ひたむきな情熱 | メメントCの世界

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演劇ユニット「メメントC」の活動・公演情報をお知らせしています。

ひたむきな情熱 ・・・ 嶽本 あゆ美

 本日、太田衣緒 作・演出の連踪(レンズ)第五回公演「善良な戦士」を雑遊にて観劇して参りました。今年になって初めて会ったメメント・メンバーとも年始の挨拶ともなり、劇場はアットホームな雰囲気でした。
 緊張した太田さんこと太ちゃんも受けつけに居まして、そのひきつり具合からきっと舞台は期待できるだろうなあ、と一人思いながら客席に着きました。
 
 あんまり感想を書くとネタばれするので、私の印象だけを羅列致します。支離滅裂かもしれません、しかし今日の雰囲気を少しでも感じて劇場に足をお運び頂ければ嬉しいです。よく宣伝で一見の価値ありと申しますが、本日、一見の価値以上がありまして太田さん、成長著しいです。お母さんでもないのに、非常に嬉しくなり、これはヤバいぞとも思いました。

 芝居を見れば太田衣緒という人の事が良くわかるでしょう。もちろん、作者で演出もしているのだから、そこにどんな形であれ、その人間がさらけ出されていなかったら、或る意味、無意味です。役者が己をさらけ出せばよいわけじゃないのは、皆さんおわかりでしょうが、やはり台本というものも、自らをさらけ出しても単なる露悪趣味でしょう。

 太田さんは自分をよく知っています。その目は厳しいというよりは自分から相当の距離をとって望遠レンズで眺めて覗いているかのようです。腕利きのスナイパーの様にとでもいいましょうか、自分で自分を狙っているのが良くわかります。ひりついた、潤いの足りない、もどかしい何かが、五人の女と焼き芋売りの兄弟によって、強い目線の先に描き出されておりました。

 「筆を運びながら逡巡した」様な事がパンフに有りましたが、その後は明瞭です。何も、筆の迷いではない、作者の心の逡巡が良く見えました。若い女が、逃れようもなく年齢の階段を上って行き、あるドアを開ける瞬間、その先へ踏み出す事の戸惑いと、後ろめたさみたいなものが或る種、エロスを伴ってそこに有りました。彼女は何かを目指し踏みこんでいます。そしてその手ごたえを、無明の中で確かめて居るのでしょう。手に触るゴツゴツとした荒々しい何か、その温もり、肌理の粗さにひるみながらも、その感触の誘惑に勝てずに触り続けているようです。きっと、その内にその手に何かを掴むでしょう。

 「善良なる戦士」17日火曜までです。

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連跿 第五回公演
「善良な戦士」

作・演出 太田衣緒
2012年1月12日(木)~17日(火)

■お問い合わせ・チケット予約
TEL 090-9101-6644
E-MAIL kotira-LENZ@softbank.ne.jp
WEB http://www014.upp.so-net.ne.jp/LENZ/

http://www.zatsuyu.com/performance_info.html


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