花畑がみたいな

わたしは、
自生の、花畑を、
見たことがなかったから

それは、山のとっておきの場所に
こっそりお邪魔させていただくような
秘密の場所を教えていただくような
魅力がある

選んだのは尾瀬沼、大江湿原の
ニッコウキスゲ群生地

ニッコウキスゲは
ほんの少しの時期しか咲かないから、
満開予想を調べて

春にもらってきたパンフレットを見て
鳩待峠から入り見晴らしで一泊
翌日白砂峠を越えて
尾瀬沼へ回るコースにする

初心者コースって書いてある
わたしだって、きっと行ける

生まれてはじめて、
ひとりでの登山道

少しずつ、
なにもできない
じぶんを変えたくて
勇気がほしくて
勇気なんてないのに、
とにかく、新宿からバスに乗った

花、はな、ハナ


夏の尾瀬ヶ原湿原は、
春とはがらり、
姿を変えていた
花、はな、ハナ!
花であふれている
春の姿からは
想像もできなかった!

春はなにもなかった池塘にも
ヒツジグサの葉が茂り
湿原はむせるような緑色だ

夏が、こんなにも山を変える


知らない花ばかりだ

なんだろう、
なんて花だろう


あやめ? カキツバタ?


これは、トキソウ
おじちゃんが教えてくれた


ヒツジグサ
一番好きな花
純白、小さくて可憐で
慎ましくて
わたしとは正反対
わたしは、それでいいかな、
と、思ってるけども



モウセンゴケ
はじめて見る自生の
食虫植物
葉から伸びた繊毛?の先には
粘液の玉

ねぇ、ほんとに虫、
食べちゃうの?


尾瀬ヶ原にも、ポツポツと
ニッコウキスゲ
気品のある黄色
ヒトには再現なんかできない


名前を知りたいのだけど、
図鑑にもない
貴婦人みたいな
凛とした、深い紫
凝ったなデザイン
こんなドレスを、見たことがある

彼女を知っている方、
ぜひ教えてください


チングルマの果穂
淡いピンクの
ふわふわとした綿毛
かわいく揺れる

こんな愛らしいピンク色も、
綿毛も、
きっとほかにないんじゃないかと、思う
(そのくらいには、
わたしは世界を知らない)


彼女の名も
やっぱりわからない

茂る緑の中で
存在感のあるショッキングピンク
小柄だってさ、
小さくなる必要なんて、ないよね


これが、ワタスゲ
花より、きっとこの綿毛の方が
有名

雨で湿っていたけれど、
ふわふわ揺れる様を想像すると
次はいつか、ワタスゲの群生地にも
行ってみたい

行きたいところなんて、きっと、尽きない


彼女はヤマオダマキ
黄色い袋状の花びらの周りに、
ガクをスカートみたいに広げて
尾瀬の花々は、
だれのためにこんなオシャレを
するんだろうって、思う


お花畑の前に
すでにお腹いっぱいになりつつ、
弥四郎小屋に到着

あしたは、いよいよ峠越え
いざ、お花畑へ!

つづく