リアと私とその他いろいろ
今日は、シアター・サンモールでの「リアの食卓」の千秋楽です。
このひと月、二兎どころか、ヤマタノオロチの尻尾をそれぞれおっかけていた状況に近い私です。
皆様も呆れていることでしょう。
「リアの食卓」の美術を昔の同僚の美術家がとても素敵な西村風に仕上げてくれました。
そして、初めてお仕事したASGの渡辺さんがレンブラントのような陰影をつけてくれました。
こうやって、私の頭の中の妄想が、具体化するにはたくさんの方々の力がいるわけです。
今回、子役の小学生2人、中学生二人、高校生一人が大活躍してくれました。今朝、楽屋で挨拶して「再演があったら・・・」と言って、そうか、この子たちは再演があっても同じ役で舞台にのることは無いのだ、と言葉が詰まりました。一瞬の今、この時だけの演技です。何よりも尊いように感じます。最初はしっかりやるということ、せりふを間違えずに言うことばかりだったのが、自分の頭でどうあるべきか考え、他の共演者とコミュニケーションをとってアドリブを交えて舞台上で個性を発揮するのは、乗り越えるものがたくさんあります。
同じように、演劇そのものが不効率でその時だけの生ものです。本当に人間は凝った遊びを考えたものです。
2月になって明日は新宮プロジェクトの締切です。何というか、新宮で公演することと、それに巡り合う若い世代のコンタクトも、その時だけのものになるんでしょう。だから、尊いんだと思います。そういう魔法の瞬間がきっと来ると明るく、ポジティブに明日の締切まで、ヤマタノオロチの尻尾を捕まえるように跳ねまわります。
リアの舞台上の油絵の2点は夫が高校生の美術部で書いた油彩ですが、それを結婚祝いに額縁にいれてくれたシベリア帰りの伯父が、昨日亡くなりました。訃報を聞きながら、舞台を眺めて、伯父の歌ってくれた「一つとせ~」の満期操典の替え歌を思い出しました。時は流れて行きますね。