「どこ行くかな。」




ルシュクレクールでクロワッサンを食いながら、もふもふと検索した。

そもそも観光目的の旅ではなかったので(ビューバス目的)、そんなにうろちょろする気はなかった。



パン多めに買って帰るかな。




そう思いつつ地図検索をしていて、まさかの発見。




あれ?٩( ᐛ )و司馬遼太郎記念館?邸宅?



奇遇すぎる。

僕はこの翌々日、野暮用で松山行きが決定していたので「坂の上の雲」を今更ながら読もうかなぁと思っていた矢先だった。





恥ずかしながら、名前以外、彼の功績をまるで知らない。

ノー予習でも、むしろ先に体験した方が復習でインプットしやすいかもしれないな。




そして向かった。

たぎるような暑さの東大阪。









おおお、街全体が。









しかしなかなかに寂れている。

大阪もスモールタウンだな。








近くの小学校だかに石碑があった。



「二十一世紀に生きる君たちへ」

司馬遼太郎が未来の子供たちに向けたメッセージ、その一部だ。

全文が記念館に展示されていたが、泣いてしまった。

無断転用するのも憚られるので、是非検索等々して見てほしい。








すごい森森しい。セミがすごい。









記念館入口では、優しそうな係員のおばさん2人が待ち構えていた。



「ようこそ。」




暑そうな顔全体で笑いながら導いてくれた、その姿から、司馬遼太郎を、彼の作品を守っていこうという思いの強さを感じた。




書斎。そのままの姿。








ここで…。

本当にそのまま、ペンも何もかもそのまま(でも埃一つなく維持されている)。








芸術に造詣深い人はこれを見てすぐお分かりか。

安藤忠雄建築。

空間を贅沢に使い、コンクリート剥き出しを活かした彼の作品。




渋谷の駅地下は、ただのアスベスト剥き出しとしか思っていなかったよごめんなさい。

あれも彼の作品。





なお、館内は撮影禁止だが、目を疑う凄さだった。

何万冊という、司馬遼太郎の蔵書が壁一面の書架にに並べられていた。

ひどく勉強熱心な作家だったようで、とにかく1つ作品を書き上げるにも何百冊と参考文献にあたったそうだ。



「坂の上の雲」もまさにそれが表れている。

歴史書を読んでいるような感覚になる。

なのに、キャラクターの個性が痛いほど伝わる。

優しくてたくましい、明治人のうちの数人。秋山好古、真之、そして正岡子規。何より、かわいくてならない。




気づけば3時間もいた。

最後は、一階の喫茶で素敵なマグカップでコーヒーを飲みながら司馬作品を読書した。

最高の時間。







唯一の残念エピソード。

軽く20箇所は蚊に食われた。





東大阪に僕がいたわけ。これにて。


そしてここから鶴橋へ。