私のページにお越し下さり、ありがとうございます。これは、私が実際に経験した実話です。事実だけを綴っています。
はじめましての方はこちらから見ていただけると嬉しいです☆登場人物紹介を追記してます
私は手術をやめた日の夜、
太田先生に電話をかけました。
3回続けて電話をかけたら、
先生はやっと出てくれました。
「ナオコ…」
いつもと変わらない
先生の声でした。
この人のためなら死んでもいいと思うくらい
命をかけて愛した
大好きな大好きな先生の声が、
そこにはありました。
「先生……」
私は挨拶もせず切り出しました。
「先生からの援助も
何も要らないって言ってるのに、
私が一人で産んで育てるってことが
なぜ先生にとって困るの?」
さらに聞きました。
「今、他に付き合い始めた
女の人がいるんでしょ?
子供が邪魔になるからとか
そんな理由なの?」
いつもと違う私の強い口調に、
動揺している先生の様子が
電話越しに伝わってきました。
先生は返事をせず黙っているだけでした。
「何を言われても、私、産むから」
私はたたみかけました。
返事がないので質問をかえました。
「今、誰が一番大切なのか教えて」
私は聞きました。
分かっていたけど敢えて聞きました。
心に刻み込むために聞きました。
先生は困ったように言葉を探していました。
「お、おい、ナオコ…」
「先生、けじめとして最後に、
最後に本当のことを聞かせてほしい…
彼女でしょ?」
すると先生は
「今の彼女?かなあ、
でもお前のこと、もちろん好きや。」
と先生は言いました。
私は全身の力が抜けていくのがわかりました。
先生らしい答えでした。
率直な言葉で悪気もなく
人を傷つけもし、喜ばせもする、
結局は受け入れるしかないと思わせるような、
正直な人でした。
最後に、
「先生はどうして私を大切にしなかったの?
先生が大切にする女性と私は
いったい何が違ったのか教えて。。。」
と聞きました。
これは、純粋な疑問でした。
先生は答えました。
「そうやなあ。
お前のこと好きやねんで。
でもお前は放っといても
何でも言うことをきくって感じがするねん。
ほっといても絶対離れていかんっていう。」
私は電話を切りました。
これが
私が尊敬し、
初めて愛した人の最後の言葉だったのだと
私は自分自身に言い聞かせました。
そして心に誓いました。
もう決して後ろを振り返らないと。
【次へ続きます】

