近況報告です。その1 ・・・ 嶽本 あゆ美
毎日、寒い日が続きますね。
これくらいで寒いと言ってはいけないのかもしれませんが、とにかく、パソコンに向かっていても寒いので、電源アダプターで足の親指を温めております。
今、私はデンマークの話をいじっておりまして、ノルウェイの使者とかイギリス使節とかもおりまして、かなり寒い国の感じです。
そこで起きました殺人事件の真犯人を探しているのですが、なにぶん、昔の事で状況証拠しかありません。難航中です。
五回続けて読むとこっちの頭がおかしくなりそうですが、まだまだ足りないようです。てか、あちこちにちりばめられている作家の愚痴を笑いながら読みつつ、墓掘りの歌を演歌調で歌っております。ミュージカルではありませんが・・・
来年の二月にやる「ハムレット」を題材にした劇団BDPの脚本です。詳細は乞うご期待、ホレイショー劇場へようこそ
さて、オフィス・サンタの鈴木あきらさんから、昨年八月のメメントC第四回公演の劇評を頂きました。とてもほめてくださってほめすぎかとも思いますが、メメントCはとても嬉しくて泣いております。いつか必ず再演したいと思うので、みなさん、又来てね!
じゃなくて
どうも、頭が回っておりませんが、自分の云いたかったというか、チェーホフのこれは何だ?という思いを鈴木あきらさんに、まとめて頂いたという感じです。
トム・ストッパードの「コースト・オブ・ユートピア」を読みながら、あの主人公のゲルツェンが何やりたいのか、ストッパードが何を書きたいのか読み切れず、忍耐に忍耐を重ねて最後の幕までたどり着き、ああ、そうか!と手を打った時の事を思い出しました。
鈴木氏の云う通り、あの頃のロシアの不条理感を、この日本でも感じる今日この頃です。
というか、年末に「坂の上の雲」を見ながら思ったのです。まるで、昔の上演記録を見るような、私は最高だった!みたいな同窓会的な嬉しさ。
実際、すごくかっこ良いところもありました。しかし、それは何だかこないだのオリンピックで金メダルを取った素晴らしい瞬間をプレイバックしている感じでした。
みなさん、ご存じでしょうが司馬遼太郎は、明治四十年の中で驚くほどのスピードで近代化した日本人をたくさん題材にして書いています。どれもおもしろくて、大河ドラマにぴったりです。原作司馬遼太郎となってなくても、大体みんなネタにしているでしょう。
そういうあらゆる個性があの時代に政治の転換を経て世の中に出る機会を得たわけです。
しかし徳川三百年が、明治四十年で、原語でマックス・ウェーバーだのシェークスピアだのを読む訳ですから本当にすごいことです。
戦争するのだって、気合いだけじゃ勝てなくて、戦略・ストラテジーだ!と日本人で初めて言い始めたのもこのころです。
もっとも、羽柴秀吉は体で分かっていたようですが。
で、自由民権やら、万民平等、世界平和に目覚めた日本人が、近代に突入し資本主義という世の中を選んだ、その事が不幸の始まりだと書いている人が何人もいます。それしか選びようがなかったともいえるのですが、夏目漱石も、愛する大石誠之助も、マルクスも、幸徳秋水も、このまま、便利で金さえあればの世の中へ突入すれば、国家も市民生活もなくなるグローバル経済の世の中が来るとわかってたそうです。
われらの迎える、「坂の上の雲」に向かうこの近代が、不幸だと知った上でやはり、皆が乗ったタイタニック号よろしく近代化に突入するわけです。胃潰瘍にもなるわけです。
(つづく)