先日、久しぶりに喫茶で隣り合わせた客にクサクサしてしまった(先に言うとこの店のことではない。ここではそんなこと起こりようもない。なぜなら…)。


ギラギラステレオタイプの港区男女(但し住まいは港区とは限らない)複数人、こんな会話をしていた。


女「青山でパンケーキ食べたいなぁ。ふあふあ系の〜。」

僕(パンケーキを可愛さアピールに使うとか、5年くらい古いぜ。そしてその描写、100%グルメじゃないな。朝マックのパンケーキでも食っとけ。)

男「青山って俺んちじゃん笑。俺、作れるよパンケーキくらい。」


僕(不純異性交遊の発露!!)


女「え〜、じゃあ食べに行くよ〜。」


僕(絵に描いたようなありがちな展開!多分同じ時間に全国の飲み屋で何マンと、同じ会話が繰り広げられてるな)


男「え、あぁ、別にいいけど笑。俺んち、人が来ても隠すようなやましいもの、なんもないし笑」



僕(聞かれてもないのに隠すものとか自ずから言っちゃってる時点でやりまくってるから!そして隠すものなんもないなら、あーなるほど…。おーい、横の女の人、彼着けないそうですよ!)


…危うく脳内ツッコミが漏れ出て横のテーブルに凸するところだった。
酔っ払いの狂った所業のようだが、ここはホテルラウンジだし、僕はキャラメルナッツティーを飲みシラフだった。


ここまで読んで、何が不快か皆目不明という方が大半だろう。
僕を知らない人は、非モテの嫉妬と思われようが、とにかく僕は男女のうんたらと完全無縁で人生謳歌しているので、こんなさながら下半身剥き出しな男女をやっかむことは断じてない。

不快さのわけを自分なりに分析したが、あれだ、円山町から熟年男女が手を繋いで出てくるとか、駅のホームで酔った男女がとか、そういう類の場面に出くわして「うわぁ、いいなぁ。いつか俺も私も!」と思う人は、多分この不快さを共有できないだろうなと。



とんでもなくこの店に不似合いな前振りとなったが、きっと良い店と踏んで、人生初のときわ台の地を踏んだ。





駅前で何かイベントをやっていた。

池袋から少し離れるだけで一気に都会の喧騒と無縁な世界が広がる。







なんと駅から超近い。目の前。

目の前すぎて大行列だったらどうしようと恐る恐る階段を上がった。









手書きの黒板文字がいい感じ。




タイミングかもしれないが、結果、ほぼ待たずに座れた。

店主に電話番号を告げて少し界隈をクルクルしたものの、特に何もなさそう(失礼!)だったのと、店内書籍のラインナップを見たくて舞い戻ってきた。




グルメや政治史やいろんなジャンルがあったが、やはり店主の好みが凝縮されている気がした。そこが巷の書店にない個人書店の醍醐味であり、意外な発見に出逢え、手に取る楽しさが増す。








そして着席。

想像を遥かに超えるおとぎ話のような非現実空間。ここで他者の会話に妨げられることなく読書に耽ることができるなんて。




そう、こちらは会話禁止のブックカフェ。

大好きなフヅクエやアール座読書館と似ているのは、会話禁止なところに留まらなかった。

滞在中、あちこちに"フヅクエの香り"、"アール座の空気"を見つけた。






木々に囲まれた内装、読書を邪魔しないノンボーカル(でもジャズやクラシックなどの、あーこれこれ!と、つい耳が反応してしまう系でもなく、なんというか独特の、ぼわぁぁぁん…みたいな音)のBGM、清潔な手洗場の感じ、保坂和志の本がやたらあるところ、思わず両手で握りたくなる温かみのある焼き物の器でホットドリンクがサーブされるところ…。











深煎りを選んだ。

カフェオレ。




んあぁ、美味い。

熱々をゆっくり、でもゴキュゴキュ飲んだ。

しっかり苦いその苦さが、ミルクと合う。

豆乳やオーツもいいが、これは牛乳が合うね。








そして、もうこれっきゃないぜと決めてきた、デザートプレート。

プリン(生クリーム乗せ)と、さつまいもバスチーハーフ。












除夜の鐘的にスプーンで「どん!」と突いても、「むん!」と跳ね返ってきそうに力強いプリン。

そして固めにホイップされたクリーム。










クリームをひと舐めしたところ、甘さと、レアチーズのような酸味があった。なんだろうこれ。マスカルポーネ?クリームチーズ?いや、多分生クリームは生クリームなのだろうけど、とてもチーズっぽい。

そして胴体は予想通りどっしりぷるるん。ゆるゆるのとろける系でもなく、しっかり食感を楽しむタイプ。

カラメルは結構苦め。←完飲











いい眺め。









さつまいもたっぷりのチーズケーキ、美味しかったな。









角切のさつまいもがちろちろと。

見えない部分のこんがり背中がたまらない。










最高の読書時間。










こちらの店、いろんなタイプの席があり、空いている限り、または来た時の巡り合わせで楽しめそう。















僕のいた席。おうち!こんな可愛いおうちないが。最高だ。







ここもいい。







ロフトみたいな席もある。





帰り、ほんの少し店主さんに話しかけたところ、まさかのまさか、先に挙げた2店をよくご存知どころかだった。



フヅクエインスパイア系…とくくるのはあまりに失礼だけど、大好きで通い詰めたあの場所の香りを未開の地で味わえるなんて、嬉しい以外何物でもなかった。







しかし、「高校教師」の「僕たちの失敗」を思わせる駅だね。

あれは代田橋だったけれど。






ちなみにホテルラウンジでイヤホンした僕が聴いていた敬愛する方の新曲。
奇しくも真横のシチュエーションへの感情にピッタリで独りほくそ笑んだ。