作・演出 嶽本あゆ美
⼤逆罪で無期懲役となった⾼⽊顕明。秋⽥監獄で⾃死した彼の、悲しみと祈りははどこへ流れついたのか?
「太平洋⾷堂」上演後の2016年、その疑問から顕明の養
⼥だった加代⼦さんの運命を辿ることとなりました。後
⽇、幸運にも彼⼥と⼀緒に暮したお孫さんから、晩年の穏やかな暮しぶりや貴重な声を聴かせて頂いたことで、その⾔葉は演劇になり会場の皆様にお伝えできるのです。出会いの不思議や貴重さに感謝するばかりです。
試演会や、東京から新宮、⾼松や坂出、蒲郡などで⼩さな会場で場を共有する上演を重ねて参りました。2017 年には新宮・浄泉寺の⾼⽊顕明・遠松忌法要で⾥帰り公演となり、主演の明樹さんの声を借りて、彼⼥の⾔葉は新宮へ帰りました。
⼩さき者の震える声に⽿を澄ませて⽣きて来た⽗・⾼⽊顕明、その南無阿弥陀仏は九つで別れた娘に流れ込み、⽣を⽀える⼒を与えたのではないでしょうか。2020年春には、天満教会で公演する予定でしたが、コロナ感染症の影響により中止となりました。このコロナ禍、あらためて、加代子さんの生を見つめることができて、幸いでした。邦楽の諸先生の皆様にも2016年以来、お世話になりました。沢山の御縁が集まったこの高代覚書、さらに多くの方の記憶に刻まれるますよう、祈ります。
<配役>
高萩加代子 明樹由佳
高萩懸命 吉村直
特高警察 清田正浩
女将 杉嶋美智子(メメントC)
加代子(子供時代)/おてる(半玉) 生田由明乃
社長 佐々木梅治 (劇団民藝)
老婆/お鶴 清水ひろみ
男衆 中瀬古健
号外売り/復員兵 齋藤慎平(劇団AUN)