「この街、いい人ばっかりでしょう?気候もあったかいけど、人も。」


……うっかり空港行きリムジンバスに乗り遅れ、やむなく飛び乗ったタクシー、八十路近い運転手さんがギュンギュン飛ばしながら零した。



もう何度目かの松山。
既にこれ以上ないくらい温かさを感じている。




この日はあいにく、秋山兄弟生誕地も、SPOTコーヒースタンドもお休み。

まぁ、のんびりゆるっとするかと、軽めに市街を散策した。

子規堂、坂の上の雲ミュージアム、上記生誕地、松山城は訪問済みなので、残す坂の上界隈を目指して。






漱石ゆかりの。




※漱石珈琲は時間切れで今回も入れなかったが、またいつか。






しかし、この日はよく晴れた日で、さながら絵葉書のような風景。







萬翠荘。







二階建てで、貴族の宿にしては比較的狭め(札幌豊平館などと比べると)だが、精巧な建築。

ダイニングのこのシャンデリアの下は、パワースポットとされていたそう。








この頃の建築って、アール・ヌーヴォーの影響か、赤絨毯の階段がとかく多い。あとはステンドグラス。船舶が波に揺られているね。









漱石の自宅を再現したミニチュアらしい。

よくできているね。趣がある。









明治大正頃の友人関係って、とっても生真面目で堅苦しいものばかりと勝手にイメージしていたが、「彼は大事な親友だ。」などと語るより何より、漱石の子規への愛が溢れている。漱石と子規の仲の良さが窺え、何だか愛らしく、嬉しい。




即ブロ未読スルーなイマドキの人間関係より、よほどあったかいような。







昔は正面の松山地裁が二階建だったから眺望抜群だったと書かれている。

裁判所、邪魔してんじゃないか!










マリンブルーの家具、なんだか豊平館を思い出す。あれは建物そのものがウルトラマリンブルーだったが。









昭和天皇がここで朝食をとっていたそうな。

狭いけど、木漏れ日がさぞかし気持ち良かったろう。








アシンメトリーと、ネオルネッサンスね。

いい言葉だな、ネオルネッサンス。








ちなみにこれ、パネル11個全てに音声ガイダンスがついているが、全て聴いて見て回った。

博物館でも美術館でも、とりあえずザーッと回ってパシャリして、行った感じで終わるのがとにかく嫌なので。









思った以上に収穫だった。萬翠荘。









そして、軽く四国最上級スイーツを味わったのち、案外近かったので道後温泉へ。

7年前に一度、Acid Black Cherryのツアーで来た際、帰りに立ち寄ったが、こんなだったっけ笑





まぁ温泉街って、熱海もどこも割と、ヘルスヘルスヘルスだよな。昔の名残かな。



…と、道後温泉本館前に、おびただしい人の群れが。芸能人でも来てるのかと思うほどに。



近づくと、マイクの声の主に向かって皆拍手喝采。

しかし、主の声、鈴木宗男にしか思えないんだが、宗男来てるのかな?

や、以前神戸で、確かに尋常でない聴衆が集まっているのを見かけて、未だ人気すごいな、てか宗男の人生何度でも這い上がる根性すごすぎるな、と思ったが…にしても、そこまで人気?




宗男じゃなかった!

JR四国??シュールすぎる…なにこれ。何のイベントに紛れ込んでしまったのなと笑いを堪え覗いた。


どうやら、毎年この時期開催される、JR四国主催の餅まき大会が、コロナ禍ゆえ3年振りに開催された、まさにその瞬間に遭遇したらしい。





押し合いへし合いというか、もう皆、脇目も振らず餅をむんずと掴もうと必死。


警備員の「押さないで、ジャンプもしないで。」も、完全にダチョウ倶楽部的振りになっている。





しかし、こんなシュールなもの、そうそう見れないwww今見返してもお腹痛いwww










頭の上で両手をパンパンして可愛い、皆さんお餅欲しいのね、地域振興大切ね、ほっこり愛らしい、と思うか、はたまた…と思うかは、人それぞれ。








僕は餅を取るために負傷したくないので、ひとしきり光景を目に焼き付けた後、退散。

(ちょっとは手を伸ばしたけど取れなかった悔しさゆえではない)



道後温泉ははなから関心がなく、入らず。





代わりにこちらへ。

子規記念館。

かなり見応えがある。

こちら、愚陀仏庵再現。








しかし時間がなくてかなり巻きで展示を流し見てしまったので、再訪したい。

道後にはもう用がないから、次はいつか分からないけれど。







坊ちゃん電車。







こういう趣あるスタバ、各地にあるよね。









冒頭の通り、なぜかリムジンバスに乗り遅れたのでやむなくテイクアタクシー。

車内で、なぜ松山が台風に強いか、大きな河川がないこと、かつてあった大河川を埋め立てたこと、それだと水の行き場がないから、細い河川が随所にあること、おじさんが若かりし頃台風の目を見たけれど松山市どこも無事だったこと、おじさんの名字は徳川家ゆかりに違いない…とおじさんは思っていること、たくさん聞いた。



日に焼けて、顔がほんのりヒリヒリ、心地よいミニ疲労を感じつつ、後部座席の持ち手にギュッと掴まりながら僕は、最高に温かい気持ちだった。






空港にて。極上に美味い日本酒カステラを貪った。




この日は、夜に備えてケーキしか食べていない、というか旅先であまりガッツリ食べないようにしているので、帰京前腹ペコでこれくらいを嗜むのが最高にちょうどいい。

何より、腹パンにならないおかげで、現地での視座養いが充実し、往復の機内時間を読書に充られるので、心の満足度が高い。




旅は人それぞれ。あくまで、僕のスタンス。