私のページにお越し下さり、ありがとうございます。これは、私が実際に経験した実話です。事実だけを綴っています。


はじめましての方はこちらから見ていただけると嬉しいです☆登場人物紹介を追記してます 





前回↓からの続きです


私は目を覚ましました。
地面に顔を突っ伏したまま
どれくらいの時間が経ったのだろうか、
外は真っ暗で、きっともう真夜中でした。


小雨も止んでいて、
まぼろしの先生の姿も
もう見えませんでした。
寒くて震えながら
顔に付いた泥を払って立ち上がりました。




かじかむ手でホースやガムテープを外し、
オンボロ車のエンジンをかけました。
車内はやがて暖かくなりましたが、
なぜか手の震えが止まりませんでした。




物音ひとつしない、
視界に何も映らない
真っ暗な森の中でした。




その静寂が怖いのか
それとも他のなにかが怖いのか
はたまた人生が怖いのか
これからまた生きて行くことが怖いのか、
私は見当もつかずに
ずっと震えていました。




ただ、それでも私は確かに生きていました。




そしてなぜか漠然と
これからも、
きっとこうやって自分は
無様な醜態を世に晒しながら
生きて行くんだろう、
と思いました。




人生に期待をしていた昨日までの自分を
少し遠くから見ているようでした。
苦しみの根源をそこに見つけ、
もう二度と楽になろうとなんてしないと
そんなふうに考えました。



私には無理だったんだ。
得られなかったんだ。
求めるから辛いんだ。
追いかけるから苦しいんだ。



口の中に入った泥を袖でぬぐいながら
諦めのような、覚悟のような、
そんな形で
自分の人生を受け入れようと思いました。



愛…

幸せ…



私は愛を求め彷徨い続けるのか?


そしてその結論を知りたいのか?
いや、知りたくないのかも知れない



求めるものは得られないのが世の常…
苦しさを受け入れて
ただ生きていく…と。




人生が
失くしたものを探し続ける旅なのならば、



人生が
望む答えを得られるまで
尋ね続ける旅なのならば、



それは愚かなこと。
諦めよう…
だって、なくしたものたちは
かけがえの無いものだったから…



お腹にきてくれた赤ちゃんは、
本当に愛してやまない
かけがえのないものだったから…



そして、
お腹の赤ちゃんがくれた
喜びや愛しさも、
大好きだった先生のくれた
優しさやときめきさえも、
かけがえのない宝物だから…




区切りをつけよう…
罪悪感も悲しみも全て受け入れて
その思いを抱きしめながら
別の旅に出よう…




私は夜明けを探すように、
森の中を出発しました。



【次へ続きます】