春だからでしょうか、
慣れない敬語をカタコト気味に喋っている店員さんをよく見かけます。
「少々お待ちくださいマセ」
「カシコマリました」
みたいな(笑)
コンビニとか、レストランとか。
高校生、大学生が人生初のバイトに挑戦しているのでしょうかね。
もしかしたら新社会人なのかな?
慣れない言葉も、使うほどに馴染むもの。
言葉が馴染む頃には接客も板についていることでしょう。
彼らの初々しい姿はほほえましく、
こちらも新鮮な気持ちになれます
kuboriさん配布のフリー素材を使わせていただきました♡
一方で、
言葉は使い慣れてさえいればいいというものではありません。
以前、携帯電話の解約をしたときのこと。
契約状況がこちらの認識とは異なり、
かからないと思っていた違約金が発生するとの案内を受けました。
(よくあることですね)
違約金がかからないタイミングでの申し出のつもりでしたので、
ショップの方にもう一度内容を確認してもらいたい旨お伝えしたときの担当の方の言葉。
「恐れ入りますが!
お客さまのご契約は、このようになっております!!」
ひえ~。
強いよ。語気が。
「恐れ入りますが」って言い回し、
いかにも大人な表現で好きなのですが。
そんなに強く言っちゃったら、
ぜんぜん「恐れ入って」ない(笑)
担当者さん、
たぶんあなたの気持ちにぴったりな言葉は、
「恐れ入りますが」
じゃなくて
「お言葉ですが」
だったのじゃないでしょうか。
接客の質が、マニュアルが、
という話ではなくてですね。
(このあともめたりせずに手続き完了しました)
不慣れでも聞き手の顔をほころばせる言葉。
慣れていても聞き手との間に壁を作る言葉。
その違いは、「心」です。
…と、言いたいところですが、
現実的で具体的には「言い方」ですね。
単純に、言い方。
言葉は、
適切な文脈でスッと出てくるだけでは
「使える」ことになりません。
その言葉に合った声色、音量、調子、
つまり「言い方」ができなければ
使えることにはなりません。
言葉に合った言い方は
ふつう言葉に合った心から生まれますので
心と言い方はほとんどイコールですが、
心が伴ってなくても言い方だけを言葉に合わせることもできますのでね。
(いわゆるオトナの対応です)
まあそれはともかく、
言葉と言い方が合っていないと、
せっかくの丁寧な言葉づかいも
かえって失礼な物言いになってしまうことすらあります。
慇懃無礼というやつです。
マニュアルで指導されているのかもしれませんが、
これっぽっちも恐れ入っていないのに
「恐れ入りますが」
なんて言ってしまうと、
かえって心証を悪くするのです。
こういうところ、
友だち同士のカジュアルな会話とちがい
尊敬語や謙譲語はむずかしいですね。
大人の言葉は、
大人の心で使わなくてはいけないということでしょう。
大人の心がともなわないオトナ言葉は
話し手を大人に見せてくれるどころか
子供っぽさを際立たせるだけ。
対照的な接客を受けた経験から思うことは、
コミュニケーションの本当に基本的なことです。
「話すときは、心をこめて」
いや、
「心からの言葉で、話す」
というほうがしっくりくるかな?
そのためには、
まず、自分の心を見つめること。
これから言おうとしていることを、
自分は本当に心から思っているのか?
次に、使う言葉を意識的に選ぶこと。
これから使おうとしている言葉は、
自分の心をぴったり表現している言葉か?
この作業を日頃どのくらい丁寧に行っているか。
その積み重ねの差はそのまま
「心を動かす話し方」
の差になってゆくのだと思います。
なんとなーく話していたら、
なんとなーくな影響しか与えられませんね。
春です。
あっというまに、もうすぐ連休。
わたしも自分の心と、言葉と、
向き合う時間を意識的にとっていこうと思います