こんな雨空にタワーに上るとは。
窓から見える景色は銀世界かと思うほどの真っ白な景色。
雨と霧とで、ビルも向こうの山もかすかにしか見えない。
ぼーっと外を眺める。
私なんでココにいるんだろう。
そして何で落ち着くのだろう。
昔、5時間目あたりに雨がサァーっと降っている光景を窓から見るのが好きだった。
相当降りしきる雨も、サイレント映画のように音がまったく聞こえない。
聞こえるのは、英文法を説明する教師の声。
窓からもれる、雨のにおい。
「ご親族様は、どうぞ奥のほうへといらしてください」
エレベーターからぞろぞろと着物姿のご婦人方と、タキシードが出てくる。
結婚式?
そんな予定、書いてあったっけ?
「そういえば今日、友引だったわ」
その発言に、横にいる人が爆笑する。
なんでそんなん知ってんの。
まるで「あー 今日、土曜日だったわ」的な感じのコメントやな
祖母の影響からか、私はどうしてもその日の日柄を確認するクセがある。
ゲンを担ぐと申しましょうか。
よく言えば、古風な女と呼んでいただきたい。
着物婦人と、白髪交じりのタキシードが交互に何度もお辞儀をし合っている風景。
かわいらしくってなんだかとてもいとおしい気持ちになった。
「娘を、息子をどうかよろしく」と。切に挨拶を交わす親族。
心から幸せを願う親たちの気持ちが垣間見えた気がして、
結婚式とは家族と家族の結束する儀式なんだなぁと改めて感じた。
「それでは皆様、最後にもう一度ご起立いただきまして、お二人への盛大なる拍手をお願いします」
司会者の言葉に、ソファーから急いで立ち上がる。
小心者か、いい人なのか、笑ってしまう。
雨はまだ降り続く。
それでもかすかに西の空が、明るい。
見て、あれ。
光がさしてる。
バニラスカイ。
雨降ってナンチャラと申しますか。
これもこの先のお2人の未来を象徴しておるわけでございまして・・・
ずっと幸せでありますように。
参加者の中の誰よりも、大きな拍手で祝福するのを横で見て
私も負けじと大きな拍手を送った。