母の父、
母方のおじいさんは
俳句の先生だった。
母がお嫁に行く時
こんな句を詠んで 母に渡した。
お家好みに
染めかえて」
イミもわからない頃から
私は母からこの俳句を聞かされてきた
「結婚に反対していたおじいさんが
嫁ぎ先に合わせて
がんばっていけよ、という意味をこめて
贈ってくれた」と。
10年前、私が結婚するとき
母がこの おじいさんの俳句が書かれた
短冊をくれた
ちょっと感慨深くはあったけど
いらないなぁ笑と思いつつ
まぁ、ありがたいものだからと受け取って
どこかにしまわれて 忘れ去られていた。
10年が経ち
今回の引越しで
この短冊が出てきた。
ちょっと迷ったけど
やはり この句は
もやもやする。
だから
年末 帰省したときに
母に返すことにした。
これはやっぱり、祖父が母に贈ったものだ。
私に贈られた言葉じゃない
私は 「お家好み」に染まりたくない
私は、できるだけ
私でいたい。
「もっと実家に帰りたかった」
「こんなんばかりで大変だった」
「本当はやりたくなかった」
母は 時々 そんな後悔を口にする。
そう
やりたくないことは
できるだけしたくない。
それがいけないことだろうか?
いや
いけなくないよと
言ってくれた人がいる。
だから 私は染まりたくない。
あらがいたい。
祖父の想いに
母の決意に
親の希望に
自分のいつわりの理想に。
あらがう というのもなんだか
意地になっていて苦しいから
たぶん 理想とはちょっと違うんだろうけど。
とりあえず
これを返したとき
母はちょっと寂しそうな顔をするだろう
そして昔とは違うからね
あなたは自由にやりなさいと
あきらめたように言うだろう
その
言葉を
素直に受け取ろう
まずはそこから。