最も活性が
高い。
・酵素には反応を触媒する物質(「基質」という)が決まっている(例えば,マルター
ゼは,マルトースの加水分解にのみ作用する)。これを「基質特異性]という。
■補酵素
・一部の酵素はタンパク質部分のみでは活性を示さず,低分子量の非タンパク
質物質が共存したときのみ活性を示す。この非タンパク質物質を「補酵素]という。
ビタミンが代表的な物質。
■ビタミン
・生体内の代謝や生理現象を円滑に進めさせる有機化合物を総称して「ビタミン
」という。
・ヒトの体内では合成できない物質が多く,欠乏すると特有の症状を呈する。
①ビタミンA(レチノール);欠乏すると夜盲症を起こす。
②ビタミンB1(チアミン);欠乏すると脚気を起こす。
③ビタミンB2(リボフラビン);細胞呼吸,電子や水素の伝達に必要な物質。
④ビタミンC(アスコルビン酸);還元性を持ち,欠乏すると壊血病を起こす。
⑤ビタミンE(トコフェロール);酸化防止作用,また,血行を促進する作用を持つ。
☆ビタミン欠乏症;Aは夜盲症,Bは脚気,Cは壊血病
■ホルモン
・生体内でつくられ,主に血液により他の場所に運ばれて,さまざまな生理作用を
起こす化学物質を「ホルモン]という。
・ホルモンにはインスリンのような「ペプチドホルモン」と’男性ホルモンや女性
ホルモンのような「ステロイドホルモン」がある。
□呼吸と光合成
■呼吸
・空気中の酸素を取り入れ,糖類,油脂,タンパク質を細胞内で二酸化炭素と
水にまで酸化させることを「呼吸」という。
・一般に有機化合物を燃焼させると熱が発生するが,細胞内での酸化反応
では熱は発生せず,生じたエネルギーは「ATP(アデノシン三リン酸)」として
蓄えられる。
☆呼吸で生じたエネルギーはATPとして蓄えられる。
■光合成
・緑色植物は,光のエネルギーを利用して,空気中の二酸化炭素から糖類を
合成する。これを「光合成」という。呼吸と逆の反応。
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