声と台詞の間で~堀田りえこさん
今回、参加された作家の一人、堀田さんについてご紹介いたします。チラシをご覧になった方はお分かりですが、各地のNHKのラジオドラマ脚本賞をいろいろとられているだけでなく、ショートフィルム、アニメのシナリオでも受賞しております。いわば、言葉のプロです。メメントのいくつかの公演をご覧になり、是非、リーディングに参加されたいとのことで、今回、「発酵シタラバ、」の作・演出でご登場となりました。
芝居とラジオドラマはかなり違います。ラジオドラマは聴覚上であらゆる場面設定を感じさせ、表現しきるものです。モノローグ、ダイアローグ、空間の音、効果音、BGを演出のもとに重ねて録音していき、最終的にステレオの音に落とし込みます。人間は左右の耳で位置情報を確認しているので、左右の耳から聞こえる音の反響やズレによってその音の発生した場所、現在いる場所の状態の情報をたくさん得ています。定番はお風呂の中の音で、残響が深く湿ったようなエコーが聞こえれば、誰でも「入浴シーンですね」となるわけです。
今回、堀田さんはそういうラジオドラマを劇場で、生でやります。もちろん、生でやるからこそ生きる演出、せりふが目白押しです。先週、珍しくメメントチームは六本木のスタジオで、ナレーション録音をしました。プロのエンジニア付きという贅沢な環境で、サクサクと、たくさんのナレーションを収録できました。さて、これをどう再生するかというのが、腕の見せ所ですが、ハイテクに頼らずアナログな手法で、あっと驚くドラマをご覧にいれたいと思います。と、いばっておいても、音響が主になるのではなく、あくまで生のドラマに付き従います。内容はかなり大人ですね。素敵な台詞は、文字でなく声となって降り注ぐでしょう。スリリングなドラマにご期待下さい。
ちなみに、メメントの「スリーピース」では、堀田さんにお借りしたシンギング・ボールを活用致します。何に使うか??本番まで内緒。