自己紹介カードを作成するために、生徒ひとりひとりの顔をデジカメで撮る。
そのひとつひとつの顔に9~10歳とはいえ、一人の人間としての個性が光る。
「個性って、もう、この頃からにじみ出てるものなんだね」
画像を見ながら、私は言う。
画像なのに、個性というそのオーラがビカビカと光るように、眩しい。
直接、対面しているRは、毎日ものすごいエネルギーの中で、仕事しているということか。
ニカッと歯を見せて笑う者、はにかみながらも目だけはしっかりレンズを見てる者、
わざと変顔をする者、こんなん撮って意味あんの?的な顔をする者。
「この子・・・・・・」
1枚の画像に執着する。
全然かわいいわけでもない、でもどこかで見たことのある感じ。
自分の分身、自分の子供みたいな気がする子を発見。
そう、Rに言うと、ひょいとデジカメを取り去る。
「どの子か当てたるわ」
そしてRが得意げにこの子だろ、と言う。
「なんでわかった?」
「だって、普段の発言から、行動から、性格までお前にそっくりでさ。
間違いなく、お前の小学生の頃ってこんなんだったろうな、と感じた。
だから、絶対この子のことだと思ったよ」
おそるべし、洞察力。
もうすでにクラス全員の特徴を、空で言えるR。
あんた、ホント天職についたわ。
「あ~、そぅ。じゃ、私みたいなオトナにならないようにアンタがしっかり教育しなさいよっ」
***
ある日の放課中
「ねー、先生!あと何年この学校にいる?」
「うーん、わからないけどあと5年はここにいると思うよ」
「じゃー、俺らがコーコーセイになったら、制服着て先生に会いにくるよ」
担任になってまだ、2ヶ月とちょっと。
未来の約束が、交わされた。