いつもながらねりねりプランニングする僕。
50くらいの候補から、こちらにした。
懐かしい記憶が蘇る。
坊やの頃、高校生の頃、大学生になってから、何度も通った広尾のルスフレ。
ランボールギーニのショールームの並びにあった。車に明るくない僕は、友人から「ランボールギーニ前ね!」と言われて「ダンボールケーキ٩( ᐛ )و?」と間抜けな返しをしたものだ。
今のようにスイーツの種類もカフェの数も多くなかったあの頃、珍しくて美味しいものが食べられるこちらの印象は、幼心にも衝撃的に強かった。
ご夫婦経営のスフレ専門店。
チラ見えするキッチンでは、ご主人がいつも忙しそうにスフレを焼いており、出来上がると急いで持ってきてくれた。
とにかく出来立てが美味しいので、すぐにお召し上がりを、と言われたものだ。
その後、再開発なのか理由は不明だが、繁盛店なのにお店を畳んでしまった。
自由ヶ丘スイーツフォレストに入っていたときもお邪魔したが、その後どうなったか分からないままだった。
代々木から少し歩いたこちらで営業再開されたと知ったのは1年ほど前。
タイミングを失していたが、パイセンツアーに組み込み、パイセンにおんきせ&力説&いじりをかましつつ久々のレベチ絶品を食べようと思った。
店内はまだ新しく、とても可愛くて綺麗。
驚いたのが、ご夫婦がすごくすごく若かったこと。おじさんおばさんな年齢ではない。
僕が坊やの頃から逆算して…え?時空の歪み?不老不死レストラン?…謎だ…。
なんて、はてなはてなを浮かべていたら
地震だ!
ちょい大きめの地震がきた。
おぉぉ…とキョロキョロしてお二人に話しかける僕ら、笑顔で穏やかに食器を押さえる奥様、そもそも地震に気づいていなさそうな物静かなご主人。
なんだかとってもいい空気感の中、第一陣がやってきた。
ミートパイ!!!!!
もちろんオーブンで焼きたて。
もはやフランス料理。そこらのミートパイと比べ物にならない。
ちなみに、サラダを作る様子もチラ見していたが、銀のボウルとトングでとても丁寧に葉物を混ぜていた。非常にシンプルな味付けだからこそ、丁寧な姿勢がダイレクトに感じられた。
そしてキッシュ!
パイセンはほうれん草、僕はサーモン。
キッシュも、ビビるほど美味しかった。
フォークを刺すと、まるでハンバーグをカットしたときのようにアパレイユのふんわりジューシーさが感じられた。
鶏肉のクリームグラタン。
パイセンから一口もらったが、これもやばかった。てか色からして美しい。
ベシャメルソース、どうやって作っているのだろう…きっと、サラダと同じく丁寧に丁寧に小麦粉をヘラで練ってクリームで溶いているのだろうなぁ…。
適量と思ったが、まぁまぁ多い?
しかしミートパイ美味しかったなぁ…。
もはやパイ生地だけで美味しい。
絶対冷凍パイ生地じゃないのは聞かずしてわかる(違ったらどうしよう)。
そして、中身はもうハンバーグを超えている。
それも、ボロボロひき肉が崩れる系でも変にマッチョなミートボール系でもなく…
まぁ、これを見ればわかる。
※声が入らないよう何度も撮り直したり、「しーーっ」と言ってみたが、パイセン、目の前のグラタンとキッシュに夢中で聞こえていない様子だったのでもう知らない笑。本人特定できないほどにボヤけてるので容赦を。
「ん、んま!!」の声とともに肉汁をご覧あれ。
「んーだこれ!!」の声とともにミートパイのフォルムをどうぞ。
たっぷりのデミグラスソースをかけて。
あまりに贅沢すぎる味変。
残りのデミはパイセンに譲り、僕の提案でグラタンにかけたらどうかと勧めた。やはり美味かったようで嬉しい。
なお、ちょうどこの時会話のテーマは「僕が旅先で会った、犬食いしてるヤバいやつ」で、人生で初めて犬食いを見た!と驚きを力説していた。
と、まさかのパイセン、目の前の夢のように美味しいラインナップでラリったのか素なのか、あろうことかグラタン皿を両手で抱えて食べようとした。
「ちょっと!さすがにダメ!」
慌てて僕が制止すると、あんぐりと口を開けて今にも食べようとしていたパイセンが応戦
「だって、キッシュとかいろいろ皿がテーブルに乗り切らなくて…」
…だから奥様がさっき親切に隣のテーブルくっつけてくれたんじゃん!もう狭くなかろう!!
ガミガミ言っても、キレたり露骨にむすっとしないのがパイセンの本当にいいところである。
引き続き幸せそうな笑みを浮かべてそれらを平らげたのち、
おまちかね!
ガチ焼きたてのスフレ!ふわんふわんぷるんぷるんの!
星乃珈琲店のスフレと比べるなよ、まじパイセンが生来食べたことのない類のやつだからな!
…とどめの念押しをかまして、いただきます( ◠‿◠ )
ものっそい種類豊富な中から、僕はプラリネスフレを。
食べ方が書いてある。
坊やの頃から慣れ親しんだ食べ方、まず模倣するからもつ鍋から食べてと促され、
このとんでもなぁく美味しいソースを
かける前に
まずはスプーンでほじほじ穴を開けて、そのままパクッと食べて、そこへソースを流す。
うまーーーーい!
なんて繊細で上品で儚いんだ。
すっごくきめが細かくて、みずみずしくて、かといっていつかパイセンが食べてトラウマになったという卵料理店のぐじゅぐじゅオムライスのような水気はなく(だからか、平らげた後の器がつるんと綺麗)。
ソースもバニラビーンズたっぷりで濃厚なのに癖のない乳脂肪分を存分に感じられる。
コーヒーまで美味しい。
食べ終わるのが切ないが、熱いうちに、ね。
ちなみにパイセンはいつもバキューム戦法で掃除機のように食い尽くすので、毎回僕はいじる。
最近は「味わってるよ!汚いもの見るみたいな目、やめて!」とレジスタンスをかますようになった愛らしいパイセン。
帰り際、美味しさに感動し、奥様に話しかけた。
坊やの頃から通っていた話もした。恐る恐る、不老不死の謎にも迫った。
…実は、2代目のご夫婦とのこと。
それだけ聞けば、なぁんだ!という感じだが、2人の出会いがまたあまりにドラマティックで、なのに過激刺激といったものとは違い心温まるエピソードだった。そこは、心に大切にしまっておこう。いい話聞かせてくれてありがとう。
焼き菓子もあまりに美味しそうで、パイセンが途中からロックオンしていた。
僕もおみやげに買ってもらった。
パイセン、感想聞いてないよ?その前に、買ったそれの名前は?(一緒に行った店や紹介した店、食べたものの名称を片っ端から失念し、僕が記憶喚起させると「あーーーーそうだよ!」と身体ごとバタバタさせる愛らしいパイセン)
そしてそして、この日1番の笑い。
退店後、グラタンが格別美味かったと熱弁するパイセン、どう美味かったの?と詰める僕にパイセン
「ほぐし肉。ほら、普通グラタンの鶏肉ってゴツゴツ大きいじゃない?それだとクリームソース…」
僕「ベシャメルソース」
パイセン「(ムッとして)クリームソースでいいよ!クリームソースがさ、肉で…こう、せきとめられて、食べにくいというか。けど、ここのはほぐされてるからそれがなくて」
僕「ほぐし肉……そんな描写初めて聞いた…絶対それ、店員さん聞いても、まぁうちのほぐされて堰き止めないグラタンをお褒めいただきありがとうございます!とはならないと思うょ…。」
パイセン「おいしけりゃなんでもいいんだよ、もう!」
…あ、ダメそれいっちゃぁおしまいよ、もう違いなんてどーでもなんでもいいやん、の方向にいってしまうぜ。
まぁ、パイセンは本当はそれでいいのかもしれない。僕のこだわりを強いて悪かった。次回も絶対同じ攻防を繰り広げると思うけど笑
と、スイーツツアーはここまで。
その後、浄化ツアーの方へ。
この日は、事前情報でさんざんっぱらヤバいと聞きつつ、できたばかりだし、まぁ一度は物見遊山するかと歌舞伎町のあちらへ。
おびただしい数の客、その大半は冷やかしな気がした。実際、スタバなどはガラガラだった。
歌舞伎町飲食店夜職の友達もみんな、あそこはヤバいもう行かないと話していたが、さもありなん。
外国人観光客が喜んでくれるならいいのだけど、治安オワなアレをなんとかしないとね。
からの、パイセンが不知だという、ここから程近いあの場所へ案内した。
令和のこの時代に、まさかこんな光景が広がるとは、初めて行った時は僕も驚いたが、これが現実。パイセンも目を丸くして見ていた。
パイセン「指差すのはやめよう。この前、吉原で学んだから。」
…おぉ!!パイセンが学習している!
そうだよ、忘れもしない、北千住ツアーの日、僕が吉原をパイセンに見せようと連れ立って歩いたら、あろうことかパイセン、店舗前で片っ端から「なにあの店のネーミング!〇〇だって!あ、あれも!」と指差しまくりやがった。
僕が慌てて制止して、その厨房的無知無邪気を嗜めると、むくれ顔で「こわかないさ!あんなやつら!」とまたしても厨房的な反論をする始末だったからな。
いや、でも学んだか、よかった…
パイセン「ねぇ、あの男の人…あっ、また指差しちゃった!」
ねぇねぇ、もう、わざとなの?www
次回に備えてちゃんと復習しておいて下さいよ!
(えっ、次回もあるの?あります。次はあそこです。)