締切間近「私の心にそっと触れて」アーカイブ配信と感謝をこめて | メメントCの世界

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締切間近「私の心にそっと触れて」アーカイブ配信と感謝をこめて

2021年ももう少しで終わり。

コロナ二年目は、公演の方法も変わりつつ活気が戻ってきました。

 

今年は、劇団BDPにて、ミュージカル「彼女たち」、そして「リアの食卓」

、婀の会にて「邦楽と物語の泉Ⅳ」、そして12月の「私の心にそっと触れて」と、沢山の公演に携わることができました

ご来場、応援頂きました皆様に感謝申し上げます!

そして、演出補で助太刀に行った、「カレンダーガールズ」でも様々な方と舞台を創りました。

 

 

 

そして、驚くことに2020年12月コロナ禍まっ只中、上演した「太平洋食堂」が、10月10日門真国際映画祭舞台映像部門での受賞などの機会を頂き、2020年までの総決算の年にもなりました。

映像分野でも舞台が評価されたことに、12年間の取組のまとめともなりました。

大逆事件を熊野から描こうと考えた2009年からずっと自分が信じ続けた舞台がようやく立ち上がった気がします。

 

演劇をやるという事は、コロナになってより真剣にならざるを得なくなりました。それでもやる、コロナでもやる、っていうモチベーションや理由を問われます。

リスクを考えつつも、何故やるのか?揺らぎのない部分を踏み固める毎日です。

12月の御芝居は、濃厚な稽古が必用で昨年のワクチンもない状態では断念せざるを得なかったのも今は、納得です。

一年半以上の延期で、得たものは大きかったです。

山の羊さんとの共同企画は、私に無いものを補って頂きました。

山下さん悟の演出は、物語を観客に伝える為に必要なことの枠組みをしっかり作ってくれました。

アルツハイマーの患者を演じることに、外山誠二さんは迷いつつも、ご自身が体験したことから、

主人公の人間像を作って行ってくれました。

奥さん役の白石珠江さんもご自身の介護を振り返ると辛くなるようなシーンも、毅然とした姿で運命を受け止めるヒロインを演じてくださいました。本当の夫の姿に目を背けることなく対峙した妻は、

最後に無垢な魂となった夫に出会い直しました。

 

初日のアフタートークで、ジロドゥの「オンディーヌ」について語りました。

オンディーヌに愛を誓い、それを裏切った罪で死ぬことになったハンス。

そして、真実しか受け入れられない水の妖精のオンディーヌが、人間のおろかさをまねて自分を偽る苦しみをしります。ひょっとしたら、人間は自分を偽り続けるから苦しんで病になるのかもしれません。ハンスは時間をものすごい速さで生きて行くように命をすり減らします。

やがて運命が二人を分かち、オンディーヌに恋した為に寿命が尽きて死んだハンスを見つめるオンディーヌはやはり、ハンスに恋をします。

 

病の果てに見つけた真実は、私の芝居の中ではこんなセリフになりました。

「今のあなたが本当のあなたよ。もう嘘がつけないもの」

 

観客の反応は、これまでにないものでした。

せりふや、俳優のアクションを受け取って様々な自分の体験が蘇り、想起されたと、沢山の方から感想を頂きました。

マギーズ東京代表の秋山さんより、演技や表現が適格で稽古からより洗練されていったと、アフタートークで感想を頂きほっとしました。貞末監督は、ご自身のお父さんにそっくりなところがあると、

今年、亡くなられたお父様を偲びながら語ってくれました。

それらの悲しみ、慈しみに触れることで、また私や観客も癒しの糸口を得たように思います。

人が老いて病に斃れるのは、全ての人に絶対のことです。

逃れることが出来ません。でも、最後の瞬間までその人としていられることは難しいものです。

コロナでより、病者は隔てられるようになりました。

どうやって死んでいくのか?

私たちには、その準備が少し前から必用だと秋山正子さんは言います。

私もそう思いました。

「キリストをならいて」にある通り、夕べにあるものは、明け方にあるとは限りません。

来年を迎えますが、再来年があるか分からないのだと自分に言い聞かせながら、一年を迎えたいと思います。舞台芸術はこの先、どうなるのか?もっと必要になると私は思いますが、感染症との闘いが社会をどう変えるのか?まだ分かりません。

 

病者は医療や宗教で癒されるのか?救われるのか?という疑問がこの脚本を書いていてふつふつと沸き上がりました。自分と世界の境界線があいまいになっていくアルツハイマー病の中にあって、それまでにあった他者理解や受容は残るけれども、ネガティブな感情を忘れることは、病気でも難しいのかもしれません。

むしろ、そんな傷を忘れることができたら、病は救いの一つになるのかもしれません。

心の薬とは何か?それは時間です。

 


 

 

 

「私の心にそっと触れて」アーカイブ配信はこちらです。

毎日新聞WEBでにて、アーカイブの御報せを載せて頂きました。

12月31日まで配信チケット購入可能、1月4日まで視聴可能です。

https://mainichi.jp/articles/20211227/k00/00m/040/272000c

 

 

 

 

 

 

ライブ配信+2週間のアーカイブ 配信チケット 2500円

*「観劇三昧」への会員登録が必要です。チケット購入は12月31日まで、

 

12月21日 (火) 14時の回の映像アーカイブ 

https://v2.kan-geki.com/live-streaming/ticket/417

 

12月21日 (火) 19時の回の映像アーカイブ 

https://v2.kan-geki.com/live-streaming/ticket/418