「僕、失敗しないんで。もっとも、君らはそもそも失敗したとさえ感じない鈍磨さんでしょうけど、うぷぷ。」



と、常々思って食べ歩いている相変わらずサイテーな僕だが、最近ちょっとおかしい。



先週だったかは、起きてからインスタで気になっていたパン屋(めちゃくちゃ凄そうなシェフの出立ちと美しいクロワッサンのフォルム)のパンを買いに練馬まで行ったものの、入店した瞬間求めていたソレと180度違うことに気付き、とはいえ電話予約までしていたので回れ右するわけにもいかず購入したが、案の定口に含むまでもなく「う、うーん…これは、田舎町の潰れそうなパン屋さんのクオリティでは」と失礼ながら感じたものの、ポイするのは忍びなく道中食べ進めたが、いかんせん馬鹿でかく、土鍋を齧っているように重量があり、なのに気付いたら食べ切ってしまい腹が膨れ、その日ハシゴするはずだったあのカフェもあのカフェも、無駄な腹パンであえなく断念し、ただただ練馬からカロリィ消費すべく練り歩く日になってしまった。





それに比べたら、腹具合がかなり余力あるだけ今回はマシか。



それこそ一年近く気になっていた、スープと自家製パンがインスタで大変話題(映えるからネ)の古民家カフェ。

昨年末一度行こうとして電話をしたものの、なんか片言ぶっきらぼうだったので不安を覚えてやめてしまっていた。

けど、同じような経験を先日木花日和でしているので(外人さんというだけだった)、気を取り直して向かった次第。





中目はロースタリースタバが好きすぎてあっち方面(代官山、池尻方面)ばかり行くが、こちら方面(祐天寺方面)も地味に店が多い。

かくいう僕も複数店ブックマークしている。






厨房に立つのは、浅黒い外国人男性2人。

といっても多分南米系とかではなく、フランスの田舎町にいそうな風。

ここもプロヴァンスを意識しているのかもな。白金台のペディビュスジャンビュスみたいに(あそこは素晴らしかった)。

自家製パンが並ぶ。




↑日本の駅ナカチェーンにありそうなコンビニ同等クオリティの変な材料満載系とは違い、theシンプルパン。

ヨーロッパに行った時朝食ビュッフェで出てきたパンたちを彷彿とさせる。

ただ、シンプルだけど、もう一つ工夫に欠ける気がした。

クラストのガリガリ感を高めたり、生地を自立できないくらいふるふるとさせて加水率を高めたり…みたいな、それぞれのパンを限界まで美味しくしようという創意工夫はそこにないように思った。

パリアッシュやテネラさんやの職人技と研鑽に、改めて尊敬する。



3組ほど待っていたが割とすぐ案内された。

店内はほぼ全員Z世代女子(たまに連れの男性)。一人だけ妙齢割烹着母さん風の方がいらしたが、それがすっごく目立つほど店内さながら新大久保か原宿だった。

あ、僕も浮いているのは言わずもがな。




この数日、テーブルを拭いていない飲食店によく遭遇する。

この前は砂糖まみれだったが、この日はテーブルがパン屑だらけ。

もっともここはリストランテでもなんでもないので、店員を呼ぶこともせず、いそいそと自ら拭いた。もちろん店員は、パン屑を集める僕を気にも留めず、カトラリーを僕の卓に置いた。

いいのだ。そんなもんだ。




鶏ハムなどのサンドイッチ、クロックムッシュもあったが、僕はポタージュ一択だったのでそちらに。

この日はビーツとさつまいもを選べたので、さつまいも。




お、美味しそう。




自然なさつまいもの甘さだった。

熱々にしてくれたのもよかった。

ただ、パンがそうならスープもそうなのか、本当に素材そのままで、塩味がほぼゼロ。普通ポタージュには味付けとしてコンソメ(もちろん良い店は固形コンソメではなく、ボーンブロスなどの洋風出汁)、玉ねぎ辺りを必ず入れるが、なんなら塩も入っていないか微量な気がした。



イギリス、オランダの街角レストランで出てきたスープを思い出した。

それはそれで本場みがあるか。

しかし作り手は、味見もしないのかな。気にしないのか。





下にあったパンたちがついてくる。

予想通りの味。

もちろん悪くはないし程よくまとまりがあるが、特徴は特にない。

何よりコーヒーカップ(取手がないのでボウル)が溢れ狂っていて、何かの食材がくっついていたのも気になってしまった。

気にする人(僕)は来るべきではないのかも。



量は多そうに見えて全くで。

底が浅いので、おそらくレトルトスープ150グラムくらいの量かと。パンも切れ端3つなので全然多くない。


一方で、クロックムッシュは食パン半斤使用かというくらいでかく、サンドイッチも500ミリペットボトルくらいあり、可愛い写真が撮りたかったから来ただろう女子たちは皆苦戦していた。

僕の横の2人もクロックムッシュに驚いており、「パンの外側硬くてなかなか喉に入っていかない!」などと困り顔だった。

その子があまりに時間をかけて食べるので、耐えかねたのか店員が下げに来ると「あ、食べます!」と言って、そして食べきっていた。えらいよ、君、良い子だね。





そしてデザート。

キャロットケーキがいいなと思っていたらキャロットケーキです、と言われたのでラッキーと口に含んだ。



どう考えてもバナナだった。

バナナも好きなので交換してくれという意味ではなく、確認のため聞いたらやはりバナナだった。

やたらモフモフスポンジ感がある(しっとりとかホロホロでもなく、食感はまさに台所スポンジのようにムキュっと)。




とりあえず、変なものを食べた感はないし、少し歩いて2軒目どこか行くか、夜は軽くでも食べるくらいに胃のキャパが確保できたので、前週の失敗を繰り返すことはなかったのは良かった。




帰り道、チャイ専門店のただならぬ本格的な佇まいと店外に溢れる香り、デリー系のニューオープンカレー店、大行列の映えロースタリーの真正面があの予約の取れないメグリヴァだったり、いろいろ発見があってよかった。




ラヴィアラカンパーニュ