すごい人と知り合いだぜ?的な自慢の、その発露の仕方は男女で結構異なる。


男のそれは、こんな感じ。

「え?矢沢好きなの?俺飲み友だよ?あいつ、飲んでもカモンベイベーとか言うんだぜ!」

……実際は、ただバーで並び合わせただけ。もちろん矢沢は彼のことを覚えているはずもなく。



一方、女のそれは、こんな感じ。


SNS「ネイル新しくしました💅今は赤からに来てるよ(ハート)チーズをハート型に乗っけたよ(ハート)」

……綺麗ともブスともつかないけど取り敢えずものっそい派手顔の自撮りとネイルの写真の横には、鍋をつつく男の華奢な指が見切れる。
これで済めばいいが、つながり目当てのメンヘラバンギャやホス狂いは、そんなに大人しくない。あからさまそのアーティストとわかる歌詞ツイをしたり、匂わせては病んで最終的には血迷って暴露する。



……。



…いやだ…どっちにもなりたくない…仲間と思われたくない……ぶるるっ。
どうしたらいいんだ…うーん、、、、うーん、、、、。






僕、すごい人にご飯に連れてってもらったぞ、いぇぇぇぇぇぇぇぇい( ◠‿◠ )!!!





そう、なんでも素直が1番。



ということで、のびのびと書こうと思う。




人が人なので、紫色の肉が出る焼肉屋やコップがぬるぬるの日本語通じない中華でも大歓迎だったが、店自体文句なしに美味すぎた。




まずは、アスパラと鶏の…なんか美味しいやつ。
ありそうで、この組み合わせ初めてかも。
鶏の皮がちゃんとカリッと香ばしく焼けている。













にんにく焼き。

美味しい味噌をつけて食べた。

おいものようにうまい。

すごい人、「翌日仕事だからまずいかな?」と問うてくれたが、とんでもない。

なんなら最近の僕は、寝癖もついたまま、無難なだけでどーでもいい服をかむって、起きて5分で出て、くさくさした気分で白目剥いて電車に揺られている。






書いていて思い出したが、全部すごい人が剥いて渡してくれた。僕はさながら坊やか、寝たきりのおばあちゃん。






牛すじたっぷりなねぎ焼き。

とろっとろすぎて箸で持てないほどで。

どのねぎ焼きにするかお任せしたら牛すじになったけど、僕牛すじ大好きなのだよ…そして、チューインガムみたいな牛すじもある中、これは濃くて柔らかいやつ。

おでんに入れても美味しそう。ソースに負けてない。










お好み焼き(二条とかなんとかって名前だった。京都のお好み焼き屋さんらしく)





やーこれもね、美味しすぎて。
具が多くて多くて(多分それを選んでくれたのだろう)、口の中が楽しい。






大丈夫、全く匂わせてないし、矢沢だろ?的なドヤりもしてないぞ僕は。





この店、大衆的な風なのに、素材が美味しい。
お好み焼きなんて、マヨとソースどばーーーっとすればどこだってそれなりっしょ、的な店が多くて、そして自分の舌もそんな感度になっていて、レベチを感じることが少ない。



けど、明らか違った。

すごい人だからゆえの舌バイアス(は絶対あるが)を差し引いても、だ。



興奮しすぎて店名を気にしていなかったのだが、あとから調べたところ、なんと百名店だった。
さもありなん。
というか僕、お好み焼きは百名店初めてかもしれない。百名店どころか、そこまで有名なところ、良いところに行った記憶がない。
そして失礼ながら、新宿待ち合わせだったので、「こてがえし(まだあるのかな)かぱすた館か、それに毛が生えた店だろうな。だって新宿だし!」と思っていた。



全力で謝罪したい。


全力謝罪といえば、土下座してもすまないほどの思いを抱きながら僕は帰った。
その自責と羞恥も、楽しい思い出になった。
ありがとう。




♪俺とお前〜泣かないで〜

…すごい人、永ちゃんじゃないです、よ。