20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
サイドウェイ 特別編

2005年アカデミー脚色賞受賞作品です。作品賞の候補にもなりました。ストーリーも描写も大人向きで、どうやらR-18指定がかけられているようです。主要な登場人物がことごとく中年であることからも窺えるように、派手な作品ではありません。もちろんそこが良いわけですが、純文学的な映画が嫌いな方は避けるべきかと思います。特に若い人にはキツイかもしれません。(こんなことを書いている私は20代なのに良い作品だと感じましたが…)


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小説家志望の中年英語教師マイルスは、結婚を目前に控えた元人気俳優のジャックと共にワインツアーの旅に出る。彼らは大学時代のルームメイトで、腐れ縁が長年続いてきた。ワインツアーは年貢の納め時を迎えた親友のために、マイルスが企画して実現したものだ。


うだつの上がらないワインオタクのマイルスは、小説が初めて出版されるかどうかの瀬戸際。彼は2年前に離婚した前妻を、いまだあきめられずにいる。ジャックに言わせれば、マイルスは常に「マイナス思考」。対するジャックは無類の女好きで、結婚を目前に控えているというのに旅で「ヤリまくる(原文ママ)」と公言してはばからない。


ジャックの目論見通り、2人は旅行中に女性達と知り合う。喜び勇んで口説きにかかるジャックと、イマイチ気の乗らないマイルス。それでも、2組のペアは親交を深めていく。


そんな中、マイルスの前妻が再婚したことをジャックが明らかにする。しかもジャックの結婚式に来るという。ショックを受けたマイルスは塞ぎこむ。一方で、ジャックの火遊びにも徐々に暗雲がたちこめていく。


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旅行が始まった途端に自家用車の中でワインを空けて乾杯するダメ中年2人。彼らはもはや若くなく、作品を通して成長らしい成長を見せることもありません。片方が前妻の再婚にショックを受けて立ち直れなくなるかと思えば、もう一方はどんなにひどい目にあっても女好きが直りません。小説家デビューや人気俳優としての復活といった望みも、必ず成就するとは限らないのです。


それでも、作品のラストシーン近くになれば彼らは前進を見せます。ジャックは結婚し、マイルスは離婚の痛みから立ち直ろうとします。2人とも立派な大人からは程遠いかもしれませんが、それでも懸命に人生を送っている…なんて書くとおおげさでしょうか。


ともあれ、本作の登場人物は普通の人々です。ダメなところがたくさんある、とても人間くさい彼ら。そういう意味で、映画に非現実を求める方々に本作はお薦めできません。逆に、彼らに愛着を覚えることができる方はぜひ。


ベットシーンが何度か出てきます。ご家族での視聴には向きません。


オススメ度 ★★★★☆

タイトル: ターミナル DTSスペシャル・エディション

トム=ハンクスとキャサリン=ゼダ=ジョーンズの共演でちょっとだけ話題になった、スピルバーグ監督作品です。公開当初はそれなりに期待されたのですが、「2004年米公開映画ワースト10」(Newsweek誌)にランクインしてしまうなど、不名誉な結果に終わりました。


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旧ソ連圏の小国からニューヨークにやってきた主人公(トム=ハンクス)は、空港で入国を拒否される。彼の母国で内乱が起こり、パスポートが有効でなくなってしまったのだった。入国はできず、帰りの飛行機は飛ばない。法の隙間に落ちた彼は、長期の空港生活を余儀なくされる。


空港の保安機関は彼を厄介者扱いし、不法入国させてしまおうと目論む。そうすれば他の機関の管轄になるからだ。しかし、彼は動かない。空港の中で金を稼ぐ術を身に付け、空港の職員達とも徐々に打ち解ける。


周囲の協力の下に、主人公は美人のスチューワーデス(キャサリン=ゼダ=ジョーンズ)とも親しくなる。妻子持ちの男と不倫関係にある彼女は主人公に苦しい心の内を打ち明け、彼はそれを包容しようとする。そうしたやり取りの中で、主人公がニューヨークに来た目的が明らかになる。それはある「約束」を果たすことだった。


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「究極の完成品」、「感動のドラマ」(共に公式サイトより引用)という売り文句は、残念ながらやはり過剰だと思います。どう贔屓目に見ても、「良い話」がせいぜいです。


誤解しないでください。私はそれほどひどい映画ではないと思っています。期待しすぎると裏切られるだけです。全く害の無い作品なので、家族で鑑賞するのに良いかもしれないと感じました。


オススメ度 ★★★☆☆




タイトル: イン・アメリカ/三つの小さな願いごと

幼い末弟を失った悲しみを引きずる家族が、ニューヨークで立ち直っていく姿を描いた作品です。「ジム=シェリダン監督一家の実体験がもとになっている」と紹介されていました。

アイルランドで幼い息子を失った悲しみから立ち直れない若夫婦は、ニューヨークで再起を図ることを決意する。2人の娘を連れて観光ビザで入国すると、ボロボロの古いアパートに居を構えた。

アイルランドで俳優だった夫はブロードウェーを目指すが、なかなかうまくいかない。生活は困窮し、妻がウェイトレスの仕事で稼いだ金をやりくりする日々が続く。

そんな中でも、まだ幼い2人の娘はニューヨークでの生活を楽しむことができた。新天地での生活が与える刺激は彼女達にとって十分なものだったらしい。ほどなく2人は好奇心を同じアパートの住民達に向けるようになる。そしてそのうちの1人に、重病を患う黒人アーティスト「マテオ」がいた。家族が死別の悲しみから解放されるきっかけを、やがて彼はつくることになる。


ちょっと重い内容の映画ではありますが、家族が悲しみから立ち直る道程を丁寧に描いた作品だと思います。ラストシーンではつい感動してしまいました。

2人の娘は実の姉妹だそうです。決して明るくないストーリーが展開される中、微笑んでしまいそうになるほどの2人の愛らしさは、随所で映画を見ている人間を救ってくれます。(もちろん両親である若夫婦も)

タイトルの「3つの小さな願いごと」は大ウソですので、十分ご注意を。実際には全く小さくない願いごとです。このタイトルで「見よう」と思ってしまうと違和感を感じることになるでしょう。

オススメ度★★★★☆
タイトル: 恋人までの距離(字幕)

今から10年ほど前の、少し古い映画です。本作の続編にあたるBefore Sunset(2004年製作)が気になったので見てみました。

簡単に言ってしまうと、ユーロトレインの車中で偶然出会った若い男女が意気投合し、ウィーンで一夜を共に過ごす話です。最初から最後までひたすら甘々(あまあま)な展開。20代前半の2人が男女関係や人生について語り合い、出会いが運命的だったことを確信した後、半年後の再会を約束して別れます。糖度の高い恋愛物が好きな方にはオススメ。

本作の公開当時は話がここで終わっていました。しかし、現在では続編の公開によって、再会の約束が果たされなかったことが明らかになっています。続編は「そして9年後、偶然にもパリで85分間の再会…」というストーリーだそうです。女性は既に結婚していて、男の方にも9年前とは事情が変わっているんだとか。詳しいことは見てから書きたいと思います。

本作の中で、主人公の男は相方の女性をこんなふうに口説いてウィーン市中に連れ出します。「これは未来から現在へのタイムスリップ。結婚して安定した生活を送っている君は、何かが足らないと感じている。そこで、何か失ったものがないか確認するために、時空を超えて今夜一晩僕につきあう。そして、結局は何も失っていないことを確認する。」

実際はどうなのか、「Before Sunset」を見れば分かるかもしれません。楽しみです。

オススメ度★★★☆☆



タイトル: みなさん、さようなら

家族を犠牲にしながら人生を謳歌した末期ガンの男が、息子の力によって幸せな最期を迎える話です。第76回アカデミー外国語映画賞受賞作品。登場人物は同監督の「アメリカ帝国の滅亡」と同じだそうです。

大学教授の主人公レミは、奔放な性格で女好き。妻には愛想を尽かされ、息子とは絶縁状態が続いていた。そんな彼が末期ガンの宣告を受ける。

知らせを聞いたエリート証券マンの息子は、対立のしこりを残しながらも父の「幸せな最期」のために奔走する。父親の旧友たちに連絡をつけ、私財を投じて病室を改装し、鎮痛剤代わりに麻薬まで調達してしまう。

努力のかいあって、レミの闘病生活は明るく充実したものになる。しかし病魔は確実にレミの体を蝕む。自らが直面する死をなかなか受け入れられなかったレミだが、ついに最後の決断をする。


とても哲学的な映画です。監督の思想が色濃く反映されていて、単に死を扱った映画とは少し違います。歴史学者であるレミを通じて、「蛮族の侵入」(原題)が何度も強調されるのです。侵入されるのはアメリカだったりカナダだったり、あるいは歴史上の国家だったりします。しかし、レミに言わせればいずれも「蛮族の侵入」を受ける点では同じなのです。学者として大きな業績を残すことがなかったレミですが、彼は闘病中、周囲にこの思想を熱心に説きます。

それにしても、レミの息子はすごい。有能なエリートで、若くして金持ち。そして父親のためなら手間も金も惜しみません。理想的だと思います。

登場人物がかなりキツイ大人の冗談を飛ばします。家族で見るには不向きな映画です。ご注意ください。

オススメ度★★★☆☆