僕は帰国子女ではなく、海外も二度しか行ったことがなく、伝統とか歴史とかそれなりに重んじるタイプの人間で、日本人であることに平素不満はない。
のだが、一点日本人の嫌いなところ(多人種でこの気質がどの程度垣間見られるのか知る由もないが)、
"気が進まない誘いを断るとき、そんっっっなにストレートに言えないですか?言いたくないですか?言わないが美徳と思ってますか?本音を言ったら相手が傷つくと思ってますか?"
本音をストレートに言ってくれた方が清々しく、むしろ裏の真意が何かの拍子にチラ見え(はたまたモロバレ)する方が数億倍相手にモヤつきを与えると思うのですが。
誘われて、そのイベントや飯に惹かれないなら、ごめんよと前置きしつつ素直に言えばいいのに。
本当に忙しいわけじゃなく、あなたに時間を割くことに気乗りがしない(優先順位が低い、ないしベネフィットがないなど)なら、そうハッキリ言ってくれよ。
てか、前澤友作か孫正義より忙しいのですか、彼らですら………とかあまり言うと、自分が魅力なく他人から見てプライオリティ低いことを棚に上げ、あたかもその他人のこすさに原因があると愚痴っているようで、情けなくなるのでここら辺で。
しかし、それを感じる機会が折に触れてあり、その度、閉口しつつ虚無を感じる。
僕はいつだって正直だ。
例えば、病院の検査帰りで(気持ち悪すぎて)帰宅後即シャワーした直後に、突然飲みに誘われたとして、めんどくさければ、かくかくしかじかで今は…とハッキリ言う。
そもそもはなからそいつと行きたくないなら、また今度!などと言って(自分ごときが)、次への期待を持たせることもしない。
そんなシャワー後の電話、食い気味にOKし、即身支度し直した、年末の寒い日。
関西から来た、大事な親友。
「新天地でバタバタして、なかなか誘えんくてごめんな、例えば今日とか年末年始は何してるん?
ふぅん…そうか、近々やな。またな。例えば…もしかしたら…今日…。」
行くよ行くよwww今から!
裏の意図も、逆パターンなら愛おしい。
スマホ越し頭をガシガシしたくなりつつ、駆け足で赤坂へ。
彼のセレクトでもどちらでも、もはやカフェでもよかったが、ふと思い出してこちらに。
大好きなウィーアーザファーム。
有機野菜を惜しげもなく全面的に押し出した、というか自社菜園で従業員が耕している、とにかくこだわりの強い店。
恵比寿、麻布十番のそれは何回も行ったことがあるが、久しぶり。
ディナーで、それもコースで食べるのは初。
僕が認める数少ない(勘違いじゃない)グルメな彼に、リーズナブルでも美味しい東京の店をたくさん知ってほしくて。
名物、世界一のトマトとバジルとブッラータ(何度も言うがブッラータを知らない人はチーズ好きにあらず)。
トマトが甘すぎて、水っぽく青臭いトマトが苦手な僕でも感動のちぺろり。
これまたこちらの名物の一つ、ケールサラダ。
パルメザンとエクストラバージンオリーブオイルで、苦くてパサパサなイメージのケールがしっとり苦くない。そして栄養価満点!
焼き人参をバルサミコソースで。
ほっくほく。βカロチン食べてます感がすごい。ぎゅっと濃ゆい。
おいもだね、もはや。
店内俯瞰できるカウンターが、これまた気持ち良い。
彼も、眉をひそめられる不安なく、何でも話せる貴重な友人の1人だ。
この日もいろんな話をしたが、とりあえず「郷ひろみや石田純一をはじめ、遊んでそうな著名人が家庭大好きパパになっているとがっかりする」「文春砲が飛ぶと拍手喝采、ほおらね、よかった!それでこそ君だ!おかえり!と思う」…という話などで盛り上がった。
里芋のフライ。
これがまた名物、とんでもなくうまい。
里芋のフライ自体珍しいが、これは本当に味付けも揚げ具合も里芋そのものも美味すぎる。
大根の味噌田楽。
僕「これ、どーやってわける?縦?横?」
友人「横は、1人かわいそうなやつが出るやろ」
じゃあ、続くごぼう揚げは?
こんなロールケーキみたいなゴンぶとごぼう初めて。おいしー!繊維がおいしー。や、まじごぼうって普段食べないけど、こんな美味いのな。
ターツァイみたいなやつ。
ガリガリガーリックソースで。
黄色はなんだったかな。
大好きなスパークリングが進む進む進む。
友人はケールビールを。
これも美味しかった。
そして、バターマンの僕は万歳して悶絶したさ、安納芋、バター挟み。
そして、めいめいのメイン。
僕はイチボ。これまたとんでもなく美味い。
炭火焼きだから、焼き肉とは違った、ステーキの美味さ。シンプルに岩塩で。
やー、量減らしてもらって後悔。もっといけたなぁ。
友人は鶏胸肉だった。交換したが、絶対僕の方が美味しかった。
他人の誘いに気乗りする方が至極稀だけど、ちゃんと本音を伝える僕は、マイノリティなのかな。
僕も「えー、ごめんねぇ、すっごく会いたかったんだけど仕事忙しくて。え、いつ暇になるって?やー、もう春夏秋冬それぞれ別の作物耕してて、二毛作どころか四毛作でさ!」とか言ってみようかな。
もはやそれ、僕じゃないんだけど。
というわけで、本音でぶつかってきてくれる友人の誘いは、春夏秋冬お待ちしております。