お待ちしておりました。
笑顔で迎えてくれた店主、先ほどのOrangeの店主とはまた雰囲気が違い、大変落ち着いている。
誰に似てるだろう…the若者ではないが、おばちゃんでもない、美しいものの美魔女(この言葉自体、年下が目上の女捨てていない女性を小馬鹿に揶揄する悪口だと僕は受け取っている)と呼ばれる類でもなく、変に飾ってもおらず気さくで、かといってその辺のねーちゃん感もなく…石田ゆり子?永作博美?
おぉ、もうどこかの誰かさんの好みどストライクじゃあないか。
だがパイセンよ、覚悟したまえ。
いや、パイセンも気付いていた。
食べログ等SNSサイトで大絶賛されていたような、店主を恋い慕うかの男性が集う、そんな光景がまこと現に目の前に広がっていたことに。
バーあるあるについて、帰りしなパイセンに教授した。
マスターが男性の場合も女性の場合も、異性の客でマスター目当ての者は、えてして「最後の客」になりたがることを。
かつて僕は、久々再訪した馴染みのBARでモスコミュール一杯でダラダラと3時間居座った(この時点で店側からは望まれない客だと、この時は気付かなかった)。
その時、僕以外カウンターには地味めなオカッパひとえの女性が1人、5杯めをオーダーしていた。
最初こそ、僕とマスターと3人で話していたものの(あとからマスターに聞いたところ)なかなか帰らない僕に業を煮やして爆睡作戦に入った。
それでも気が効かず帰らない僕、マスターは彼女を起こし帰らせて、そして僕に言った。
「四郎ちゃん、ダメだよ。あの子俺とクローズ後店か移動してかどうにかなることを期待して、最後の客になりたくて飲み続けてたんだから。またいつかにお預けとするけどさ、責任取ってよね。代わりに身体を、って訳にいかないから、一杯分じゃなくもっと払ってよ。」
呆気に取られた僕だったが、このマスターを軽蔑することはない。BAR自体あまり行くことのない僕だが、それでもその後も他の店でよく見られた光景だったからだ。
てなわけで?、こちらの男性客も3人がローテーションでマスターと会話し、決して全員でワイワイとはならず、残ったひまっちの客は寝始めた。
アイスティーが美味い
喉乾いてたからね
ブレがまた恋模様を映し出すよう
またナッツ
とビスコフ
腹減ってパクパク
パイセンのシナモントースト
これが、ペリカン
こちらの食パンはペリカンパンのそれを使用しているんだよ
日本一有名な田原町の食パンの
違いわかったかい?
分からないだろうな
この限りなく少なくシンプル食材で作られた引きの強いトーストを
僕はあんバター
焼き強めにすればよかった。
でもやはり美味い
流行って消えた高級食パンたちと違い、変なものの入っていない食パンとはまさに
帰り際、感想をこぼした僕、ペリカンは好きだが、ペリカン直営カフェの炭火焼きなトーストが苦手という話でせっかく店主と意気投合したのに、またしても早く退店したそうにソワソワ厨二男を発揮するパイセン。
退店してからわかった。
男客1から3のうち、真横の男客3が、会話に入りたそうで身体ごとこちらをむけて、満面の笑顔だったから、と。
別に入らせればいいじゃないか、と思ったが、店主の美貌から男客に少なからずの下心を読み取ったパイセンの気持ちは分からなくない。
ペリカンパンの話を楽しむんじゃなく、店主との会話奪取目当てと分かると、ね。
でもパイセン、パイセンも頑張れよ。