僕はまったくもって大食いではないので、遠征先での飯は基本1日1店舗。
カフェであればまだハシゴできるが、ガッツリいただいた場合、その先は無理で、もうあとは新幹線か飛行機に乗るしかない。


加えて激しく乗り物酔いするタチなので、満腹で帰路に着くのは何としても避けたく、よってもってカフェばかりになる。




なのだけど、ここ最近ちゃんとしたスパイス料理、それもそんじょのニワカカレー好きを排斥するゴリゴリのスパイスを激しく欲していたからか、予習を重ねてスパイスカレー店に行くことにした。


大阪は東京に負けずカレーの聖地だが、渡邊カリー以外まだ未体験。
あれは美味しかったのでリピートしたいと思いつつ、せっかくならば別の店舗を、でも生憎火曜日日中は軒並み休業ときたもんで、空いていたうちで評価の高く好みに近そうなこちらへ。





古民家ユースホステル併設の珈琲屋、






と、カレー!







やはりスパイスとコーヒーは合うのだ。

雰囲気はとても良く。




ただ、カレー自体は美味しかったのだが、後述する複合的理由により激しく食べ進めるのがしんどくなってしまった。残念。







カレーは一択という珍しい店。








10品目近く、ナマス的なのやらアチャールみたいのやら細かく刻まれた野菜とナッツとパクチーが大量に。これは嬉しい。具なしカレーが苦手な僕、栄養補給という意味では拍手喝采。

てっぺんのえびせんも不思議だが好きなので文句なし。







カレーは3種類。

かなりごろっと大きめチキンのバターチキン、スパイスキーマ、鰹出汁のダル的カレー。




どれも美味しいのだ。

辛さはもっと欲しいものの、バターチキンも巷のインド料理のようなギーの嫌なくどさはなく食べやすく、キーマは後からじわじわとくる辛さはあり、何より鰹出汁がいい。鰹出汁だから当たり前ではあるが、魚介系つけ麺屋のつけ汁のようだ。




なのだけど、食欲減退してしまった理由3つ。



1つ、とてつもなく、未だかつてないほどカレーがぬるかった。

僕はスタバも90度指定でオーダーするほどグラグラ熱いのが好きだが、それを差し引いたとしても、テーブルに届いた瞬間からぬるい。惣菜のひじき煮かと思うくらい全てがぬるい。

言えばいいと思うかもだが、真顔接客の店員さん、かつファミレスでもなくレンチンすればいいもんでもない店で「もっと熱く、もっとどころじゃなく」なんて言えない。ちゃんとした店であればあるほど、多分作り直しになるだろう。それは申し訳ない。

あと、オーナーと思われる方が僕の目の前でコーヒーとパン片手にオンラインミーティングをしていたので、なおさら言い出せなかった。



2つ、店先にある返却棚(チェーン店でもないところで珍しいが)に、9割がた手をつけず残したカレーの残飯が、食後数時間は経過しただろう硬直を見せてそのままになっているのを見てしまったから。

こういうのにアンテナが反応するのは誰しもではないかもしれないし、僕も「そんな残すほど不味いのか」というバイアスでゲンナリしたのではない。

そうではなくて、食事前に汚いものを目にしてしまったその残像に苦しめられる形、無惨に放置された残飯が僕の食欲を奪ったのだ。

同じ理由で、食事前に入った手洗が不衛生だった店はその後二度と行っていない。



手洗は、常にチェックするわけには行かぬだろうから店としても致し方ないとしても、残飯はどうにかして欲しかった。それも、ランチタイムは終わり、僕の他2人ほどしか客はおらず、スタッフも十分にいるのだから。



3つ、横の席との距離があまりにも近く、ガラガラなのに何故か僕の真横にお母さんと娘と孫の3人が案内され、僕のカレーが着丼するや否や、お母さんが「ええ匂いやなぁ、〇〇ちゃん(赤ちゃんの名前)!カレーやで」と言えば、おばあちゃんも「カレーやで!はいはいはい!」と、赤子を揺らしながら即興カレー唄を歌う始末。



諸々相まって、よほど手をつけず帰ろうかと思ったが、僕の中の「申し訳ない」がスプーンを進めた。










何度も言うが、熱々で、残飯を見ることなく、ええ匂いやなハイハイハイ!がなければ、幸せに完食していたと思う。




バスクチーズケーキとコーヒーも予定していたが、ものの20分で退店した。
完食はしたものの、満喫できずこちらこそごめんなさい。