千秋楽!ワーニャおばさん!
ワーニャおばさん、おじさん達の幕が降りました。
熱い残暑の9月の稽古開始直前に脱稿したものの、リライトリライト(細かなセリフですが)を重ねて、
稽古と芝居の議論がほぼ一緒状況のディスカッションの末に、通し稽古が出来た!と思いきや。
当初、コロナ感染とかで稽古が出来なくなって、幕があくのか!開かないのか!開けていいのか!悪いのか!という葛藤で、
超絶、長い舞台稽古(とはいえ、5日)を必死で仕上げ、しかも、ブライアン役は代役の谷仲さんの奮闘に頼るという、あり得ない状況で21日の金曜日に開幕しました。
19日、20日とチケットをお買い求め下さった方、申し訳ありませんでした。
そして23日まで、谷仲ブライアンの舞台となり、田中完さんも22日から現場に復帰することができまして、24日に本当の本当の初日となりました。ああ、長い長いトンネルでした。千秋楽は25日で、今日は片付け真っ最中!
22日の本番の配信は続いています!!
このあと、11月になりますが、千秋楽の田中完さんのバージョンも配信予定でです!
配信チケット 3,000円(10月31日までアーカイブ配信)
カンフェティ https://www.confetti-web.com/Wanya-obasan-streaming
気が付けば、ダウンコートが必用なほど。寒い!寒い!10月も末です。
ああ長い2か月でした。
プロローグから舞台写真で振り返ります。
ヴィクトリアの記者会見。うーん、42丁目ストリートの雰囲気たっぷり!衣装は中村里香子さん!
東海岸から舞台は西海岸のセンチュリーシティへ!
ワーニャ財団ブロッサムズ、只今プレオープン!
シカゴから現れた、ジェシカ・ウイリアムズ教授と愉快なブロッサムズの面々。
日本のサブカルチャーを研究するソーニャ、秘書のクリス。
本当に大石さんの体当たり演技はキャラクターぴったり。そして渡辺さんのクリスの凄さ。
渡辺さんはご自身で自分のセリフも考案し、アイデアを惜しげもなく投入してくれました。
カンザス生まれの田舎の会計士が、この後も獅子奮迅です。
ジェシカの迫力!加奈子さんのセリフの声はもう、シカゴ人という感じがぴったり。
そしてキュートです。
と、皆さんもう本当に脳内劇場のそのままに、出現してくれたのです。
山森さんの銀行家デレックと、お調子者デザイナーのブライアン。
谷仲さんの軽妙で楽しい喜劇っぷりは一級品でした。
明治天皇よりこのようなお調子者が彼の真骨頂かもしれません。
山森さんの声、すごいバスで低くて何ていうか、嬉しいです。
台詞がしっかりと、キャラになって耳に届く。脚本家冥利です。
このコンビがやらかしてくれる悪事?詐欺?は、全て現実のサブプライム問題、スルガ銀行シェアハウス事件で
本当に起きていた融資サギ事件なんですよね。
ブロッサムズに現れる凄腕の女医アリシアと、ホームレスのローレンス。
田岡さんのローレンスは物凄いキュートで、お年を感じさせない素晴らしい演技というか、
もうそのまんま、のローレンス。
あやさんのアリシアも、素敵でした。役が俳優によって何倍にも膨らんだのでした。
最高の「恋とセックス」
サラ・チェンの水口さん、無理な転換、無理な色々を聞いてくださって。
「コロナ前のいい思い出ですよ」は新派みたいにしゃべってもらいました。(笑)
議論沸騰の朝のミーティングシーン
ここは、本当に芝居じゃなくなったのが、舞台稽古からの稽古でした。
もう目の前の議論がそのまま。ていうか、セリフそのままの開幕までの議論の日々。
私のセリフ、ほら、リアルだったでしょ??
危機っていうのはチャンスです。
人が変化していくから。
変化しなかったら芝居もつまらない。
3場のシーンは、この芝居全体の方向性が決まった部分です。
というのは、コメデイでありながらシリアスな女性史。
ジェーンという、人工妊娠中絶の非合法活動のグループはシカゴで活動しました。
そしてレッドストッキングズたち、労働者階級の女性がアメリカのウーマン・リブをを押し上げていったのです。
無名の沢山の活動家たち。
その中の一人が、栄光とかではなくて、人生に挫折してホームレスになったら、という想像からローレンスは生まれました。
田岡さんのローレンスは、芝居の登場人物の中で時代の先頭を走り疲れ、新自由主義経済に敗れた存在です。
スペイン語の会話、アメリカではもうすでにヒスパニックの人が白人より多いので、スペイン語は第二の公用語でしょう。
でも階級、人種の差、そういうもの、日本よりももっともっと大きな分断社会が横たわっているわけです。
ルシア・ベルリンの小説を読みながら、スペイン系のコルテス先生のキャラが出来上がっていきました。
ヴィクトリアは、人形劇を使って、言語が通じない老女たちと交流を深めます。
寺田英一さんの音楽が、夜のホームの空気を雄弁に表現してくれました。
音楽が、この演劇世界の柱の間の壁を補強してくれました。
美しい転換は音楽のおかげ
ピンク・ストッキングズ、やりたかったんですよ。
ブラーんとピンク大根が降りてくる。
そして手にピンク靴下はめる。さあ、でもだああ!!!!
ブルー・ストッキングでもなく、レッド・ストッキングでもなく。
中途半端だけど、ピンクなんです。
クリスのこのインタビュー場面の迫力というか、度肝を抜かれる演技プランは、全て渡辺さんのアイデアです。
全く、本当にすごいパワーでした。
そして、SNSの運動が当たり前になった今こそ、個人個人の動きがいつでもどこでも、発信されていくわけです。
我らがソーニャは、伯父さんの面倒みたり父親をたしなめたりするのではなく、ゲンロンを奮って世界に叫ぶのでした。
ローレンスとクリス母娘の確執は、私の体験でもあります。
私はこの親子の両方のロールでもありました。
ネグレクトと言語による虐待。珍しいことではなく、それをまたやってしまうのが、
サバイバーの背負う苦しみです。
一つ、良かったことは、私に娘がいなかったこと。息子しか居なかったこと。
ローレンスの昇天は照明さんとの協力でスタッフワークが大きな効果をあげてくれました。
キリスト教の「奇跡」は、日本人にはミラクルになりにくいのですが、そういう奇跡を目撃したデレックは、
改心へと向います。
本当に、この肉体を脱ぎ捨てるまで、女人往生成り難し!!!!!!
権威と無名性。無名もあるアイコンによってラベリングされます。
ソーニャはネット空間で生き延びられるのか。
この辺りはドラマツルギーの大波小波がばんばん打ち寄せます。
ドラマのプロットの大道ですなあ。
ステイタスの大転換が起こり続けます。
教会が支援を申し出て来ますが、それは無宗教でありたいヴィクトリアには一つハードルです。
そして、会長を辞める条件をつきつけられるのです。
大きな影響力のある宗教団体だけなく、個人の活動が政治や体制に飲みこまれていくわけですね。
そういうことで、存続するのか、どうするのか??
改心したデレックによって、銀行の詐欺事件の告発、裁判へと進むなか、ソーニャの母親、ヴィクトリアの妹の
終身刑服役の事実が暴露されます。
台詞はカットしましたが、ソーニャの母は夫を撃ちましたが、多額の保険金が降りたことで、第一級殺人罪で終身刑。
アリゾナの刑務所に居ることが分かります。何もしらなかったソーニャ。
すんません、ネットフリックスだとこういうとこも、バンバンやれるんですがね。
ラストに現れた本物の?ワーニャ伯父さん。山森さん、そのまんんまでした。
そして、お決まりのラストのセリフ。
でも、運命のままに死んでなんかやらないぞ!!!!とソーニャのセリフは、ワーニャ伯父さんへのプロテストです。
不幸をひっくり返して幸せにするんです。ほら、中国の飾りにも、福の字が逆さに張ってあるでしょ!!
芝居は終わりましたが、人生は終わらない!!だって仕方ないでしょ!生きていかなくっちゃ!!
次の舞台は椿組2月公演「まっくらやみー女達の筑豊(ヤマ)」
やっぱり女達が大活躍です!!!
そして炭鉱へ、深く深く潜ります。九州方言です。また日本語?じゃないので、字幕が必用かもしれませんね。(笑)