もっとも世話になっている同業の先輩との会食。
その先輩には、もう何回も馳走になっているが、実はサシは初めて。
思ったことを何でも言う至上主義の僕は、相手が大先輩でも言う。
「僕を可愛がって下さってもサシ飯はしないのは、決して忙しいからではないですよね。女性…それも、その先の快楽への期待のある女性、連れているだけで誇れるような女性にじゃないと時間も金も使いたくないという心理、分かります!」
こんなこと放たれて、よく未だに親身に面倒を見てくれていると思う。
てなわけで、苦笑いしつつの先輩と初めてのサシメシ!
お手並み拝見ときたもんだ。
①磯丸に毛の生えたところにしてくるか、
②手を抜いたと分からない程度の小洒落たnotチェーン店にするか、
③振り切った感じでグランメゾン級まで行くか。
①は、先生のプライド的にさすがにないと思う。
③もない。カンテサンスが常連である旨やたら強調するが、その相手は僕ではなかろう。
②だな。
②だった。
前日に食べログURLを送ってくれたので見たら、とにかく入口がわからない類の隠れ家だと。
あーはいはい、そういう感じか。
女性をさんざんっぱら連れてきて「え〜どこが入口かわかんなかったです〜。わぁ、こんなとこから入るの〜?さすが〇〇さん、こんなお店知っていてすごいですね!」と言わせてるんだろ?
ちなみにその先輩は、絵に描いたような雄で、もうカブトムシのツノというかヘラクレスというか天狗のお面というか、「障子を片っ端から突き破るいきり立ったペニス感」がすごい。
(心から尊敬している先輩です念のため)
事前に先輩から「入口分かりづらいから、分かんなかったらLINEしてね〜」ときたもんだ。
ふん。
生粋の港区ボーイ舐めんなよ。
たき下の近くだろ?行きゃ分かるわ。
絶対にLINEしないし、店にもかけないで見つけてやる!!
雨の中意地になった。
住所はすぐわかった。番地の標識を見つけた。
けど、まじで入口が分からない。
近くのシャッター前で男女がいちゃついていた。シャッターには「店はこの先です」とあった。
ん?ここか?
てか、この男、米がどうとか会話してるから、まさにそこの店員じゃないのか?教えてくれよ、いちゃついてないで。
男女に「すいません、米の専門店ここですか?」と聞きつつシャッターをこじ開けようとした。
男「そこもう潰れてます!米の店?知りませんけど…。」
ハァハァハァ…。
嘘ついてるのか?場所さえ、常連にしか教えないとか?
詰問しても仕方ない(既に不審がられている)ので、諦めて付近のビルを片っ端から上ったり、扉をガチャガチャやったりして回った。そろそろ通報されそう…うぅ、無念!!
諦めて先輩に電話した。
二つほど先のビルだった。
先輩「ここ分かりにくいよね〜」
くそぅ!!
そんなこんなで入店。
中は意外だった。
というか全て意外だった。いい意味で。
白味噌の焚き合わせ。
甘くて濃くて美味しい。
写真はないが、1杯目はもちろんスパークリング。
the秋。
銀杏やフォアグラのブルスケッタ(苦手だけどこのくらいなら大丈夫。美味しかった)やら。
刺身もびっくりするくらい程よい量。
白。
今回もまた、聞いた端から忘れてしまった。
多分これは2杯目の白。ファントム?
和食と合わせるワインもいいね。
すっぽんの茶碗蒸し的な。
多分すっぽんは人生初。
エスカルゴと同じく、敢えて食べたくないなと思っていたが、残すわけにもいかないので食べた。
それと思わなければ上品な出汁。
削り節やブロッコリーやじゃがいもの素揚げなどが入ったサラダ。
そして。
煮え花。
煮え花を出すところは珍しい。
というか初めて食べた。
寺門ジモンさんがどこかのお店で食べてえらく感動していたな。
もっぱらパン食なので米をあまり好んで食べないけれど、美味しい米は美味しい。
塩をぱらりと。
次の白は日本の。
朝露。
以前、この先輩と僕の仲良し激美人とで鮨とみ田に行った際、彼女が頼んでいたらしい。
僕は忘れたが、よく覚えてるな、さすがヘラクレス先輩。
かき揚げ。
ザクザク好みの僕には嬉しいザクザク。
是非動画をと言われ、撮影。
炊き立て。
こちらは米が選べるのだが、もっともいいやつを店側で勝手に選びました常連様なので、とのこと。聞けば先輩この日で二回目。粋なサービスだ。
そう、こちらの予想外は、至極品が良かったこと。内装も客層も、何より料理人も。穏やかで声のトーンも控えめで優しい。
もっと「ここは隠れ家だぜぇ!クラッチバッグ持ったエセ港区男子や東カレの表紙にでもなったような勘違い港区女子ども、さぁ写真を撮りやがれ!」みたいなギラギラ接客かと思った。
我ながらいろいろ失礼。
ご飯のとも。美味しそうー。
味噌汁。
米の専門店と聞いて、あまり米たくさん食べたくない(パンとスイーツ以外の炭水化物で腹を満たしたくない)僕は、ちぇっと思ったが、その量は全然控えめだった。
なんなら足りなすぎておかわり。
かなり粒のでかい品種。
鮭美味しすぎた。
以上で終わりだったが、足りないと文句を垂れて追加オーダー。
安めのご飯の友もあったが、
「肉( ◠‿◠ )」と指差してみた。
いぇーい。
いぇーい!
ごちそうさま。
初サシ飯、僕の近々の悩みへの的確なアドバイスもくれつつ、俯瞰していろいろ見ることのできる、相変わらず尊敬できる先輩。
サシ飯はもうないかもしれないけど笑、これからもよろしくね。
おまけ。
この日の先輩の名言。
「容姿でも社会的地位でも、嫌味を言ってくるのは必ず自分より下の人。だから、持てる者が払う税金だと思えばいい。文句を言ったり嫌味を垂れてくるのは、その税金を払っていない人。」