椿組公演「まっくらやみー女の筑豊(やま」本日千秋楽です。
ほぼ2年位前に外波山さんと企画について話し合い、その後の調査、執筆、取材、そして稽古、劇場入り、本番という長い工程で、14ステージが上演されました。以前、中小企業家同友会さんで演劇の仕事を話した時に、「たった2週間あまりの公演に何年も準備をして、そしてそれが経済的に収支が合うか分からないような博打のような仕事をするのが信じられない!!」と感想をもらいました。私も『演劇に何ができるのか?』(アルファ―ベータブックス)で、いかに演劇が参加者の善意と奮闘で出来上がっているのか書きましたが、今回の舞台もそうです。経済的にはけっして見合うことがなく、終れば消えてしまう生ものの舞台を創造する劇団という不思議な社会集団は、劇団員やサポーターの熱意と思いだけで存続しています。特に完全に民間の椿組さんとかは、今回、二度に渡るコロナ禍の激甚被害の後に、この公演を準備し、クラウドファンディングをし、上演を自らの手で成し遂げてくださいました。作者として本当に有難いの一言です。
書くだけ、やるだけは、本当に極楽です。舞台制作という陽の目の当たらない土台の部分がもっと理解されて欲しいと思います。劇団員が総力をあげて美術、小道具を作り夜遅くまでがんばっているからこそ、この舞台があります。劇団でなければ出ない、団結力あっての、婦人会、大正炭鉱行動隊でした。
後半、皆さんの熱演や観客の口コミで、本日含めて満席に近くなりましたが、前半の空席は惜しい!!悔しい!!でも、劇評家に評価されるのでなく、沢山の観客の方が、感想をアップしてくれて応援してくれたおかげで客席がどんどん埋まっていきました。
昔、李香蘭初演の時、最初は音響ブースからみてて散々な招待客と空き席だったのが、そのうち青山劇場に、当日券を買いに来る人の列が増えていったのが衝撃でした。自分も頼まれて、音響チェックしながら、窓口でチケット買ったりしたのを思いだしたのです。シアタートップスは青山劇場ほどキャパも無いのですが、この「まっくらやみ」を観た人が、それぞれに、言葉を世の中に呟き、また炭鉱に所縁のある人から、「実は親戚が~~」という御報せを沢山もらうにつれ、声が集まって1000人ホールが埋まるような圧力を感じました。
公演を観られる方は、限られた方なのですが、森崎さんが集めた筑豊の女達の声が、時間を経て、シアタートップスでまた拡散されて、声を集めていく引き金となっているのに、驚きます。観られた方も、観られなかった方も、是非、森崎さんや、英信さん、谷川さんの原著を読んでください。そしてその地下からの声に反応して、化学変化をおこして、この現代に谷川さんが言うような。「魂を射抜くような言葉」で静かな革命をおこしてください。
外波山座長は、今回の映像をまた配信するようですので、観られなかった方、後日、その息吹の一端に触れて頂ければ幸いです。
さあ、千秋楽です!!

