君にも働く万有引力
「剥かないの?」
「は?」
「りんご。」
丸ごとリンゴをかじる、彼女。何となく、口の奥が酸っぱくなる、様な気がする。
「毒ってわけじゃないでしょ。洗ったし。」
「そういう事じゃないよ。」
切らないって事は、分けないってことでしょう。
「欲しけりゃまだあるよ。台所。」
「そう言うことを言ってるんじゃないよ。」
彼女は、しゃりしゃりと音を立ててリンゴを食べる。私もそれが欲しくなって、台所に向かう。ぺかぺかと不自然 に輝く赤色が世界だといいのに、と思いながら。
「君は、理系じゃないもんね。」
「なんだよ。」
「ニュートン、だよ。」
「知ってるよ。それって、小学生の知恵じゃない。」
「はははっ」
彼女は食べ終わって芯だけになったリンゴをゴミ箱に向かって投げた。
「我々は、重力の仕組みをしっていても、重力から自由になれるって事はないよ。」
「あぁ、それ、『アメリカの伯父さん』でしょ。」
私は笑って、そのまま黙った。
唇も耳も音も、重力に負けてしまった。
「は?」
「りんご。」
丸ごとリンゴをかじる、彼女。何となく、口の奥が酸っぱくなる、様な気がする。
「毒ってわけじゃないでしょ。洗ったし。」
「そういう事じゃないよ。」
切らないって事は、分けないってことでしょう。
「欲しけりゃまだあるよ。台所。」
「そう言うことを言ってるんじゃないよ。」
彼女は、しゃりしゃりと音を立ててリンゴを食べる。私もそれが欲しくなって、台所に向かう。ぺかぺかと不自然 に輝く赤色が世界だといいのに、と思いながら。
「君は、理系じゃないもんね。」
「なんだよ。」
「ニュートン、だよ。」
「知ってるよ。それって、小学生の知恵じゃない。」
「はははっ」
彼女は食べ終わって芯だけになったリンゴをゴミ箱に向かって投げた。
「我々は、重力の仕組みをしっていても、重力から自由になれるって事はないよ。」
「あぁ、それ、『アメリカの伯父さん』でしょ。」
私は笑って、そのまま黙った。
唇も耳も音も、重力に負けてしまった。