音樹家は古い一軒家街にあります。
裏のお宅のご夫婦(多分、60代)がここを離れることに
なりそうです。
聞けば、同居のおばあちゃん(推定年齢90歳)が
最近、介護施設に入ったとのこと。
そこのお宅はかなり広く、同敷地内に母屋と
おばあちゃんの暮らしていた家がありました。
母屋は外観はそんな風には見えないけれど
中はあちこちガタがきているそうです。
それでも直して住み続けようと思っていたらしいのですが
修理費が新築の家を建てるぐらいの値段がかかることが
分かったとのこと。
母屋に住んでいた娘さんたちも独立していなくなり
自分達、夫婦二人だけだから
おばあちゃんの家だけ残して、それ以外の土地を売って
マンションに移り住もうかと考えているそうです。
おばあちゃんはもうこの家に戻ってこれないだろうと
おっしゃってました。
それでも、おばあちゃんが生きている限り
おばあちゃんの家は残しておいてあげようと
いうことなのでしょうね。(ノ_-。)
そこのお宅とは特別、親しいわけではありませんでした。
でも、母が亡くなった時、そこのお宅のおばあちゃんが
うちに御線香を上げにきてくれて
「あなたのお母さんはいつも笑っていたよ」と
言ってくれました。
音樹の夫が最近、おばあちゃんの家からトントントン……と
まな板が鳴る音が聞こえなくなったと思っていたそうです。
おばあちゃんが自家製の漬物をくれたこともありました。
それと、そこのお宅が家を手放す理由の一つに
庭仕事がもうできなくなったきたこともあるそうです。
そのお宅の庭は季節の花が代わる代わる咲いていて
きれいだったのです。
奥さんがいつも熱心に手入れをしていました。
確かに庭仕事はきついです。すごくよく分かる。
でも、もう裏のお宅のあのかわいいお庭は見れないの?(T_T)
当たり前のように近くにいた人々や建物や景色が
なくなることが、こんなにさびしいものだとは。
うちの隣の家も親世代でお子さんたちが独立して
お年寄りのご夫婦が二人暮らしをしています。
近所のお家、ほとんどがそんな感じです。
近年、奥の雑木林を壊して、新しい家がボコボコ建ちました。
いま家を買えるのは若い世代でしょうか?
なんかね、切なくなりました。
道一本はさんで、親世代と子世代の家がはっきりくっきり
分かれているようです。
子世代には子世代の事情があるのでしょうが。
年老いた親世代が住み慣れた場所を離れることを
余儀なくされて、何だか気の毒に思えてなりません。
それが時の流れというものなのでしょうか?
できればやさしく流れてほしいものです。
いつか、みんな、消えていくものだとしても。
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