スパイスカレーは、飯ジャンルの中でもパンやスイーツと並んで、ニワカなんちゃってカレー好きのニワカ共感を排除したくなる。
もちろん上には上がいるが、カルダモンもターメリックも感じ分けられない人よりは、食べ込んでいる。



なので、チーズみょーんと伸びてなんぼ、バターチキンカレーの甘さたまらん的な万人受けする系ではなく、粒が残るくらいバッキバッキのガチムチのスパイスカレーが好きだ。



ここはずっと、その頂点に君臨するはずと思っていたが、なんだかタイミングを失していた。




思いっきり大通りにあるが、あまりにも目立たない…いや、逆に目立つか?とりあえず気付かず通り過ぎてしまった







水墨?

見るからに只事ではないだろう?




なお、数年前から行きたいと思い続けてホームページも注視していた。

オーナーは日本人、キッチンはネイティブ(インド料理よくあるパターン)、とにかく人手が足りなくて、長期体調不良(オーナーかどちらか不明)や何やらでメニューを減らしたり、とても苦労されていたようだ。



僕が予約電話した際も「(オーナー)申し訳ありません。今、一気に3組のお客様に呼ばれてしまっておりまして。もしよければ15分後にかけ直してもらえませんか?」と、本当に申し訳なさそうに言われた。


そんなお願いを飲食店にされたのは初めてだったが、こちらに不都合はないし、とにかく不憫で、ピッタリ15分後にかけ直した。




かけ直したら、まさかのことが起きた。



「Hello?」




٩( ᐛ )وは?



「Do you speak English?Reserve…」



えwwwなにごとwww



呆然としたが、おそらく店主がてんやわんやで、厨房のインド人が電話に出たのだと察した。


覚悟を決めて、TOEIC400点のイングリッシュを発揮しようかと思っていたら、店主がバトンタッチし、ことなきを得た。






店内も、水墨

李白詩の「山中問答」じゃん





先に言う

僕のカレー歴、スパイス料理歴の中で、一気にトップに躍り出た

サンセバスチャンで食べ歩いたイノベーティブの数々みたいな、それでいて責めているばかりではない基本に忠実な丁寧さも感じた




友人のあまおうラッシー

と、僕のペリエ



さすがにペリエはペリエだが、あまおうラッシー、友人は舌鼓を打っていた





1番楽しみにしていたのが「しあわせ薫るチーズナン」

イメージするそれと全然違う



ほら



店名が焼印されている

まんまる、おまんじゅうみたい

イタリアのプロボローネがむぎゅっと入っている

友人が喋っているターンだったので(以後、僕の捲し立てメーンになる)、内心「味わえてるかな、、冷めるよ」とお節介ハラハラだった


しかしすごい





次もすごい

梅山豚のスペアリブ




角煮じゃなくてスペアリブなのに、脂身部分もゼラチンのようにとろける

肉を断つナイフでサクッと骨から簡単に剥離した







これもマスト


サモサ

友人はサモサを知らなかった

初サモサがこれは、贅沢すぎるよ



オーダーを受けてから一から、皮から伸ばすというサモサ

耳たぶ部分のフォルム、生地の均質さが美しい




分厚くざくっと歯応えの生地、質感は違うが風味はロゴスキーのピロシキのそれに似ていた。

カレー粉のまぶされたじゃがいもと挽き肉の具もほくほくさが残っている

たまらない

ミントのソース、トマトのソースもそれぞれしっかりと濃くて品がいい










そして一番の感動がこれ

野菜カレーがこれだなんて





中辛を選んだが、ココナツのコクとクローブ、唐辛子がしっかり効いており、マイルドさの中にスパイスが感じられる、創作料理だった
友人は和を感じると評していたが、僕は西欧の風を感じた
2人、美味い美味いと唸って完食した



帰りしな、店主と話し込ませていただいた。
ありがたいことに、僕のベストスパイスカレーを尋ねられ(うれしーーい)、某店を紹介した。
が、あとから「やはり1番は今はなきダバインディアです」と回答したところ、店主の原点だったようで話に花が咲いた。
あのダバの壁の青の青さ(食欲減退の色なはずが美しすぎてむしろ逆に惹かれるウルトラマリンブルー)、いつ行っても変わらない味、数あるダバの暖簾分けでは劣る、などなど。



また来よう、すぐこよう、そして通い続けよう
次回は金目鯛のビリヤニを必ずや
ありがとうありがとう