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私は少しずつだけどおねーちゃんに心のなかを見せられるようになっていった。

そして、あの日以来彼女は毎日と言っていいほど「今日は学校どうだった?」と気にかけてくれていた。

学校でどんなに辛いことがあっても家に帰ればおねーちゃんが話を聞いてくれる。

家族みんなで暮らしていくことはなくなってしまったけど、代わりに心の拠り所ができ、おねーちゃんと一緒にいたいと強烈に思うようになった。

ママがいない寂しさもなかったわけではないけれど、正直言えばママがしてくれなかったような事もおねーちゃんは本当によくしてくれた。

私のなかでママも特別、おねーちゃんも特別というふうになっていった。当時はまだ小学校3年生くらいで家庭のなかが色々騒がしい時期だった。

それでも彼女がいてくれたからこんなに心が強くなれた。今も強くいられる。私が傷ついて泣いていたその気持ちに、しっかりと寄り添ってくれていた。いつもとても大事に。

始めはお兄ちゃんの彼女だったけど、お兄ちゃんよりおねーちゃんが好きになるのは時間の問題だった。
そのうち血の繋がったお兄ちゃんよりも深い絆ができ、血縁関係なんてものは私達の間に微塵もなかった。

少なくとも私は子供で面倒を見てもらう側だったから、おねーちゃんが好きっていう気持ちに全力を注いでいられた。

親の心子知らずというように、おねーちゃんが複雑な気持ちを抱えている事を私が理解するのは当分先の話。

今でも親になったわけではないので完全には理解できていないし。
当時はどこにいくにも何をするにもおねーちゃんの隣。
常に近くにいたくて、二人だけっていう空間がほしかった。

今にしてみればそれは私だよとどこかから声が聞こえてくるようなこないような・・・

しかし私の願いも空しく、その行く手を阻んだのが2つ年の離れた姉だった。

姉はとても強く喧嘩をすれば2秒で撃沈だ。立ち向かおうとするものなら返り討ちにあい泣きをみることになる。

我が家ではミニボブサップという名をもらっていた。それくらい本当に強いのだ。

だからサップ。

一度ボブサップと本気で戦ってほしいとずっと思っていたが口に出したら何をされるかわからないから黙っていた。

サップは性格にも癖があり、とにかく頑固。私が言うくらいなのだから相当なものだ。
こうといったらこうというところがあり、融通はきかないタイプだった。
でも繊細な心を持っていて私なんかより傷つきやすいタイプなんだと思う。

どちらかというとパパやママがいなくて寂しいと思っていたのはこの子だった気がする。

私達は独占欲がとにかく強くて、サップとはおねーちゃんを取り合う日々が続いた。

しかし、私はへなちょこだったためなかなかサップに立ち向かえずにいた。
おねーちゃんと一緒にいたいのにサップが邪魔をする。悔しい。
サップ嫌だ。

こんなとき私の闘志を燃やすのがおねーちゃんだ。

私達が自分を取り合って戦っているのが面白かったようで私が負けて悔しがっていると
「負けちゃっていいの?おねーちゃんのことサップにとられちゃっていいの?」
なんて聞いてくる。

いいわけないだろう!!おねーちゃんをサップにとられるなんて絶対に嫌だ!!

とサップに体当たりで喧嘩をしにいくのだが、撥ね飛ばされて床で泣くというパターンがお決まりだった。

おねーちゃんも性格的にSだからそれを見て笑ってしまっていた。

私はこういうところから気がキツくなっていき、闘争心というものができていったのだと思う。

でもサップの独占欲も相当で、おねーちゃんに近付く事すらできなくなった。理不尽で悔しかったのにサップに勝てない。
私だって二人になりたいのに。

それをおねーちゃんに伝えたら夜の時間を作ってくれた。サップが寝てから二人でゆっくりお話しするのだ。

「melon、今日起きてるから後で話したい。」

それでおねーちゃんにたくさん甘えるの。

おねーちゃんもサップには手をやいていて融通が聞かなかったから、どちらかというと聞き分けのよかった私が折れていた。

コンビニに歩いて3人で買い物にいったときの帰り道、サップの拗ね方は今でも覚えてる。
拗ね始めたらそこから一歩も歩かない。本当に歩かないのだ。

腕を引っ張って帰らせようとしても頑なに動かない。あそこまで融通がきかないのだからおねーちゃんも、手をやくのは当たり前だろう。

私にはいつもごめんねと謝ってくれていたので、おねーちゃんがそう思ってくれているからこそ、サップの事では我慢しようと思っていた。
でもサップがいつも優先だったから私よりサップの方が可愛いし好きなんだとひねくれ始めた。

私の方がおねーちゃんを困らせないように頑張ってるのに、我慢してるのに、どうしてサップばっかりなの?と。

ここまでいくとおねーちゃんも困ってしまい夜の時間を作ってくれたのだった。