友人「あー、まぁ半々くらいかな。」
僕「いやいや、毎回やってたってば。ロオジエでさえも…あれたまらなく恥ずかしかった。」
友人「おまえはそもそも気にしすぎなんだよ。ほら、飲むぞ。はい乾杯(グラスを逆に引いてから飲む)。ほらぁ、なんか味気ない。」
僕「いやいや、互いにグラスを自分の顔の前で持ち上げて乾杯って言うんだよ(泣きそう)」
…このやりとりを見て、僕の方をむしろめんどいやつだなーと感じる方も少なくないと思う。不快にさせて申し訳ない。でも僕は、僕なら、マナーや常識の無知は指摘してほしい。美味けりゃなんでもいいなんて、それで麻布だ広尾だミシュランだなんて、嫌だ。
でも彼のいいところは、こんな攻防をしつつもカラッとしているところだ。
ありがとう、だから10年も付き合っていられる、いや、いてくれる。
しかしとんでもなく素晴らしかった、本当に。
お任せコース。スペイン料理のコースは初めて。
穴子のクロケット。赤紫蘇を添えて。
穴子そのままのフライではなく、ちゃんとコロッケ。味付けも、そして食器も、和と南蛮のフュージョン。シェフの粋な遊び心が感じられる。
彼が見つけてきた店だが、見て驚いた。
かつて日本橋にあったミシュランスペイン料理、サンパウで修行されたシェフの店だった。
広尾駅前の洒落た屋台風イートプレイワークス内にこんな店があるとは。
パンコントマテ。
トマトが染みたガリッガリのパン。
スペインを全面に出してきた。そしてここに、
この、色艶からして上質な生ハムを乗せて。
脂身と塩味としっとり加減が、たまらない!
スペインワイン、カバをボトルで。
カバはフルーティなのに酸味控えめで、非常に美味い。
ガバガバとガバガバと。
その後白(忘れた)をさらにガバガバと。
もうこれだけでまた食べにきたいのに、
目の覚めるやうなものが。
ビーツですか?とすかさずスタッフに聞くと
「パプリカです。そこに…お連れ様は生牡蠣ですが、苦手とのことでこちらは帆立に変更しました(ありがとう)。そして、ビーツも入っています。スープ仕立てです。」
生牡蠣回避したが、牡蠣とさぞあっただろう。
帆立も十分美味かったが、このスープが澄んでいるのにビーツのコクがあって本当に美味い。
スペインからスペイン人ワイン農家の方がいらしており、いろいろ教えてくれた。いいね、行った気になる。
ヤリイカソテーを栗とイカ墨のソースで。
友人が説明を聞き逃し、珍しく(よほどここを気に入ったのか)「なんだって?」と僕に確認してきたので、教えてやった。
栗とイカ墨なんて、それをイカと合わせるなんてよく思いつくな…。芋カボチャとも違う、そしてポタージュじゃなく、ちゃんとソース。美味い!
どんどんついでくれるから、どんどん飲んだ。
この店の素晴らしいところは、ガンガンこちらのペース無視でサーブしないことだ。
ゆうて、僕らはペースが遅かった。というか、どうにも仕事で珍しく死ぬほど落ちていた僕の語りが長かったせいなのだが、店の方はそのペースを尊重してくれた。泣きそう。
僕「や、今日楽しみにしてたのに悪いから言おうか迷ったけど、上司の僕への仕事丸投げドライモンスターぶりにさすがに泣きそうで、でも…。」
友人「てか、大人になって泣くことそんなないだろ笑。お前、メンタル弱いなぁ笑」
…弱くないわ!ここまでどんだけ踏ん張ってきたと思ってんだ!!…
なんてことも、笑いながらぷんすか言い返せる。
誰とでもはできない。
相談をしても、鬱陶しがられたり、いい気味とばかりに笑われたり、そもそも僕のこと明らか馬鹿にして見下しているとしか思えない人もいる中、こうやって笑って聞いてくれる彼はあったかい(的外れてはいるけど。
そしてこれがやばい。
ビーフカツサンド。あ、もう、本当カツにするなんて失礼なほどの美味い牛肉。
カツサンドにこんな上質な肉、使っちゃダメだ。
あ、何これ、うまっ。
…あまり感想を口に出さず雑談して食べ進めるタイプの彼が、珍しく唸った。というかこの日はずっと唸っていた。あーもう書いてて明日また行きたいよ…。
そして肉に感動していたら、さらに肉だよ。
これがとろけるほど美味かった。グリル。
この炭のつき具合!てか本当に美味い。
泥酔して説明失念。
ほぼクリームのとろとろとしたやつ。死ぬほど美味かった。
バスチー。
馬鹿の一つ覚えみたいにバスチー流行ってるが、もともとはスペインバスク地方発祥の、焦げを活かしたやつだぜよ。