7/2(日)に僕がプロデュースするRAYとゆるめるモ!さん(最大の敬愛を込めて以下敬称略)とのツーマンライブが開催される。ゆるめるモ!は僕のライブアイドル原体験と、派生して現在まで続く僕のアイドル運営観に、強烈な影響を与えた存在だ。ゆるめるモ!がいなかったらアイドル運営としての自分は間違いなく存在しなかったし、僕個人の人間性や考え方すらも全く違うものになっていたと断言できる。とにかく人生に強烈な影響を与えたアイドルグループなのだ。ちょっと長くなるが、このツーマンが、ゆるめるモ!の存在が自分にとっていかに特別かということを書きたい。

 

ゆるめるモ!は2012年に結成し、昨年10周年を迎えた長寿ライブアイドルグループだ。活動歴が10年を超えるライブアイドルグループは数えるほどしか存在しないこの業界(3年を越えれば「長い」と言われる業界)において、”超”長寿グループと言える。2010年代の群雄割拠のシーンをして「アイドル戦国時代」という呼称が生まれたが、ゆるめるモ!はアイドル戦国時代第一世代に影響を受けた第二世代と言われることがある。ゆるめるモ!Pの田家さんは、第一世代のシンボルと言えるももいろクローバーZに影響を受けていることを公言していることも踏まえ、順当な理解と思える。

 

ももクロからゆるめるモ!が受け継いだDNAの一つ、であると同時に僕が強く惹きつけられたエッセンスは、これまでアイドルに馴染みの薄かった、ともすればニッチなロック分野とのクロスオーヴァーにあったと思う(過去形なのは、現在もそうであるかは検証の余地があるから)。

 

実は僕のアイドル原体験もももクロだった。当時の僕は、過去の名盤を聴きあさりながらトレンドも追いかけるような、よくいる「音楽好き」の学生だった。ある日ボランティアで向かったある病院の病院祭的なイベントで、看護師さんが「行くぜっ!怪盗少女」の出し物を披露していた。読めない展開、情報過剰性、奇抜なパフォーマンスに度肝を抜かれて帰宅してから朝が明けるまでももクロの動画を見漁った。目を通すコンテンツ全て全てが自分のリテラシーにない新しいものだった。すでに『バトル アンド ロマンス』がリリースされており、すぐに手に入れた。COALTAR OF THE DEEPERSを愛聴していた自分にとってNARASAKIさんが楽曲提供してることは衝撃だった。アイドル×ロックのクロスオーバー感の原体験だったように思う。

 

僕とゆるめるモ!との出会いも、こうしたクロスオーバー性への興味に重なり、2013年リリースの『New Escape Underground!』がきっかけだった。タイトルの略称は「NEU!」で、ジャケットも忠実にジャーマンプログレバンドNEU!の名盤がトレースされ、収録された「SWEET ESCAPE」ももちろんNEU!をオマージュしている。ももクロが提示したクロスオーバー性を、さらにアンダーグラウンドに拡張しているように感じた。

 

 

ゆるめるモ!のライブに足を運び出したのは、音楽・カルチャー的な関心と地下・ライブアイドル的な関心が相半ばしていた時だったように思う。当時僕は就職で関西から上京したことをきっかけに、ずっとオンラインで追いかけていたさくら学院のライブに通っていた。いわゆるライブアイドル、地下アイドルにも関心はあり、大きなフェスなどには足を運びたくさんライブを見ていたが、「どこ行っているの?」と聞かれて答えられるような推しライブアイドルはいなかった。

 

そんなフワッとした関心でライブを見ていた僕にとって、(少なくとも当時の)ゆるめるモ!は、メンバーの個性が随所でむき出しで、いい意味でアイドルらしくないなという印象で、何か気になるグループに、既になっていた。音楽的関心からゆるめるモ!に興味を持った僕は、少しずつ彼女たちのライブを見たり、人柄に触れることによって、むき出しの人間性にどんどん惹かれていき、時期を待たずして「おまいつ」になっていた。

 

ゆるめるモ!は単に音楽好きだけを引き寄せた訳ではなかった。僕が彼女たちのむき出しの個性に惹かれたように、音楽が好きでも、メンバーが好きでも、もちろんグループの全てが好きでも、どんな応援の仕方も受け入れてくれるような現場だったように思う。

 

僕は30歳近くまでラップ、HIPHOPに馴染みのない生活をしてきたが、当時あのちゃんが「このHIPHOPいいよ」と教えてくれたミュージシャンがとてもよく、自分の音楽観が広がった。こんな別角度から文化的出会いがあることも、30歳を超えてくるとなかなかない。自分にとってゆるめるモ!は新しい発見の場でもあり続けていた。そのきっかけがメンバーであるということも、自分にとっては幸せなことだった。

 

また、アイドルファン、という趣味(僕は「生き様」であるとすら思っているが)は面白く、普通に生活をしているとまず交わらなかったであろう世代、生い立ち、生き方をしている人たちと、「ゆるめるモ!が好き!」という1点で、緊密なコミュニケーションが発生する。これが僕にはとても楽しかった。

 

当時いわゆる社畜生活をしている中で、唯一の楽しみや希望がゆるめるモ!のライブや、そこで仲良くなった仲間と騒いだり、くだらない会話をすることだった。本当に苦しい社畜生活だったので、ゆるめるモ!が存在しなかったら、もう生きていなかったのではとすら思う。コンテンツとして面白そうだなと惹かれて、いつの間にか自分の命を支えるほどの存在になっていたのが、僕にとってのゆるめるモ!なのだ。

 

その後色々あり、僕は楽曲ディレクターとしてアイドル運営を始めることになった。・・・・・・・・・(通称dotstokyo)という、とても変わったコンセプチュアルなアイドルグループだったが、楽曲レベルでは「いかにルーツを正統にトレースしつつアイドルポップスに昇華するか」という方法論が軸で、それはもちろんゆるめるモ!から継承した感性だった。・・・・・・・・・においてトレースするルーツの一つは「シューゲイザー」でそのDNAはRAYにも受け継がれている。

 

僕は今年でアイドル運営を始めて7年目に入る。今はプロデューサーという立場でRAYを運営し、ルーツトレースな方法論は自分のプロデュース感に生き続けているが、それ以外の形を模索しつつある、というのが今のRAYのフェーズでもある。受け取った感性を、ある種乗り越えようという気持ちがある。

 

ゆるめるモ!に多大な影響を受け、というかゆるめるモ!によって今日まで生かされたとすら言える僕にとって、今回のツーマンがどういう意味を持つかということを、書いてみました。

 

といいつつも、実はこんなこと本質ではなく、今RAYは新体制になり1周年近くなりライブパフォーマンスに脂が乗ってきており、一方僕が見ていた時代のゆるめるモ!とはメンバーは完全に入れ替わったものの、ゆるめるモ!も、フロアを沸かせる強力なライブを魅せるグループで、今ガッツリしたツーマンでバチバチに戦う意味がある、そんなイベントになるのではと思っていて、そのことが何より楽しみです。

 

長々と書きましたが、この日は僕云々ではなく、単純にお互い楽しい、最高のライブをお見せできるイベントになるはずなので、多くの方にお越しいただきたい気持ちです。

 

====

 

7/2(日・夜)

RAY presents 「Relationship vol.2」

会場:大塚Heats Next

時間:OP/ST 1745/1815

料金:前/当 3000/3500(+1D)

出演:

RAY

ゆるめるモ!

※物販後21:10-両グループプロデューサーによるトークイベントあり(メンバーは出演しません)。トークイベントは「Relationship vol.2」に入場の方は無料、トークイベントだけ参加の方は500円(+1D)の入場料がかかります。

 

チケット予約開始5/25(木)22:30-

https://tiget.net/events/249314

 

17:45 OP(30)

18:15 ST/ゆるめるモ!(45)

19:00 RAY(45)

19:45 物販準備(5)

19:50 物販(80)

21:10 トーク(60)