エーリッヒ・フロム「愛するということ」から
・孤立しているということは、他のいっさいから切り離され、自分の人間としての能力を発揮できないということである。
・人間のもっとも強い欲求とは、孤立を克服し、孤独の牢獄から抜け出したいという欲求である。この目的の達成に全面的に失敗したら、発狂するほかない。
・愛は、人間のなかにある能動的な力である。人をほかの人びとから隔てている壁をぶち破る力であり、人と人とを結びつける力である。愛によって、人は孤独感・孤立感を克服するが、依然として自分自身のままであり、自分の全体性を失わない。
・自分自身の個性を尊重し、自分自身を愛し、理解することは、他人を尊重し、愛し、理解することとは切り離せないという考えである。自分自身を愛することと他人を愛することとは、不可分の関係にあるのだ。
ニーチェ「ツァラトゥストラはこう言った」から引用改造
・他者に愛されたければ他者を愛さなければならない。他者を愛するためにはまずおのれ自身を愛さなければならない――これが賢者の教えである。
・あなたの自分自身に対するうまくいかない愛が、あなたの孤独を牢獄に化しているのだ。
・「集団内には、いつも余分な者として扱われる孤独な存在がいる」
――愛の不足した孤独な人は自分についてそう考える。
「孤独はいつも1×1だが――長いあいだには、それが2になってくる」
「私」は「私」を相手にして、いつも対話に熱中しすぎる。
孤独な者にとっては、友はつねに第三の者である。
・私は――愛が足りなかったのだ。もしもっと愛があれば、彼ら笑う人たちをも愛したであろうに!
村上春樹「ダンス・ダンス・ダンス」から
・「私、あなたの為に言ってるのよ。誰かあなたの為に何か言ってくれる人、他にいる?どう?そういうこと言ってくれる人、他にいる?」
「いない」と僕は正直に言う。一人もいない。
村上春樹「1Q84 BOOK2」から引用改造
・ 「僕には本当に困った時に助けてくれて相互的なコミュニケーションに応じてくれて承認を与えてくれる本物の友達がいない。ただの一人もです。そしてなによりも、他者をうまく愛することができていない。なぜ他者をうまく愛することができないのか?それは自分をうまく愛することができていないからです。人は他者に愛されることによって、自分を愛することができるようになり、そこから他者を愛するようになれるのです。僕の言っていることは分かりますか?自分をうまく愛することができないものできないものに、他者をうまく愛することなんてできません」
姜尚中「悩む力」から
・愛とは、そのときどきの相互の問いかけに応えていこうとする意欲のことです。
サン=テグジュペリ「人間の土地」から引用改造
・彼は愛によって、あらゆる土地に、地上のあらゆる樹木に、つながれていた。
・道路は不毛の土地や、石の多いやせ地や、砂漠を避けて通るものなのだ。道路というものは、人間の欲望のままに泉から泉へと行くものなのだ。
・これは愛の不足した孤独な人の自負心を殺ぐがためだった。なぜこんなことをするかというに、彼らが、見世物にされている愛の不足した孤独な人を言葉や音声で虐待する理由は、憎悪のためより、むしろ軽蔑のためだったから。
・彼には、気ままな歩行を妨げる人間相互関係による制圧が欠けていた。彼には、人が、何にもあれある行動をしようとすると、必ずそれに付随しておこる、あの涙が、別れの悲しさが、譴責が、よろこびが欠けていた。彼にはつまり、彼を他の人間たちに結びつけ、彼を重厚にするあの無数の関連が欠けていた。
・人間というものは、どうやら、どんなことにも慣れるものらしい。
・ぼくは、自分の中に、非常に干からびた感情以外には、何一つ見いださない。
・戦争を拒まない人に、戦争の悲惨さを理解させたかったら、彼を野蛮人扱いしてはいけない。彼を批判するに先立って、まず彼を理解しようと試みるべきだ。
サン=テグジュペリ「夜間飛行」から
・どれだけの努力が、自分をこの闇の縛の中から自由にしてくれるものか見当がつかなかった。
・彼女は自分の質問のエコーだけしか与えられないことに気づいた。
・わずかに今ファビアンを現世につなぐものは、この音楽的な電波であり、かすかな音の高低でしかない。嘆きもない。叫びもない。あるものはただ、かつて絶望が発した最純粋な響きなる、電波だけ。
村上春樹「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」から
・郵便配達夫が赤いスーパー・カブに乗ってやってきて、玄関のわきに並んだ郵便受けに手際よく郵便物をふりわけていった。眺めていると、どっさりと郵便物をつめこまれていくボックスもあれば、まるで郵便物のこないボックスもあった。私のボックスには彼は手も触れなかった。見向きもしない。