兎にも角にも、その後ズンズン歩き、パイセンを百軒店(ひゃっけんだな)へと案内した。
僕「ある意味歌舞伎町よりディープだと思うけど、右左チロチロ見て通過しましょう。」
パイセン「大丈夫!指さしたりしないから!」
僕「当たり前だわ!」
むくれてらっしゃるが、パイセンには、前科がある。
かつて吉原のソープ街で店前に立つカタギじゃない方を面前に「え〜この店の名前、エーゲ海だってー!うっほー!」と声を出し指さしてまわった前科。
それから、歌舞伎町大久保公園の立ちんぼに驚き眼で「あ、あれもソレか!」と指さした前科。
しかも吉原に至っては、嗜(たしな)めた僕に対し「あんなの、襲ってきたって、こわかないやい!こうしてこうして…(パンチングポーズ)」とか無邪気に反論した前科もある。
そしてパイセン、アングラ感度がゼロすぎて、僕が耳打ちするまで、どこがディープな場所かもわからず、ズンズンスルーする純粋無垢さ。
ホント、見た目も中身も上野のくまさんである。
そんなパイセンなので、今回の最終目的地ショートケーキカンパニーに着いた時、ただごとじゃないアングラ臭のあんちゃん2人が階段を上がって行ったことに対し僕が驚いたにも関わらず、
「え。僕そんな他の客、普段気にしてないからなぁ。スイーツ男子とかいるし、それじゃない?」
と無邪気にのたまった。
※ちなみにそのあんちゃんらは、僕が前夜観た「DIVA」というフランス映画に出てきたベトナムマフィアに瓜二つだった。
いやいやいやいや…。
と階下でパイセンに説明し、その後2人で階段を上り、同スイーツ店の並びに"ザ、アングラ!"な空気ぷんぷんの扉があるのを見て、2人して「なぁんだ(あの2人はこっちの店か)。」と声を出した。
が、スイーツ店の扉を開けた瞬間
僕等「…じゃなかった。」
…先ほどのあんちゃん2人がおり、座してケーキを選んでいたのだ。
この日一番パイセンと以心伝心した瞬間だった。
なお、あらかじめテーブル席を僕が指定した(テーブルは多めにチャージ取られるが少し広い)ので、パイセンはテーブル席を予約してくれていたが、何故か店員にカウンターへと案内された。
が、そこもこの日一番パイセンと以心伝心。
「カウンターで大丈夫です!むしろカウンターがよかったです!」
さて。
こちら、ごく最近できた歌舞伎町スイーツ店。
繁華街のスイーツ屋なんて、映えだけで不味いに違いないと失礼ながら思っていたのだが、インスタとテレビ(アド街に出ていた!)で、ジャージー牛の生クリームを使用していると知り、気概ある店と踏んで訪問したのだ。
僕らが座る予定だった席が向こうに。
そしてその真横には…
1人で来ようと思っていたが、この量を美味しく(罪悪感とか、腹さすりながらとか失礼な感じで食べ進めることなく)食べてくれるのはパイセンしかいないと思い、白羽の矢を立てた。
金柑チーズケーキなやつもあるが、僕は迷わず薔薇とイチゴのショートに。
そして、きた!
すごい。
見た瞬間わかった。
クリームがオフホワイト、黄色みがかっているのお分かりだろうか。
巷の、生クリームと謳いつつ植物性油脂ホイップを使っているケーキは真っ白だ。
その分純生クリームは泡立ちにくく、こちらのシェフも苦労したそう。
それでもジャージーの動物性脂肪生クリームを使いたいというオーナーの気概ったら、素晴らしい。
これを各自一つずつ!
箸休め。
まぁなくてもよかったかも(ごめんなさい。とにかく甘党なので。お汁粉に添えた昆布も嫌いなくらいで)
おおお。
汚くてすまないが、断面。
ちなみに、横のくまさんはやはりうなっている。
まさかの2個目。
呆れておきたいとこだが、僕の方も2個目。
2人してショコラプリンを。
グリオットソースが何か調べてから食えよ、とパイセンに調べさせて。
ソース。
確認せず全部ぶっかけようとしたから僕が制止した。
これ、かなりすっぱいから、味が全部酸っぱくなるよ、と。
かなり固目のプリン。
ムースよりも固く、かといってゼラチン質のあるゼリー状でもなく、まるでチョコレートそのものにフォークを入れているかのよう。
ちなみに、例のあんちゃんたちは美味しそうに楽しそうにショートケーキをつついていた。
スイーツ男子だったね、確かに。