突き抜けて素晴らしい喫茶店に出逢った。




失礼だが盲点だった四ツ谷エリア。
パティスリーミクニ以外、喫茶店の類は"レトロなんだか薄汚いんだかわからない""店の裁量が発揮されすぎて普段使いにはアクが強い"店ばかりだと思っていた(ごめんなさい)。



できたばかりと言っても、かつては神楽坂、さらにそれ以前は表参道、代官山で愛されていたらしいこちら。
洒落たヒゲのオーナーの店として、そしてフルーツサンドの先駆け的店としてずっと目をつけていた。


しかし、まさかここまでとは思わなかった。
コーヒーの淹れ方、風味、食材へのこだわり、作業工程一つ一つの丁寧さ、心地良すぎる接客と、衛生面に微塵の不安も感じない美しすぎる店内、予約方法の煩雑さと価格帯ゆえに厳選された客層、ここは鬼怒川金谷ホテルか、そう思った。



すぐ近くには、「君の名は」の聖地、須賀神社。
よく知らないが、ごろごろとこの階段を転げ落ちた後、天に召される代わりに男女が入れ替わる的なシーン。のはず。








元は何の施設だったのだろう。

石造のお洒落な外観。画廊か、はたまたアレか。










コロナ禍、最大限に配慮した営業形態を取られている。完全予約制で、入口で身分証を提示。

入るなり期待大。雰囲気のありすぎるスタッフの方々。







フルーツサンドとホットケーキでうんうん迷っていたが、フルーツサンドは予約分のみだそうで。

よかった、悩みが消えた、と溢したらマスターが笑ってくれた。






コーヒーは、苦手な酸味の抑えられたものを。

メニュー表示に細かく苦味酸味のバランス、説明が載っているのでわかりやすい。






目の前の綺麗すぎるフラスコ(恥ずかしながら名称がわからない)で淹れてくれるのを、カウンター越しワクワクして待つ。







到着。




飲みやすい、雑味がない、美味しい!

あまり言葉を重ねると、珈琲に詳しくないことがバレ間抜けなのでここら辺で。

とにかく超がつくほど美味しい!ブラックのコーヒーでこんなに大々的に感動を描写したのは多分初めて。









ホットケーキが焼けるのを待ちながらゆっくりと。

しかしホットケーキを作る工程が、これまた素晴らしくて。

マスターが、銅板にジュッとバターを何度か垂らす。温度を見ているのだろう。その所作も美しくて。

生地を混ぜる様もかっこいい。プロである。もしかすると、オーダーが入るごとに焼いているのはもちろん、生地も都度混ぜているのかもしれない。




大切に大切に時間をかけて焼かれたホットケーキ、途中、バターをたっぷり塗られ、そして横にはまたぴっちりたっぷりのバター。バターマンにはたまらない。



そして到着。

もうこれは…。









夢のような夕暮れ喫茶。








巷のパンケーキたちに教えてあげたい。これがパンケーキ、否、ホットケーキだよと。

しかし生まれてこれまで相当数のホットケーキパンケーキを食べたが、文句なしNo. 1。

茗荷谷ナッティーズカフか有楽町6th by oriental hotelがダントツだったが、瞬時に表彰台のトップがこちらに変わった。








サクッとふわっとといえば月並みなホットケーキだが、なんというか生地の密度もしっかり、しっとり、なのに表面はさっくりで、バターとメープルが最高に引き立つ。








店のBGMで少しでも優雅なこの雰囲気が伝われば。











「すごい笑ってる…」


無心で頬張っていると、店員さんがこう僕に言った。


「すごい美味しそうに食べますね」



恥ずかしい…お仕事のキリが良さそうなところで感想をお伝えしようと思っていたんですが、その前に出ていましたか。



「はい、すごく出ていましたよ笑。ありがとうございます!」




こちらこそありがとう。その返しも含めて素晴らしい。特別感を全身で感じながら、なんて幸せな祝日なんだと叫びたくなった。






ちなみにバターは使い切った。美味しすぎて。





2杯目。
名称失念したが、苦味の星の数の多い順にオーダー。こちらも美味しかった。コーヒーに対する語彙が極めて貧弱で残念だが。




目の前で次々作られるフルーツサンドが気になって仕方がなかった。
こちらも、とんでもなく丁寧にマスターが作り上げる。ホイップして、熟し具合まで計算されたというフルーツを入れ、一回冷蔵庫で寝かせて、美しい手捌きで包丁を入れ。



「インスタ映えとか萌え断なんて言葉、昔はなかったでしょう。その頃からフルーツサンドを作っていたんですよ。」


と教えてくれた。聞けば、下北沢や中目にあるフツツニフルウツのオーナーにもフルーツサンドを伝授したとか。不正確だったらごめんなさい。多分合っていると思うけれど、気になる方は直接マスターに聞いてみて欲しい。そして、あの素晴らしい接客を感じて欲しい。



インスタグラムにはマスターの思いがたくさん綴られている。


うちは日常を提供する喫茶店ではなく、特別をお届けする喫茶店…という言葉にも感服。



次はいつ行こう。
いろいろこなしきれていないリストいったんポイしてでもここは通いたい。