いつ振りの成田だったろう。

羽田にも国際線が増えたとはいえ、やはり成田は別格。一気に海外旅行気分になる。





僕にとって、海外自体がもう相当久しぶりなのもあり、早朝の成田空港駅に降り立ち広がったこの景色に、思わず声を上げた。





一方で、普段秒で眠れる僕だが、普段絶対寝ない時間に床に就いて、何なら普段寝る時間(朝4時)に起きることを余儀なくされ、そして寝坊したら一貫の終わりとなると、まさかの一睡もできなかった。

ただでさえ長いフライト時間、ロシアウクライナ情勢の影響で、より長くなっているというのに、根津甚八で挑んでしまった。




いやいや、冒頭書いたとおり海外1人旅ゆえのアドレナリン迸り(ほとばしり)により、眠さなんてどこかへ…!







いかなかった。

搭乗までの時間、この長椅子にイカスルメのように伸びきって爆睡した。




…と、遠くの方から集団がやってくる声がして瞼をこすった。




一気に目が覚めた。

操縦士とCAたちだった。

なんでそんなんで目が覚めるのかと思われようが、ANA JALを想像してはいけない。





これだぜ。

映画の世界かと。








このかっこいいルックスとコスチュームの彼らが談笑しながら目の前を通り過ぎたのだ。




イカスルメの僕は、一気に覚醒した。

すると、添乗員のNさんが近づいてきた。

「もつ鍋さん、寝てたんですか笑」



添乗員?

1人旅じゃないの?



と思った方、


厳密には「旅行会社のツアーに1人で参加した。」が正解。

ここで、そもそものこの旅の目的と経緯を軽くまとめる。




まず、旅の目的から。

僕は、世界史を知ることが本当に好きで、殊にヨーロッパが好きで好きでたまらない。

とはいえ、何となくパシャパシャ漫然と写真を撮っては美術館を巡って素敵なことをしている気分に浸るだけの軽薄な旅は絶対嫌だ。


これは海外に限らず、また旅に限らず、飯や酒もそう。

「うわぁ…。」なんて声を上げて飯なり作品なりを食ったり見たりした後、そのものの背景のストーリーはおろか、写真を振り返って名前さえ覚えていないような体験を重ねることに何ら意味はない。ならば、家でぐーぐー寝ていた方がいいと思っているが、世の中ファッションで飯好き美術館やオーケストラ好きと自称する輩が多過ぎる。



僕の旅の目的は、少しでも世界史についての視座を養うこと。

そのための事前予習として、関連書籍を(軽く触れたものも含めて)100冊近く読了した。

フェルメール、レンブラントらの解説書、ベルギーに多い中世ヨーロッパのギルドハウスについて等…東京書籍の世界史B、浜島書店の世界史詳覧も大学受験以来引っ張り出してきて繰り返した。

それでも、オランダベルギーを語るには、10000分の1もまだ理解できていないと思う。


ノー予習の無垢な状態の方が現地でいろんな気付きがあるはず、という意見の友人もいたが、それってどうだろう。英語力ゼロでスピードラーニングを浴び続けてもヘブライ語垂れ流しと変わらないくらい「ほえ?」となるのではなかろうか。



次いで、ツアー利用での1人旅となった経緯。

海外は高校一年時の母親との(当時もツアー)ロンドンパリローマと、大学の卒業ゼミ旅行で男8人で香港に行った2回のみだった。

なので、出入国の仕方も持ち物もホテルの取り方も分からないし、語学力も大学の頃からTOEIC400点くらい下がっているしで、不安だった。


"スマホさえあれば、バックパッカーできるよ!言葉なんて通じなくてもパッションとボディランゲージよ!"、みたいな輩もたまにいるが、僕とは根本から価値観が違いすぎる。そんな無謀無計画な旅はしたくない。


そんなわけで、そこそこ時間もあって金もあって僕と一緒に海外行ってくれる友人…探し続けていたが、10年経っても見つからず徒(いたずら)に歳をとった。

このまま当て所なく待って朽ちて死ぬのは嫌すぎるし、歳とって諸々鈍磨した状態で海外に行くのは、上記僕の目的に大いに反する。

なので、間をとってツアーを利用したのだ。

結果、大正解だった。









そんなわけで、長いフライトもわくわく(ねむみもすっかり吹き飛び、一睡もせず楽しんだ)。

KLM航空の、ハリウッド女優のようなCAたちと真横のオランダ人老夫婦との会話に胸躍らせつつ、機内食も楽しみつつ。

(現地で食べまくる分控えるという人もいるが、久しぶりの海外なのと割と美味しかったので今回はペロリ)




クリームチーズと、パンと、和風な味付けの鶏肉とほうれん草と人参、ふりかけご飯、サラダ、抹茶ケーキ。






国内海外問わず、新幹線飛行機の時間は貴重な読書時間。

あと、我が子。

そうそう、そもそも1人旅じゃないのだ。









ティーブレイクのコーヒーとクッキー。

オランダのもののよう。

クッキーは、この日寝る前にホテルで食べた。かなり分厚くてバターが効いてザクザクで美味しかった。










目が疲れてきたので少し映画も。

普段映画は北野映画ほぼ一択の僕が惹かれるものはなかったが、数少ない僕がイケメンと思う俳優ヒューグラント主演の「アメリカンドリーム」と他2作を観た。

とはいえ、英語力が先述の通りなので、登場人物が何故泣いているのか、そして結末もよく分からないまま終わった。




「よくその状態で観続けられましたね。」


仲良しの萌さん(エムベイクハウス)に帰国後真顔でそう突っ込まれたのがツボだった。

いや、ほんとそう。

英語も、歴史と同じくらい勉強したいなー、と思いながらも現時点で未着手。


それよりも。


この旅総じて、萌さんがいなかったら充実度100分の1になっていた。

ベルギーが半ば故郷の萌さん、旅前にPCまで用いてたくさんたくさんレクチャーしてくれた。

行くべき店から、気をつけるべきことから、持ち物の果てまで。

そう思うと、ますます実質1人旅じゃないな。





このサンドイッチも機内食とは思えないほど美味しかった。

ラタトゥイユときゅうりチーズ。

チーズが美味しいオランダを早くも堪能した。







普段から長旅割と平気な僕だが、海外という興奮もあり、14時間フライトがあっという間に感じられた。



終盤、手洗いに行こうとすると外国人親子とビルゲイツみたいな紳士(外国人に弱い僕なので、皆ハリウッドスターか偉人に見えがちだが、実際神々しかった)が「amazing!」と叫びながら窓の外を眺めていたのでそちらに目をやると






おおおお!

何あれ!



これが何なのか拙い英語で聞いてみた。



「Green landだよ。白いのにグリーンランド、面白いでしょう。日本ではこんな雪山なかなか見られないんじゃない?」


そして、ロシアウクライナ真上を回避するため逆回りで飛行したからこそ見えた景色だそう。



先ほど英語力を自虐したせいで和訳の信憑性を自ら下げてしまったが、さすがにこのくらいはわかる。

そして、なんて粋なんだビルゲイツ。

ファミリーも「よければ座って見てみたら?写真もどうぞ。」と誘ってくれた。


もう日本人のツアー離脱して君らについて行きたいよ!!

着陸直前の僕はテンション爆上がり。












ありがとうといいながら撮影。










外も明るくなり、着陸1時間半前にまたご飯。

どうせもうすぐ着くのにこのタイミングで出るんだね、と思いつつ、いただきます。

(なお、その後行ったヨーロッパ旅行でも同じ食事タイミングだった)





カレーポテトチーズブリトー、クラッカーとチーズ、フルーツとチョコムース。





ちなみに、映画に日本語字幕を付けれることを着陸間際に知った。

ま、いいのさ!






そして到着。

スキポール空港。20時くらいだったかな。

白夜すぎて明るい。

ホテル周りに何もないとのことで、空港のスーパーで軽く買い物。






わぁ、本当にチーズチーズチーズ!








21時と思えない明るさ。

政治経済の要であるハーグだが、穏やかな住宅地が広がる。








宿泊したアトランティックデン・ハーグ。




コンパクトながらとても綺麗だった。

今回の旅で感動したことの一つが、ホテルがいずれも綺麗だったこと(とりわけ何日目かのは、綺麗の域を超えていた)。

どれくらい綺麗かとゆうと、全国潔癖症選手権大会で優勝しそうな僕がそう断言するくらいだ。

日本のホテルでさえ、名古屋札幌は未だ衛生面で納得のいくホテルを見つけられておらず滞在を控えている僕だが、この旅ではいずれもすごく心地良く過ごせた。

バスタブも完備され、シーツも家具もシミひとつなく綺麗だった。







荷物を置いて、海辺へ。

まるで南米のビーチ。




フリットと呼ばれるポテトフライがベルギーオランダはとにかく有名とのことで、至るところに屋台があり、レストランでもやたらと出てきた。

そしてどこのそれも揚げ方がよいのか、ポテトが違うのか、とても美味しかった。





ようやく少し暗くなってきた22時前。









暗くなったら真っ暗なのだろうけど、心地よい海風。







オープンテラスのレストランから音楽が漏れている。






















ハバナビーチ?ハバナってそれこそ南米よね?確か。やはり意識してるのかしらん。












空港で買ったカイザーロール、普通に美味しくおやすみなさい。