My Life Plan 寄稿③
「マイライフプラン」を描けなくなった国で
「僕らは絶対に暴力を使わない」。ミャンマー人の同僚からそう聞いたのは、軍事クーデターの翌日でした。「少しでも暴力的に抵抗すれば、軍は治安維持を口実に、僕らを徹底的に弾圧する。今まで僕らは、そうやって何度も傷つき、殺され、負けてきたんだ」
2015年までの半世紀、軍事独裁が続いたミャンマー。ようやく勝ち取った自由と民主主義は、たった5年で、軍事クーデターにより再び奪われました。人々は抗議デモやストライキ、不買運動など、あらゆる平和的な手段で軍に抵抗します。
しかし軍は、非武装の国民を凄惨に虐殺。7/25現在までに、2,100人以上が殺され、著名な民主活動家らが処刑されました。
市民は武力での反撃に舵を切ります。「国際社会はミャンマーを助けてくれない。私たちの未来は、私たちで何とかする」。人々は決意を固め、戦闘に希望を見出すようになりました。
近所に住む大学生は、こう言って戦場に向かいました。「僕らはクーデターで一度死んだ。だからもう死ぬのは怖くない」。そうして今も普通の若者たちが、慣れない銃を手に、40万兵力と言われる軍とゲリラ戦を続けているのです。
ミュージカル「マイライフプラン」には、最前線で負傷者を救護する少女が登場します。彼女は実在の人物です。未来を奪われた国で、彼女らが命を賭して取り戻そうとしているのは、まさに「マイライフプラン」を自由に描ける世界。その切なる願いが観る人の心に届くことを願ってやみません。
メイ(仮名)
NGO職員としてミャンマーに駐在。2022年4月に帰国するまで、現地で抵抗を続ける人々の姿をSNSで発信し続けてきた。(https://www.facebook.com/JapaneseDiaryFromMyanmar)
またクーデター直後から、現地の民主派の医師らと協力し、軍の弾圧によって傷ついた若者や、村を焼かれて森などで避難生活を続ける人々に対し、医療支援を行っている。(https://syncable.biz/associate/ganbare-myanmar)