これは後に、"伝説のヤンキー"と呼ばれる大島優子の始まりの物語である。
現在、某県内には数多の高等学校が建てられており、中でも所謂"ヤンキー校"と呼ばれるものが、他県よりも多く存在する。
その内の1つである、ここ"私立馬路須加女学園"、通称マジ女に新たな時代が生まれようとしていた。
-マジ女 体育館-
ここに今日、新たな仲間を迎えるべく、入学式が開かれようとしている。
一室に集められた新入生たちは、右も左も血の気が多く、既に一触即発の状態にあった。
そんなアリーナの様子を舞台袖から覗く、マジ女の制服に身を包む1人の少女。
?「篠田に、板野、柏木、秋元、そして怪事件の唯一の生き残りである小嶋陽菜か…。錚々たる顔ぶれだなぁ…」
【吹奏楽部(ラッパッパ) 3年
副部長 折井あゆみ】
折井「約2名、姿が見当たらねぇが…。他所にでも流れたか?…何にせよ、今年のマジ女は荒れそうだ」
自然と笑みが零れたそのとき、音割れしたそれが体育館中を駆け巡った。
何事か?とその音源を辿っていくと、マイクスタンドの前に立つ、正装に身を包んだ男性教員の姿が映る。
彼は今一度、声を発する、この催しの序開きとなる為の言葉を。
男性教師「ただいまより、私立馬路須加女学園の入学式を…」
【馬路須加女学園 担当教科:数学 クウキ】
そう発せられたとき、突如として閉ざされていた表玄関の扉が開かれた。
再び1つの事象に対して、視線を集めた新入生たち。そこで見たのは、小柄な少女。
そんな少女は欠伸をしながらに、ずかずかとフロアを突っ切り、新入生集団の先頭に立った。すると、不意に近くに座っていたヤンキーを殴り飛ばし、椅子を奪い取っては腰を掛ける。
?「わりぃ…。ちと遅れた」
【馬路須加女学園 新1年 大島優子】
優子に集まっていた視線は、殴り飛ばされたヤンキーへと移り、注がれていた。一向に起き上がる気配を見せないそのヤンキーに、周囲は次第にざわつき始める。
クウキ「静粛に。静粛に」
しかし、その声はマイクを通して尚、ただの1人にも届かない。
優子のそれを皮切りに、新入生たちはいよいよ戦闘態勢へと移す。徐に優子との間合いを詰め始め、気づけば手の届く距離にまで迫っていた。
だがそんな状況下でも、当の本人は一切動じていない。
殺気に満ちた空気が遂に爆発するかと思われたが、それを食い止めたのはマイクを通した女性の声。
その声から受ける何とも言えない威圧感に、騒がしかったヤンキーたちは静まり返った。
?「まったく…今日と言う晴れ舞台ですら、汚さないと気が済まないのですか?あなたたちは」
【馬路須加女学園 校長 野島百合子】
静寂に包まれたのを確認すると、野島はマイクスタンドから離れる。
野島「ではクウキ先生、お願いします。」
その言葉で、クウキは再度マイクに声を通す。
クウキ「それではこれより、私立馬路須加女学園の入学式を開式いたします」
やっとのことで開かれた入学式は、堅苦しい式次第をすっ飛ばして、学校長式辞へと流れた。
クウキの合図で、野島は舞台へと登壇し、この催しのメインイベントを始める。
野島「先程はまぁ…バカ真面目に怒鳴ってみましたが、これから先の school life で口を出すことはないでしょう…。ですから、自らの手で晴れ舞台を汚さないこと。そしてマジに生きること。この2つを忘れないでください」
それを最後に、舞台を降壇する。その最中に流れる校歌[桜の栞]
アウトロが流れ終わると、閉会の辞へと移る。
クウキ「これを以ちまして、私立馬路須加女学園の入学式を閉会いたします」
力強く放たれた声で、この催しは締め括られる。
すると、今の今まで大人しくしていた新入生たちが動き始めた。
ものの数分で、腹四分目まで敷き詰められていたフロアは見る影もなく。
寂しくなったこの場所で、優子は1人座ったまま動かない。徐に体が揺れると、次の瞬間床に叩き付けられた。ゆっくりと、打ち付けた側頭部を押さえながら体勢を直す。
優子「ふぁ~~~。よく寝た~って、あれ?誰もいねぇや。ったく…終わったんなら起こせよな」
ぐちぐち言いながら立ち上がると、外へと向かって歩き出した。
ここから始まる
マジ女史に刻まれる
大島優子の伝説が