コード進行を作るためにコードに割り付けられた役割

西洋音楽には、メロディーに音の進行を使って終止をつけるという特徴があります。

ハーモニーもメロディーと同様に、和声コードの最低音にメロディーの場合と同様な進行に係る役割があり、それをコード全体の機能と考えることにしました。こうすることで、ハーモニーにも終止を持たせることが可能となります。

和声コードの終止の型(終止形)はカデンツ(ポピュラーでは、ケーデンス)と呼ばれます。

これを楽曲全体に応用することで一曲の進行を賄おうと試みるのが機能和声という考え方です。

 

コードに役割を与え、これを機能と呼び、これらを役割に従って並べることで曲を組み立てるというのは、楽曲の進行をより簡単に作ることができことになります。

便宜上この便利なコードファンクションという考え方は、古典和声やポピュラー和声にも取り入れられています。

コード機能の種類

トニック、ドミナント、サブドミナントの3種類に分類されます。

 

※ポピュラーではサブドミナントにさらにサブドミナントマイナーを加えています。ただし、サブドミナントマイナーの役割はサブドミナントと同じです。

スリーコード

トニック(T)

主音か主音の代理となる音を含む和音(コード)に付けられた機能

メジャーキーならば、Ⅰ、Ⅵ、(Ⅲ)

ドミナント(D)

属音を含む和音に付けられた機能

Ⅴ、Ⅶ、Ⅲ

サブドミナント(SDときにS)

下属音を含む和音に付けられた機能

Ⅳ、Ⅱ

古典和声のカデンツ型

第1型 T-D-T

第2型 T-S-D-T

第3型 T-S-T

 

T ↔ D

T ↔ S

S → D(逆は不可)

 

Tがそれぞれの開始と終了になるので、それぞれの型を繋いでいけば、いろいろな接続が考案できます。

例えば、T-D-T-S-T-S-D-T-…

これに実際のコードを当てはめれば、実に様々なバリエーションが作れます。

ポピュラーのケーデンス

T ↔ D

T ↔ S

S ↔ D

 

古典和声では、逆進行になるため推奨されなかったD-Sの逆接続も可能となっています。

補足

機能和声の発端はラモーの基礎低音の発見でした。基礎低音を根音として機能和声は発展していくことになりますが、バッハを始めとしてこの考えに賛同していない音楽家もおり、彼らは従来の作曲手法を独自に発展させて自身の楽曲を作っていきます。

ただ、和声にも機能を割り付けることで、コード進行をたやすく作ることができるため、機能和声に全面同意はしていませんが、和声の進行にはコード機能を使っていくという古典和声法が成立していくことになります。

 

楽曲の進行感はコードの変化によってのみ得られるというわけではありません。しかし、コードの変化は進行に大きな役割を果たすことは事実です。

古典和声のカデンツを使えば、古典的な楽曲が作れるということであり、ポピュラーのケ-デンスによればポピュラー曲が作れるということです。

 

古典時代の楽曲の多くはこの機能和声を取り入れた古典和声法によって作られました。もっとも完成したのはベートーベンが活躍した時代であり、彼以降古典和声は廃れていくことになります。

 

ブルースの進行を機能和声で分析しても、それはバッハの曲を同様に分析したのと同じで、ブルースやバッハは音楽の進行を別な見方で捉えて作っており、機能和声で分析しても一面から見た場合の結果に過ぎないということは踏まえておかなくてはいけません。

 

和音構成音コードト―ンが一時的に近隣の音にチェンジしたもの

基のコード音は原位音と言います。

転位

ある音の2度移動を転位と言い、転位してできた音が転位音です。

 

 

原位より高い音に転位する場合を上方転位、できた音を上方転位音と言います。

原位より低い音へ転位する場合を下方転位、できた音を下方転位音と言います。

変位

ある音の増1度移動を変位と言い、変位してできた音が変位音です。
 

 

原位より高い音に変位する場合を上方変位、できた音を上方変位音と言います。

原位より低い音へ変位する場合が下方変位で、できた音を下方変位音と言います。

原位音は任意に設定可能

その音を転位・変位と呼ぶには、基になるコード音つまり原位音が必要です。

 

原位音が先行して鳴らされる場合(先行音)もありますが、いきなり転位音、変位音が鳴る場合もあります。このような場合には、適当なコード音を原位音(先行音)にすることができます。

補足

転位音がさらに転位したり変位することもあります。変位音も同様です。その場合、内音と転位音が、変位転位音が転位変位音と同音となることがあります。

⇨経過音

解決(テンションリゾルブ)

転位音や変位音は、コード外音(テンション)ですから音の解決をする必要があります。

 

解決のためのコード音設定に迷う場合には、根音方向へ向かうコード音を設定するのが良いでしょう。

ポピュラー和声との違い

コード理論は、転位・変位という考え方はしません。したがって、ポピュラー和声には、転位・変位はありません。

 

ポピュラー和声では、テンションの解決はテンションごとに設定可能な解決手法を適応させます。

 

伝統和声の「転位・変位」では、「外音は内音に向かわせて解決する」と考えます。

 

解決法は ①復元  ②経過  ③保留  ④過復元 の4つです。

コード音が鳴っていなくとも、コード

逆にコードにない音が鳴っていても特定のコードと捉えます。

⇨テンション、転位・変位

完全和音

 

根音、第3音、第5音とコード構成音全てが鳴っているものを完全和音(十分和音)と言います。

 

CメジャーのCであれば、ド、ミ、ソの3音全てが鳴っているものとなります。

不完全和音

 

コードを構成する音の一部しか鳴らさないものを不完全和音(不十分和音)と呼びます。

 

CメジャーのCであれば、終わりの小節でオクターブの違いはあるもののドしか鳴らさない場合がそれに当たります。

 

根音を省略すると別なコードとみなされるため、根音を省略することは稀です。

 

第3音はコードの性格に当たる部分です。省略するとメジャー、マイナーの区別がつかなくなります。

 

あえて省略したコードはルートとフィフスだけとなり、パワーコードと呼ばれます。ロックなどのジャンルに用いられます。⇨C5、空虚5度

 

普通は第5音を省略します。5省と呼ばれます。

基になる音の上に音を重ねたもの

コードのつくり

ある音が鳴っているときに、同時に鳴らすことができる音高の音のまとまりのことです。実際に鳴っている音の数には関係なくコードと捉えることができます。

基本的な和音の構成

 

 

コードには、音を積み上げていくもとになる音があります。これを根音(root tone)と呼びます。単にルートと呼ぶこともあります。

 

後は、3度ずつ音を積み重ねていきます。根音から見て、3度上の音を第3音、5度上は第5音、7度上は第7音、9度上は第9音となります。

 

さらに音を重ねてコードを使うこともあります。ポピュラーでは、イレブンス(第11音)やサーティンス(第13音)と呼んでいます。また、第9音をナインスと呼びます。

 

15番目に積み上げると根音に戻りますので、これ以上は和音として考えなくてよいことになります。

属和音が主和音へ移り変わるとき、導音(シ)は主音(ド)へ、下属音(ファ)は上中音(ミ)へ進ませる

属和音ドミナントコード

Ⅴ,Ⅴ7,Ⅴ9,…、Ⅶ,Ⅶ7,…

主和音トニックコード

ハ長調での限定進行

どちらも半音進行です。B→Cは2度の上行解決、F→Eは下行解決となっています。

 

F→Eについては、F→Gの2度上行の方が自然な音の流れですが、そうすると並達5度となってしまいます。

 

外声でなければ、この並達は問題となりませんが、定型を作るという意味でこの規則が定着したのだろうと想像します。

 

コード理論を拡張利用するポピュラー和声では、2度下向でB→AとC6(Ⅰ6)のコードに、あるいは、保留してC7(Ⅰ7)で終了というのもあるかも知れません。

しかし、クラシック和声では禁止されています。限定進行音を使わずに終止形を作れば、問題ありません。