橙々色の愛 | メメントCの世界

メメントCの世界

演劇ユニット「メメントC」の活動・公演情報をお知らせしています。

橙々色の愛 ・・・ 嶽本 あゆ美

 太田さんの劇団 連跿 
 第六回公演橙々
 作・演出 太田衣緒

 新宿ゴールデン街劇場
 8月7日~12日

メメントCの世界


 田中史子の出演公演の後は、太田さんの芝居があきました。
 不連続な徹夜と殺人的多忙を押しのけ、夏の暑い空気をクロールでかきわけて、公演に駆けつけました。
 どうにもこうにも体が動かず、なかなか現れない私を心配して、大津舞台監督が、「大丈夫ですか?」と電話をくれたのですが、
 やっぱり迷いました。でも、道を行く人はみな親切で、ゾンビの様な私を劇場へと盥回しのように案内してくれました。

 昨年、チェーホフで中年女性のラブをかっさらったアナニエフ清田氏(勝手に呼んでごめんなさい)が、夏にふさわしいステテコ姿で、またも大人の愛を体当たりで演じていました。
 巻き爪の権威である整形外科医とその妻の真夏にふさわしい葛藤というよりも、もがきまくる乾いた妄執のような愛、でいいよね。
 丁々発止と飛び交う、干上がったような夫婦の愛憎尽き果てたせりふが、独身でまだ若い太田さんの脳裏からどのように飛来したのか、驚くほどのインパクトでした。こんなスリルのある会話をしていたら倦怠期も来ないんじゃないかと思って、うらやましくなりながら、達者な俳優さんの人生の灰汁も相乗効果で冒頭から私を楽しませてくれました。そして素敵な下着姿の唐組の藤井さんを見ながら、「ダイエット」を思い出したのは私だけではないはず。こういう所、オヤジ目線。

 インターンを演じていた加藤さん、八百屋のワダさんも上滑りのない生活感と皮膚感覚で、脚本に寄り添っていました。
 太田さん、幸せ者です。恋が書ける若さっていいね、と愚痴ったら、「云うほど若くない」とはたかれました。
 うらやましさと過ぎ去った恋の季節を思いながら、メメントの三人はルノアールに消えていったのです。(って思ったのは私だけかもね)

 さあて、清田氏、十二月はメメントの「クララ」にて上海の特務機関の男になってもらいます。どれくらい、中年女性の心をとろかしてくれるかな?
 もちろん、若いお嬢さんがたもお楽しみに!!


メメントCの世界
*本日はメメントみんなでやってきました。

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*いつも素敵な大人の男:清田さん!

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*いつも笑顔の大津さん、いつもお世話になります。