駅前で何かイベントをやっていた。
池袋から少し離れるだけで一気に都会の喧騒と無縁な世界が広がる。
なんと駅から超近い。目の前。
目の前すぎて大行列だったらどうしようと恐る恐る階段を上がった。
手書きの黒板文字がいい感じ。
タイミングかもしれないが、結果、ほぼ待たずに座れた。
店主に電話番号を告げて少し界隈をクルクルしたものの、特に何もなさそう(失礼!)だったのと、店内書籍のラインナップを見たくて舞い戻ってきた。
グルメや政治史やいろんなジャンルがあったが、やはり店主の好みが凝縮されている気がした。そこが巷の書店にない個人書店の醍醐味であり、意外な発見に出逢え、手に取る楽しさが増す。
そして着席。
想像を遥かに超えるおとぎ話のような非現実空間。ここで他者の会話に妨げられることなく読書に耽ることができるなんて。
そう、こちらは会話禁止のブックカフェ。
大好きなフヅクエやアール座読書館と似ているのは、会話禁止なところに留まらなかった。
滞在中、あちこちに"フヅクエの香り"、"アール座の空気"を見つけた。
木々に囲まれた内装、読書を邪魔しないノンボーカル(でもジャズやクラシックなどの、あーこれこれ!と、つい耳が反応してしまう系でもなく、なんというか独特の、ぼわぁぁぁん…みたいな音)のBGM、清潔な手洗場の感じ、保坂和志の本がやたらあるところ、思わず両手で握りたくなる温かみのある焼き物の器でホットドリンクがサーブされるところ…。
深煎りを選んだ。
カフェオレ。
んあぁ、美味い。
熱々をゆっくり、でもゴキュゴキュ飲んだ。
しっかり苦いその苦さが、ミルクと合う。
豆乳やオーツもいいが、これは牛乳が合うね。
そして、もうこれっきゃないぜと決めてきた、デザートプレート。
プリン(生クリーム乗せ)と、さつまいもバスチーハーフ。
除夜の鐘的にスプーンで「どん!」と突いても、「むん!」と跳ね返ってきそうに力強いプリン。
そして固めにホイップされたクリーム。
クリームをひと舐めしたところ、甘さと、レアチーズのような酸味があった。なんだろうこれ。マスカルポーネ?クリームチーズ?いや、多分生クリームは生クリームなのだろうけど、とてもチーズっぽい。
そして胴体は予想通りどっしりぷるるん。ゆるゆるのとろける系でもなく、しっかり食感を楽しむタイプ。
カラメルは結構苦め。←完飲
いい眺め。
さつまいもたっぷりのチーズケーキ、美味しかったな。
角切のさつまいもがちろちろと。
見えない部分のこんがり背中がたまらない。
最高の読書時間。
こちらの店、いろんなタイプの席があり、空いている限り、または来た時の巡り合わせで楽しめそう。
僕のいた席。おうち!こんな可愛いおうちないが。最高だ。
ここもいい。
ロフトみたいな席もある。
帰り、ほんの少し店主さんに話しかけたところ、まさかのまさか、先に挙げた2店をよくご存知どころかだった。
フヅクエインスパイア系…とくくるのはあまりに失礼だけど、大好きで通い詰めたあの場所の香りを未開の地で味わえるなんて、嬉しい以外何物でもなかった。
しかし、「高校教師」の「僕たちの失敗」を思わせる駅だね。
あれは代田橋だったけれど。