そんなうるさいうるさい僕が、もう感動してやまない店。
12月は食べたいメニューが多すぎて、3回通った。
「バーニャカウダと、本当に焼きたてパン」
野菜の種類の多さと色鮮やかさよ
ロマネスコまである
バーニャカウダなんて、それこそ居酒屋にもあるが、付けるのは何が入ったソースかわかるだろうか。
そのソースさえも手作りなのだ。
サラダもつくので野菜もりもりだが、ドレッシングも手作り。
添加物が〜業務用が〜とぐちぐち言う僕なので、手作り信仰手作り万歳マンみたいだが、そんな単純なことではない。
手作りでいいなら、僕だって毎日手でねじり切った野菜で鍋をしている。
食べ手が、本当に美味しいと感動するのはどんな味か、食感かを寝る間を惜しんで研究し、決して手抜きをせず(作り置きや客の残したモノを使い回すような論外飲食店も、残念ながら少なくない)…それが感じられて初めて「手作りって美味しい」と言える。
そして、世の中の偽物嘘つき焼きたてパンに言いたい。
お前ら、工場で乳化剤やファットスプレッドや安い粉と乳脂肪分注入されてこねこねされて店舗に運ばれて、店舗でリベイクしただけのものを「焼きたて」とか言われてるだけだろ、と。
この店は、レギュラーメニュー含め全て全て店主さんが一から作っている。
なのに普段それをメニューにもSNSにも書いていないので、知らない人も多そうで歯痒かった。
分かる人は分かるだろうが。
なので、毎年12月頃限定のオーダー後成形から行うパンを「本当に焼きたてパン」という名前で出してくれたのは本当に嬉しかった。
それがこちら。
夢のようなプレート。
全力で身体にもいい、身体に悪いところが何一つない、そして突き抜けて美味しい
2種類添えてあるのが分かるだろうか。
クリームチーズとバター。
火傷しそうな熱さ。
熱々だからいい、なんてことではない
周りの生地のカチッとした甲羅のような固さ、サクサクとも違う分厚くてガリガリな香ばしさ、そして中のとんでもなく優しい香り
ミニデザートは柿ジャム付シフォンケーキ
そしてこちらも本物のココア
ココア好きって人、特にスタバのココアが好きって人、あれ偽物だから。
チョコレートシロップ(という名の、異性化液糖でそもそもカカオゼロ、チョコレートでもない)をミルクで溶かしただけの代物はココアではない
ココアパウダーを小鍋で練って甘みを少しずつ足したものを出してくれる喫茶店、どれほどあろうか
別日
ボルシチと、本当に焼きたてパン
ボルシチも本当のボルシチ
ボルシチを知らない人はいなかろうが、本物を口にした人は少ないに違いない。
ボルシチだと思って食べたやつ、それ、ただのビーフシチューかハヤシライスだよ
なぜこんなに赤いのか疑問にも思わずうまうま頬張る人と食べたくない。
なので、僕はいつもここに1人でくる。
食べる間は、スマホも本も置いて、飯と対峙。
それはほぼ全ての好きな飲食店で。
作り手への敬意と、全身で旨さを感じ、美味しいの理由を知りたいから
「ボルシチってなに?」
僕の横の親子(男の子、女の子、お母さん)のうち、坊やが母親に尋ねた。
母親が返しに困っていたタイミングで、店主さん、僕に
「どうですか〜?」と笑いかけてくれた。
(最近たまに聞いてくれるのだ。嬉しい!)
僕は親子に説明する意味も込めて(うざい)
「ビーツの味がスープにも牛肉にもお野菜にも染みてて、少しずつ溶かしたサワークリームの酸味ともまた合って、本物のボルシチです!!」
と鼻息荒く答えた。
「だってよ。」
坊やが母親にそう返し、ちょっと恥ずかしくなりながらも無心でフォークとスプーンを進めた。
この日は大好きな自家製ジンジャーティー
生姜も作り置きしないで、オーダー後にすりおろし、刻んでくれている。
すぐ黒ずむからね、店主さんそれを思ってだろう
別日
自家製カッテージチーズとベジタブルたくさんのサンド
サラダもたくさん
その日によって、卵サラダやポテサラやいろいろ乗っているが、どれも美味しい
適当にとりあえず乗せたものが一つもない
野菜も、ズッキーニ、かぼちゃ、トマト、レタス、茄子…数えきれないほど入っている
何より自家製カッテージチーズって、初めて食べたけど、カッテージチーズ特有のもろもろ感や強い酸味がなく、柔らかく野菜に絡み美味しい。
濃いめのガーリックオリーブオイルソースともあっている
コーヒーの果てまで美味しい
器も素敵だ
常連さんと店主さんとのやりとりを、羨望の眼差しで見つめていた僕
客「かぼちゃプリンもすごく美味しかったけど、スパイスいくつ入れたらああなるの?」
店主「いくつ?イチ笑。シナモン、以上終了。あとは、カラメルを恐れずギリギリまで焦がしてるからかな。サンドイッチもどれもそうだけど、結構シンプルですよ笑」
僕(そうだったのか…すごいな…まさに、良い食材、巧みなスパイス使いが素晴らしいわけじゃない、その使い方の工夫と愛情のなせる技だな)
僕「今年もありがとうございました。本当に本当に美味しくて…年末はいつまでですか?」
店主「今年は25日までかな…シュトーレンもやってるから寝る時間なくて、いつもお風呂で寝落ちしてるんですよ笑。真面目なのかなぁ、自分。良いお年を。」
来年も、無理に距離を詰めようとは思わない。
名前を聞かれなくても(そういえば店主のお姉さんの名前も知らない)、仕事やプライベートの雑談なんてしなくても、感謝と感動が溢れている。
ほんのちょっとだけ最近「あ、こんにちは」「どうですか?美味しいでしょう笑」と声をかけられるようになった、それだけで幸せだ。
年明けまた、すぐ。
アーティストも作品も、そしてお店も、その時の衝動的ファッション的気まぐれで身勝手に好きになんてならない。
全力で好き、そして一度好きになったらそれは永遠に、が僕の揺るぎない信念
おまけ
サンクチュアリ近くのギャラクシティにあった足立区っぽさ溢れるシュールな告知ポスター
妖怪好きとしてはそそられる。可愛いよ可愛いよ