読んでこれを書いたのは1年前なんですが(笑)
下書きに保存してあったので、表に出します。
さらっと読めたので、読書が苦手な人でも読みやすいかな、
と思います。
得意な人は物足りないかもね。
夜行観覧車/双葉社

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高級住宅街で起こった殺人事件。
ミステリー要素は言うほどなく、
高級住宅街に住む、3家族の人間模様が描かれてる感じでした。
ドラマも恐ろしかったですが、原作もかなり恐ろしかったです。
なんだろう、ドラマっていうのは、
心の声っていうほど聞こえないじゃないですか。
たまーにナレーションとか入りますけど、基本は俳優さんの演技を見て、視聴者がその人の心情を読み取るしかないわけですよね(ドラマの出演者さんの演技が下手だったとかそういうことを言っているわけではないです)
逆に小説は、表情やしぐさなんかは、読者には想像することしか出来ないですけど、その人が何を考えて行動に移したのか、思考に関しては正解が書いてある(そうじゃないものもあるけど)
そういう、どす黒いことが手に取るようにわかってしまうのが怖かった。
僕は、幼少の頃に「この番組はまだまだ続くよ!」って言ったテレビ番組が、実際は全く続かないのを目の当たりにしてから、人間のことは信用していないので、心の中が見えてしまっている方が怖いです。
サトリとかサトラレじゃなくてホントに良かったって思います。
主に、エレベーターで他人と乗り合わせた時にそう思います。
ドラマ版でも、人間関係はなかなか激しい感じでしたが、
根まで腐ってはいなさそうというか、
まだ温かみみたいなものも感じられる場面もありましたが、
原作は、皆、冷え切ってました。
温かさ皆無。
まあでも現実はそういうものなのかなぁ。
高級住宅街になんて縁がない僕にはよくわからないけどー。
登場人物たちは、異常に依存が激しく、
各々がいろんなものに固執してました。
そういうのって多かれ少なかれ、皆あるとは思いますけど、
それが悪い方向に行ってしまうと、ああいう恐ろしいことにもなりえるのかもしれませんね。
一度凝り固まってしまうと、人間ってそのことしか考えなくなって、
どんどん深みに嵌っていく。
狭い世界でそうなってしまっている人を
こうやって小説という形で客観的に見ると、
そんな馬鹿なって思うかもしれないけど、人間は僕も含めて、自分の所属している小さな世界で、びっくりするほど振り回されている。
そこから出ることはできないから、しょーがないんだろうけどね。
常に人の目を気にして、見栄を張り、嫉妬する。
劣っている人を探して、自分は優れていると思い込んで、なんとか自分を保っている。
そんな中で、人に言われたりなんだりしたちょっとしたことが少しずつ蓄積され、些細なきっかけで爆発して、人までも殺めてしまう。
人を殺したいという気持ちに共感出来るわけではもちろんありませんが、そこに至るまでの感情の動きに共感できない部分が一つもないわけではありませんから、
誰でもそうなる可能性は秘めているんだと思います。
あの人が人を殺すなんて信じられない!なんて、犯人の周囲の人はよく言うけれど、なんの害もない認定されている人って、それだけ自分を押し殺しているっていうことで、きっと蓄積度も半端ないんだろうなぁって想像します。
まあそうやって「信じられない!」とかってコメントするのも、関わりたくないから自己防衛してるだけかもしれませんけど。
ムカつく人がいっぱい出てきて恐ろしいですが、
そこが湊さんの小説の楽しいところでもあります。
普段からいろんな人にムカついてるのかな、湊さん…って思ってしまうぐらいの程よい現実味。
なんだかかんだで見てしまう、
自分には関係ないけど、覗き見ちゃう感じ。
あんな人たちが自分に関係あったら最悪ですが、全くないので楽しい。
いないこともないのがいいですよ、ホントに程よい。
いますもん、ああいう人たち。
自分だってああなる可能性もゼロではないと思うし。
あんな極端な人いないよ、なんて感想もよく見ますが、
まあ、そう思えるならそれはそれで幸せなことなんじゃないかなぁとか思ったり思わなかったり。
湊さんの小説が全部そうなのかはわかりませんが、
この話はいろんな人に視点を移しながら物語が進行します。
僕、視点変更って、新しい視点担当者に最初人見知りして、自分の中でなかなか切り替えができないので、そんなに得意な方ではないのですが、いい感じに誘導してもらうと意外とすんなり読めるんだなぁと思いました。
この人こんなこと考えてたんだ…って言うのが後からわかるので、
鬱陶しいわーこいつって思ってたのに、次の章で真意がわかって、ああ…じゃあ仕方ない、鬱陶しいって思ってすみませんって反省したり、忙しいですが(笑)
まあ、それが視点変更の醍醐味と言いますか、そうじゃないと面白くないんでしょうから、
そうなるように誘導してるんだとは思いますけどね。
日常生活でも、今この人はこんな風に考えてるんだろうから、こういう風にした方がいいかも、とか考えて動くこともあるけど、実際もしかしたら、相手が思う正解の行動とは程遠いこともあるんだろうなぁってなんとなく考えてしまいました。
決めつけはよくないよね。
ストーリーには全然関係ないんですが、重要人物の交際相手の女があり得ないぐらいイラッとする女だったので、あの兄ちゃんは人を見る目がないなと思っていましたが、これも、あの女の視点で物語を読むと、また違ったことが見えてくるのかもしれません。
ドラマはわかりやすいハッピーエンドだったのですが(僕にはそう見えた)小説は…まあ…ハッピーには向かっていないこともないって感じでした。
なんというか、動機もなんだかはっきりとはしないまま、もやっと終了。
爆弾を抱えたまま、いつどうなるかわからない危うい感じ。
そんなに人間がいきなり切り替わるわけないし、
光が少し見えそうな気がするってところまでいったってだけでも
かなりの進歩だとは思いますが、すっきりはしない。
まあそのすっきりしない感じも密かに好きだったりするんですが。

