惑星プロメテウスには
この宇宙で最高と言われる
AI ドールの生産施設と
研究所があった。
ノーマン・テラーは
優秀な科学者だったが、
名門の出身ではなく、
平民の出身だった。
それゆえ、誰よりも優秀だったが、
宇宙連合の高級官吏には
なれなかった。
惑星プロメテウスに赴任した時、
若きテラーには、それほど野心が
あったわけではなかった。
しかし赴任した研究所で、
偶然、失敗作と言われて
捨てられようとしていた
ドールのなかに、
知性を宿した
新たな生命体を発見し、
ノーマンは驚いた。
「なぜ、このドールは
失敗作なのですか?」
とノーマンは同僚に尋ねた。
「このドールは、設計以上の能力を
なぜか持って生まれた。
そのことが問題なんだ」
と同僚は答えた。
美しいドールだった。
今まで見たこともない
美しさだった。
「このまま、処分するのですか?」
「ほしかったら、持って行っても良いぞ。
ペットとして飼うのはかまわない」
と、先輩の同僚は言った。
「俺たちは給料は安いが、
失敗作であれば、高額なドールも
えり好み自由で、手に入るんだ」
と事も無げに言った。
「特にこのドールは、
大金持ちが
金に糸目をつけないので、
誰もがうらやむ、
この宇宙で最高のドールがほしい、
との注文だったのだが、
途中で突然変異を起こした
実験体なんだ。
処分するには、もったいないのだが、
ラボの職員はみな、
もう愛するペットがいるので、
引き取れない」
と言った。
「ここで生産されるドールは、
特注品なので、ほとんど
宇宙市民と変わらない。
一緒に暮らすと、
家族と変わらなくなる。
どんなに素晴らしいドールであろうと、
家族同様のドールと比べると、
やはり欠陥品にしか見えない」
そのようにして、ノーマンは
サンの原型である、
イヴと出会った。
イヴは最高のドールで、
ノーマンに最高の幸せを
もたらしたのだが、
同時に最高の不幸も
もたらした。
ドールの限界を超え、
知性と自我を手に入れたイヴは、
ノーマン以外の科学者と恋をし、
ノーマンを裏切ったのだ。
イヴは宇宙市民ではなく、
ノーマンのペットに過ぎなかったので、
ノーマンが望めば、
処分することができた。
ノーマンは迷うことなく、
新しい命を宿したイヴを
処分した。
しかしイヴが宿した
新しい命は、
実験体として残した。
そして誕生したドールが、
サンなのだった。
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