満天の星空からも、富士山の風からも力がもらえそうで、気づいたら旅館の庭に出てました。
浴衣姿で超ご機嫌。毎年恒例家族旅行。
貴族の庭園と呼ばれるその場所で、
照明はぽつんぽつんと道の各場所にあり、それもまたあたたかく情緒あふれます。
天然の川が流れ、絶え間なくそして静かに時間が流れていくのを感じます。
橋をわたり、長椅子にこしかける。
涼しげな風に、頬をくすぐられます。
虫や鳥たちも寝静まっていたのでしょうか。
あたりは星のまたたく光のオンステージでした。
「星はこうして最初からそこにあるのに、普段はまったく見えないね。シアワセと一緒だ」
めずらしく弟がロマンチックなことを言い出し、
恋する男子は変わるものですねぇとしみじみ思っていたのもつかの間、しばらくまったりとしていたその時です。
ぱち
先程まで照らされていた道の各箇所にあった電気の光がパッと消えました。
「え」
「ええええええ!」
消灯時間?そんなたて看板もなかったじゃーーーーん。
周りに人はもちろんおらず。家族4人のみ。
そして広大な庭に取り残され、母は必要以上におびえだす始末。
旅館まで、どれくらい?
-相当歩いたじゃん。ここまでくるのに。
一応ここも旅館の中だし。
-安全っちゃー安全だけど。川も橋も岩の階段もあったよね。
ケータイのライトを照らすも足元のみしか見えない。
父は歩くのがもともと早い上にわざわざケータイの照らさない場所へとどんどん進んでいく。
さっきまで聞こえなかった場所から女の人の声が聞こえた気がして、私も母とおびえだす。
そして最後、唯一の照明だった庵のライトも消え。
遠くに見えるは愛しい旅館の部屋たちの光。
あぁ、あそこに帰りたいっりたいったいっいっ
「ひぃぃぃ」
「まだ、ここにヒトがいますぅ」
「うるさいっ、お前は!」
「ちょっとライトも持たずに先に行かないでって!」
音は川の水の絶え間なく流れる。
光は星のまたたく明かり。
匂いは緑の苔のツンとした香り。
風は相変わらずサワサワと吹く。
全身の五感をフルに活用させ、歩く。
「どなた様かぁ~~~そこにいらっしゃいますねぇぇえ?」
しばらく経って、警備員のおじいちゃんに懐中電灯で照らされるファミリー。
あんなにも4人がひとかたまりになったのは、後にも先にもあの時だけだと思う。
「ちょっと待った!!
富士山の水はね、飲んでおいたほうがいいですよー。健康長寿でいられますしね。フォっフォっフォ・・・」
いやー。おじいちゃん。神サマかと思ったよ。けどもうちょい早めに来てほしかったわ。
そして寿命が縮んだ分、長寿の水を飲んでプラマイ ゼロ。
まぁ、多くは望むなっつーことですね。
おかげさまで、翌朝は赤富士もみれて良かったわ![]()