椿組2023年春公演「まっくらやみ・女の筑豊(やま)」動画配信のお報せ | メメントCの世界

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椿組2023年春公演「まっくらやみ・女の筑豊(やま)」動画配信のお報せ

 

お待たせしました!2月に大絶賛の嵐だった「まっくらやみ」ついに動画配信です。

 

椿組2023年春公演「まっくらやみ・女の筑豊(やま)」

動画配信チケット発売されています!

椿組応援チケット2500円

アーカイブ視聴:試聴開始 5/27日より販売開始!

試聴期間:2023/6/1(木)10:00より 6/29(木) 10:00 まで

販売期限: 2023/6/29(木) 0:00 まで                               ■チケット販売URL: http://v2.kan-geki.com/live-streaming/ticket/916

 

 

椿組2023年春公演 

「まっくらやみ・女の筑豊(やま)」

作:嶽本あゆ美(メメントC)/演出:高橋正徳(文学座)/主題歌:山崎ハコ

 

様々な歴史を庶民目線で作劇してきた椿組が、近代史を描いて定評の女性劇作家・嶽本あゆ美(メメントC)と組み、戦後の筑豊を女性の視点から描く。戦前の筑豊は女鉱夫らが、戦時中は植民地からの労働者が石炭堀の担い手だった。その物語は女流作家、森崎和江により文学となり、その聞き書きは想像を絶する劣悪な環境でのものだった。小劇場に筑豊炭鉱の闇を立ち上げ、どん底から立ちあがる女鉱夫らの生き様を描く事で、現代にも通ずる社会と女性のあり方を問う。演出には椿組3度目となる文学座の高橋正徳があたる。

「あんた、わたしの一生は小説よかもっと小説のごたるばい」
老女たちは薄羽かげろうのような私をはじきとばして、目のまえにずしりと坐りました。その姿には階級と民族と女とが、虹のようにひらいていると私には思えました。
『私は何かを一生懸命に探していたのです』・・・・森崎和江著「まっくら」より

戦後、筑豊に生きる女炭坑夫ら百年の聲を聴き歩いた森崎和江
彼女の出逢った男と女の物語・・・「負けられるか!」
地の底から湧き上がる女たちの「闘いとエロス」!

 

 

 

 

 

 

コリッチ 感想より

 

面白い、お薦め。
明治32年から昭和35年までの約60年間、炭鉱で生きてきた女の まっくらやみを点描した人生劇。そんな彼女らが紡ぐ暗黒の世界を浸蝕し、輝かしい未来を…。物語は昭和35年迄だが、戦いは現在も続く、その意味では地続きの問題・課題を扱った骨太作品。勿論タイトルから女性の視点で捉えているが、単にジェンダー問題だけではなく、<時代>という 大きな うねりに翻弄された人々の生き様が力強く描かれている。物語は、当時の基幹産業である炭鉱、その繁栄と没落が人の生き様に重なり解り易い。また演出が素晴らしく、舞台美術を巧く使い 地べた いや更にその下にもぐって働く女性の逞しさを観(魅)せる。

ジェンダー問題と同時に、女性としての生き様に不安と苦悩、そして葛藤を描くことで 単に炭鉱の女性労働者だけではなく、広範な働く女性を対象にしていることが解る。
また、当時<戦時>の国策に翻弄され、自分の故郷はどこか、帰る場所はあるのか といった慟哭が痛ましい。どんな苦境であっても「生きていく!」、その先に希望があるのだから…まさに現代にも通じる人生の応援歌。

 

 

素晴らしい! タイゼツベシミル。華5つ★ 自分は基本的に開演前には作品の解説資料等は読まない主義だから今回も無論読まなかったが、帰宅後ざっと目を通してみると良い資料である。炭鉱の歴史などはご存知ない方には一読してからの観劇をお勧めする。板上は、ホリゾント・両側壁に短辺を床につけた状態の黒板が埋め込まれており、スト決行時のスローガンや舞台上で起こっている事件争議等の年次がその都度書き込まれる。登場人物のうち子供・赤子は総て人形が用いられているがこの演出も実に効果的だ。
板上のテーブルや椅子として用いられる小道具には数十年前迄用いられていた林檎の木箱等も転用されておりレイアウトは適宜変えられるが色彩は総て石炭に煤けたような色合いで炭鉱の状況・雰囲気を醸し出している点も秀逸。トロッコの音や炭塵爆発の音等の用い方、昏目の照明もグーだが物語の進展に応じて流れる山崎ハコの歌が作品にマッチして身に沁み、物語と歌とのコラボレーションも秀逸である。
 嶽本あゆ美さんの脚本は、彼女の描くいつもの作品からも推定できるように取材力の確かさや本質的な時代考証、時代を象徴する事件や人物の選び方がその基礎を為していると思われるが、これらの土台の上に築き上げられる物語は、各挿話が見事な連環を為しているが故に観客に必然性を感じさせる。作品が自然な流れと見える所以であろう。唯でさえこのような構造を持つ彼女の作品が、今回は、現代になって漸く一般の人々にとっても身近な概念となってきたジェンダー的視座からも見返され、その深く本質的な互いの性差と共通項を炙り出し問題の根深さを描き出してみせた点も高く評価したい。即ち現代でこそ浮き上がらせることのできる視点から照射する手法の確かさ手堅さを評価する次第である。この優れた脚本を見事に身体化している役者陣の演技が素晴らしい。更にこの脚本と役者陣の演技双方を時には異化効果等も用いつつ繋いだ高橋正徳さんの演出も見事なら、加藤ちかさんの舞台美術も素晴らしい、振り付けにスズキ拓郎くんが携わり宣伝には黒田征太郎さん凄いメンバーが揃っているのも椿組公演の魅力だ。プロデューサーも兼務した外波山文明さんは、演技にも生き様が自然に顕れて役者さんの歳の取り方として見事だと感心させられた。無論、お名前は挙げなかったが出演している他の役者さんたち、関わっている方々皆さんとても素晴らしい。