演出の戯言 ・・・ 藤井 ごう
いろんなモノを消失してやっと、理解するしかないのだろうか僕たちは。愚かさを痛感…
繋がれないと厄介で、繋がったら繋がったでまた厄介、
ちっぽけで汚くてズルくて、でも愛おしい人物たち。
作家の目線はどこまでも鋭く、そして暖かいー
メメントC嶽本あゆ美さんとは昨年度、新しい劇作家シリーズ「太平洋食堂」に続いて二度目の作品創り。「太平洋食堂」は五年の歳月を経ながら、そして今回の「ダム」は劇作家協会新人賞を受賞したにもかかわらずの七年の歳月を経ての本邦初演。川辺川ダムに取材したタイヘンな作品を投げてもらった。。。
しかしである。硬質で重量級の題材を扱う嶽本作品の筆圧は変わらないながら、違和感があった。…ここだけの話をこの場を借りてすれば、
「太平洋食堂」を台本の改稿から付き合いながら(未見の方、ゴメンナサイ)感じていたのは、随分と、オトコっぽい作家だ、とゆうこと。
今回の「ダム」、書かれた時系列から言えば、こちらが先な訳だが、
随分とまた、オンナっぽい作家だ、と感じること(性の別にどうこうゆう質の話ではありません、感覚の話です、悪しからず)。この人なんだ? この差は一体なんなんだ?
嶽本は作家として作品の主要人物に同化する、のか、同期する、のか。
世の不条理に対峙し、大変な状況、大きな力に押しつぶされそうになりながら、そこでも不器用に生きていこうとする登場人物と身解するのか。
人物が憑依し、土着し、生み出す脳みそまでも変化する…
嶽本脳内劇場を具現化するキビシさとタノシさ両方を感じつつ、
魅力溢れる俳優さん、スタッフさんと研鑽の日々であるー
本日はご来場いただき誠にありがとうございます。
一人でも多くの方の心の奥底に響く作品でありますように。
藤井ごう
追記:ちなみに前述の「太平洋食堂」再開店、決まりました(笑)