2022年メモ書き

 

・ワンマン公演をこれでもかと作り込んだ。賛否両論だった。評価や意味は見える部分にも見えない部分にも宿る。オーディエンスにとって見えない部分があり、作り手にとって見えない部分もある、さまざまなプラスマイナスを考慮した上で、意味があったと思っている。

 

・意味の一つは『Green』制作で、作品を作り込む上でワンマンは重要なトライアルになった。『Green』は作り込んだ。その評価や意味もまた見える部分/見えない部分があり、さまざまなプラスマイナスを考慮した上で、意味があった。次は違うものを作る。マイナスについてはここでは書かない。

 

・アイドルは不思議な活動体で、単純な仕事組織ではなく、どこか家族的な関わり方が思考に入り込む。このメンバーと歩んでいくのだという思いは、しばしば合理的判断に欠けるが、そう簡単に割り切れるものではない。一方で、割り切ることが運営の仕事でもある。我々は単なる仕事仲間ではないし、当然家族でもないという不思議な距離感にある。

 

・あくまで営利活動であるアイドル(特に巨大資本でないライブアイドル)活動は、不完全な体制でも進み続ける必要がある。進むも止まるも、必ず収益という函数が入り込む。進むも止まるも、どう進めどう止まるかという収益的な判断がある。

 

・一方で(とても大事だが)函数は収益だけではない。まだまだ若いメンバーの人生も背負っている。

 

・意地とか根性とか努力とか脳筋的なマインドが重要だと思っている。結果は意地と根性と努力で掴み取るものだし、意地も根性も努力もないのに結果がついてこないという謂は誰も納得しない。意地や根性や努力がなくても結果を出せる人はいる、とてもセンスがいいのだと思う、羨ましいが僕はそうではないので、結論意地や根性や努力でなんとかするのだ。

 

・アイドルグループのメンバーの入れ替わりを「新陳代謝」と呼ぶことがある。無機的であまり好きな表現ではない。が、メンバーだけでなく環境の固定化は閉塞感につながりやすい=固定化した環境でパフォーマンスを加速し続けられるのは特殊な才能で、どうメンバーにフレッシュな経験値を稼がせてあげられるか、環境を設計してあげられるかということをたくさん考えた。

 

・アイドルはアクセルを踏み続けなくてはならない。アイドルだけでなくあらゆる芸事に共通している。常に動き、見て、聞いて、考え、盗み、実践し、反芻するサイクルを永遠に回し続ける必要がある。「成功の必勝法」を少なくとも僕は知らない。永遠に動き、見て、聞いて、考え、盗み、実践し、反芻する。運営も同じ。

 

・俗に「初期衝動」と呼ばれるものについて考えた。初期衝動は再現するのか。

 

・「自分が見たいもの」、「みんなが見たいもの」について考えた。自分が見たいものしか作れない人、自分が見たいものとみんなが見たいものが一致し作れる人、自分が見たいものがそもそも不明瞭な人、みんなが見たいものを目指すがうまくいかない人。今年はここ10年くらいで、最も自分にとって異物=新しい音楽を聞いた。自分の立ち位置を考えたが、自分が見たいものを作るのだよと自分と手を打った。

 

・「アウトサイダーアート」と呼ばれる作品が好きだ。自分にとって、あらゆる表現の中で、最も自分を遠くに突き放してくれる表現だと思っている。久々に触れて「自分が見たいもの」に向き合わされる。

 

・新しい家族=猫が増えた。とてもかわいい。

 

・歳をとると1年が短くなる。今年はとんでもなく長い1年だった。出来事、やること、考えること、はじめてのこと、はじめての気持ち、あまりに多すぎた。やりきったし、同じ1年を繰り返しても同じ判断をしたはずなので後悔はない。

 

・来年も意地と根性と努力で、戦略的に、初期衝動的に走り切る。

 

おわり