こんにちは!
フリーアナウンサーの三木 恵です。
今日は、ときどきご質問をいただく
「人前で話すのにふさわしい話し方」
についてお話ししますね!
1対1で話すのと1対10、1対100、1対1000!…に向けて話すのでは、話し方を変える必要があります。
そのポイントのなかでも最も大切な、「一番初めに発する呼びかけ」についてです。
あなたは、何人かの前で話す機会があったら、
どんな言葉で話し始めることが多いですか?
なにかの集まりで初めて会う方たちへの自己紹介や
講演やスピーチの冒頭など、
「みなさん、はじめまして」
「みなさん、こんにちは」
…こんなふうに話し始めていないでしょうか?
うんうん。
という方は、
なぜ「みなさん」と呼びかけているか
考えてみたことはありますか?
なぜ「みなさん」かって…
だって、たくさんの方に話しかけるんだから「みなさん」だよね??
そう思った方は、ぜひ続きを読んでくださ~い!
「み な さ ん」
コヤツ、実はけっこうな曲者なのですよ…!!!
なんとなく「みなさん」を使ってた方、手をあげてー!!
わたしがアナウンサーをしていたラジオの業界では「あなたメディア」という言葉がありました。
ラジオは声を電波に乗せて何百万人もの方に届けるメディアですが、
DJがまるで自分1人だけに話しかけているような、ふしぎな魅力がありますよね。
実際は1対何百万人なのに、
まるで1対1のような感覚がある。
この特性を指して「あなたメディア」といい、
DJやパーソナリティーは「あなた」だけに話しかけるようなトークを大切にします。
そのため、ラジオでリスナーに呼びかけるときは「みなさん」という言葉を使わないことが多いですし、
わたし自身もずっとそのように番組でのトークをしていました
実はこれ、
対面で多くの方の前でお話しするときも同じなのです!
目の前に10人の方がいて、話し始めるとき。
「みなさん、こんにちは」
と発した瞬間に、
あなた 対 みなさん
という構図ができあがります。
10人の方々は、本当は田中さんや鈴木さんや高橋さんや… 1人1人の集まりなのですが、
「みなさん」という「10人のひとかたまり」になってしまうのです。
もしあなたが10人のうち1人1人と心を通わせることを期待して話しているのなら、
「みなさん」と呼びかけた時点で、自分からちょっと距離をとってしまっていることになるのですね。
じゃあどうしたらいいかというと、簡単です。
「みなさん」と言わないだけ!
「こんにちは」
「はじめまして」
と、話し始めればいいんです
できる限り1人1人と目をあわせて、気持ちをこめて話し始められれば、さらにすてきですね
なお、逆に「みなさん」という言葉を使ったほうがよい場合もあります。
たとえば、司会をするとき。
「みなさま、ご来場いただきありがとうございます。…」
スタッフを代表してご案内する司会の立場をはっきりさせ、
進行に関してご案内をしますよ、ご注目くださいね、という気持ちを伝えるのに「みなさん」という言葉の距離感が役に立ちます。
つまり、
「みなさん」というたった4文字の言葉ですが、
話し手と聞き手の関係をつくる重要な言葉と心得て、なんとなく使ってしまわないこと。
何事も始めは大事ですよね。
ぜひ、こんな視点も持って、人前で話すときの第一声を意識してみてくださいね。
こういうポイントの積み重ねが、人前で話したときの「あの人はなにか違う!」という印象の差をつくっていきます